私はそれからひとりぼっちで暮らすようになった
トミオは毎日ではないけれど時々私の世話をしにやってきた
トイレや部屋の掃除をして、ゴハンを多めに盛って、いつもすまなそうに帰っていった
たまに泊まっていくこともあったけど
長く部屋にいられるときは一生懸命私の頭をなでようとしたけれど、触らせてあげなかったわ
だって今、私のご主人様はたーさんだから…
いくら待ってもたーさんは帰ってこなかった
たーさんがもう帰ってこないことに気づくまでにけっこうな時間がかかったわ
そしてたーさんの言葉を思い出したの
そうか、私はトミオを癒してあげなくちゃいけないんだった!
私はトミオを癒してあげることにきめた
たーさんはそうしてほしいのよね
シズがやってきて、しばらく一緒に暮らした
シズが来てから、家の中はきれいになった
シズが家にいる間は私は毎日ゴハンがもらえたし、トイレも毎日キレイになった
シズはこれからココで暮らすのかしら?
トミオもたまにやってきてシズと話していった
シズはずっとそこで暮らしたわけではなかった
しばらく寝泊まりして、家の中をピカピカにすると私の頭をなでて、ゴハンを多めにお皿に盛って、出て行ってしまった
また、トミオが時々やってきて私の世話をする生活が始まった
一日たったゴハンは匂いが消えてしまって、食感もイマイチだったので、あまりたくさんゴハンを食べたくなくなった
誰もいないときは、夜になると家の中はいつも真っ暗だった
いいの…
私は暗いところが好きだし、静かなほうが落ち着いていいもの…
贅沢いえば、いつも新鮮なゴハンとお水があって、トイレがきれいだと嬉しいけど…
トミオのおウチはきっとここから遠いのね
だからしかたがないわ
またシズがやってきた
しばらく会っていなかったから誰だかわからなくて…
ゴハンとお水を用意してくれたけど、少しの間タンスの上とかに隠れていたわ
シズは構わず部屋の掃除を始めた
ひとりは平気だったけど、ひとりぼっちが長すぎてやっぱり少し寂しかったからシズを思い出したときは少し嬉しくなった
私のご主人様はトミオだけど、そのときはシズのほうが長く私と一緒にいたので、なんだか嬉しくて 少し甘えてしまった
洗濯物をたたんでいるシズのジャマをして遊んだり、膝の上に乗ったりした
シズは嬉しそうに私の背中をゆっくりなでた
このままシズと一緒に暮らすのも悪くない
本当のご主人様はトミオだけど、シズは私にとってもよくしてくれるの
ゴロゴロいっても悪くないわよね
シズがいる間トミオは来ないときが増えた
きっとシズがいるからゴハンの心配がないのね
ある日トミオはピンクのケースを持ってきた
私を抱っこしてくれたと思ったら、無理やりケースに私を中に閉じ込めようとしたから 部屋中逃げ回ったの
そうしていたら あきらめたわ
それからかしら
シズはゴハンをピンクのケースの中に用意するようになった
シズも私を閉じ込めようとしているのかしら?
絶対捕まらないわよ
ゴハンも水も欲しかったけど、捕まるのが嫌だったからシズがいないときにこっそり食べた
そのうち、そこでゴハンを食べたりお水を飲んだりしても、私を捕まえるつもりじゃないことがわかったから、シズがいる前でもケースの中でゴハンを食べた
でも食べ終わったらすぐそこを出ることは忘れなかった
だって世の中何が起こるかわからないもの
用心は必要よ
そのころ トミオが頻繁に現れるようになっていた
今日はまだ暗い頃にゴハンを食べたけど、 朝ゴハンをもらっていない
お腹がすいたわ
シズのこと ジッと見るけど、シズはゴハンをくれないの
トミオがやってきた
なんだか今日は様子がおかしいわ
シズとトミオは忙しそうに部屋からなにやら運び出している
トミオとシズに心を許していたのがいけなかったのかも…
トミオはいつもみたいに私を抱っこしたけど 今日はちょっと違った
そのまま私を捕まえると…もちろん わたしは暴れようとしたけど、トミオの力は思ったより強くて逃げられなかったの
あっという間にピンクのケースにいれられて、フタをしめられてしまった
私はびっくりして恐くなって声も出なくなってしまった
ケースに入れられた私は、外に運び出されていた

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