シマの事。⑩

2006年2月15日(水) 2006-02-15T00:22:23+09:00 515 / 5

白いネコの事を人に話すと大抵の人に「うっそだぁ～！！」という顔を
されますが当時の僕には見えたので仕方がないです。（＾＾；
ネコ達特にシマには良く見えたようで僕が「今ドアの向こうに行ったな。」
と思うとそっちについて行ったりもしてました。
何だかシマと白いネコは会話でもしてるのかなと思う時もありました。

さて、例の本ですが内容は主にホメオパシーが中心に書かれていて
「同種療法」「類似療法」と訳されます。
詳しい事は書きませんが大雑把に言えば西洋医学では抗ガン剤等で
病気を治そうというところをその子の持つ自然治癒力をうまく刺激して
治していこうというものです。
（ホメオパシーで検索すると色々出てきます）
最初にこの本を読んだ最初の感想はずばり「怪しい。」でした。
今までの僕の生活とは全くの無縁なモノだったもので・・・。
著者の先生の病院を調べると僕達の住んでいる所からタクシーで
約３０分位の所にあります。これから１ヶ月に１度ずつ僕達はタクシーで新しい先生の病院に通う事になります。
タクシーを道で拾うと態度の悪い運転手や運転のひどい運転手に
ぶつかる確立が高いので信頼のおけるタクシー会社に
ウチまで手配をして病院まで行く事にしました。
タクシーをウチまで手配して乗る・・・こんなの僕もやった事ありません。
「セレブな猫だなぁタロは」と僕は心の中で思いました。（セレブか！？）
先生は女の先生でパッと見はちょっと怖そうな先生ではっきりモノを言う
先生でした。その怖そうに見える態度が返って安心できた気がします。

タロにまず与えるようにと言われたのが「核酸」と「メシマコブ」です。
核酸はともかくメシマコブは人間のガン治療の話題にも出てくるので
ちょっとは聞いた事があるかと思いますがこれが恐ろしく高い！！！！
タロには１日１袋（胃薬の袋位）を溶かしてシュリンジ（注射器）で
あげる訳ですが１ヶ月分で約２万円です・・・。
高いのはしょうがないとしてその時の僕の頭の中には
「本当に効くのかなぁ・・・。怪しいなぁ。」という疑念の思いが８０％を
占めていました。薬をあげ始めて１週間は特に変化は起こらず
相変わらず痩せていて部屋の隅で寝ているだけです。
唯一栄養を取らせる術はチューブに入った高栄養のゼリーを指に取り
タロの口の中に入れてあげる事くらいでした。
変化があったのはシマの方でゴハンを出すと食べる前に必ず
寝ているタロの方を「食べないの？」みたいな感じでしばらくジーッと
見つめてからゴハンを食べるようになりました。
シマはタロが病気である事が分かってきたようでした。
そういえばシマは本当に手がかからないネコです。
病気らしい病気もしなかったしお留守番もちゃんと出来たし。
（困ったのは鼻水を飛ばした時くらいかな？）
今思えばタロが病気になってしまってからちょっとシマの事を
ほったらかしにしてしまっていたと反省しています。
でもタロが全くゴハンを食べなかった時はその分シマが平らげて
いたのでかなりコロコロの健康優良児に見えたので思わず
「お前の元気をタロに分けてあげなよ～！！」とか冗談も言ったり
していました。
とにもかくにもタロの病気を治すにはまず体力！！という事で
何か食べてくれるモノを探さないといけません。
ネットで無添加のカリカリや缶詰を何十種類も購入して試してみて
「また食べない・・・。これもダメか・・・。」という状態が続いたある日
僕達はケンタッキーフライドチキンを買ってきました。
「何か、久しぶりだね。ケンタ食べるの。」そういって僕達はチキンを
食べ始めるとちゃっかりシマが彼女の隣でスタンバっています（笑）
「こらぁ、お前の食べ物じゃないんだよ。いい子だから待っててね。」
と話していると隣の部屋に寝ていたタロがフラリと立ち上がりシマの
横に座って鼻をクンクンしています。
僕と彼女は顔を合わせた後「タロ？食べてみる？」とチキンの
なるべく味のついていない部分を切り取って手のひらに載せて
タロの前に差し出しました。すると今までほとんど何も口にしなかった
タロがムシャムシャとケンタのチキンを食べたではありませんか！！！
あまりのうれしさに僕達は思わず涙ぐんでしまいました。
「ありがとう！！カーネルサンダーズ！！」
相変わらず食べては吐いてしまう状況は続きましたが
ゴハンを食べてくれるようになったので少しは希望が出て来ました。
さすがにケンタは塩分や油分に問題があるので
鳥の胸肉をラップでくるんで電子レンジでチンして与えてみようと試したら
バッチリ！！タロは喜んで食べてくれました。電子レンジのチーンという
音がするとフラフラと起きてきて僕達の隣にシマと一緒に座ります。
不思議だったのがシマがあまりその鶏肉を欲求せずにタロが食べるのを
じっと横で眺めている姿でした。まるで「早よぅ元気になり。頑張ってな。」
と励ましているようでした。シマも鶏肉は大好きです。いつもだったら
「ワシが先じゃ～い！！」とネコパンチのひとつでも飛ばすはずなのに。
やっぱりこの２匹は一緒にいてもう１０年近いのでお互いが理解しあって
いるんだなぁ・・・、と思いました。
その頃になるとあまり白いネコも見なくなってきました。
「お母さんも安心したのかなぁ・・・。」と僕達は思いました。

「でもまだ治療は始まったばかり。頑張って元気になるんだぞ！！」
とタロに話しかけるとタロの目も「頑張って元気になるよ！！」と
訴えかけているようでした。

（つづく）