
ある日、息子が学校から帰るとリビングに何かを隠し、大急ぎで私の所へ来ると
「ママ! 怒らないでね。」
と言い、リビングに隠した物の所へ誘った。
見ると、真っ黒のベトベトした感じの丸っこい手のひらサイズの物体がある。
・・ガマガエル?
「ねぇ、飼ってもいい??」
「やだよ!カエルなんて飼えないよ!ムリ!」
「カエルじゃないよ!!」
よーく見ると、物凄く汚れて耳までネトネトした物質でくっ付いた状態になった猫だった。
Σ(●゚∀゚●)
あまりにも汚ないので洗おうと持ち上げたら
(肉なんてないんじゃないか?)
と思うほど、ガリガリにやせ細っていた。
1回洗っても落ちない。
2回洗ってみても、まだべとついている。
3回洗ったが、完全には落ちない。
そして 耳は立ったが目はくっ付いた状態のままだった。
水もミルクも飲もうとしない。
柄も全く好みじゃないので飼う気はなかったが
(このまま外へ出したら、あっという間に死んでしまうだろう)
と思って、病院へ連れて行った。
診察の結果、
・体の汚れは猫風邪による目ヤニが体中についていたのだろう。
・目はもう、ちゃんと開かないかも知れない。
・一生、目が見えないかも知れない。
・ノミだらけ
・お腹にも虫がいる
・今現在、脱水症状を起こしている
という事が判った。
水も飲めない状態の為、首の後ろに脱水症状を改善する注射を打ってもらい、
流動食のような餌と目薬を出してもらった。
最初の3日くらいは無理矢理注射器で餌を飲み込ませた。
4日目から自分で餌を飲み込むようになった。
水も自分から飲むようになった。
自発的に食べるようになったら、猫風邪の薬と虫下しを処方してくれる
との事だったので、再び病院へ行く。
2週間ほどして、ようやく片目が開いた。
開いたはいいけど、瞳は見えない。
真っ白で怖い。すごく怖い。
それからしばらくして、もう片方の目も開いた。
同じく白目だ。
・・怖い。
延々と猫風邪の薬と目薬を続ける。
猫風邪は良くならず、くしゃみも涙も止まらないが
瞳が見えるようになった。
か・・かわいい・・。
が、しかし。
視界が開けると同時に、物凄く凶暴な猫になった。
目薬の時には噛むは引っ掻くはで大暴れし、
「ミーコちゃん」と近づこうものなら
「シャーッ!!」という声と共に威嚇。
生傷が絶えないので、爪を切ろうとすると
更に傷だらけにされる。
後ろ足でキックしながら肉を切り裂く。
けど、薬も爪切りもやらないおばあちゃんには懐いていた。
3か月くらいしたら、「シャー!!」も収まり
布団に入ってきて一緒に寝るくらい懐いた。
大変賢い猫で、人間のやる事をよく見ている。
引き戸はもちろん、ドアの取手にぶら下がってドアも開ける。
更には跳ね上げ式の鍵なんかも開けてしまう。
飼い始めてから2年半。
医者を変えてから、猫風邪は殆ど治った。
けどやっぱり、目は完全に治らず(一部癒着したまま)
いつも潤んだ瞳になっている。
甘えん坊で、近くに寄って来ては
その潤んだ瞳で私を見つめ、
「ザクッ!」と皮膚に穴を開ける。
そう。
彼女はもう、引っ掻いたりしない。
「ねぇ。」と言いながら肩に手を置くように
「ニャー」と言いながら肩や太ももに爪をザクッと入れるのだ。
おかげで私の肩や太ももは無数の傷跡が出来てしまった。
きっとこれからも増えてゆくのだろう。
こんなに恩知らずな猫を
「ミーたんは世界一綺麗でかわいい猫でちゅね~♪」
なんて言っている自分が怖い。
愛は盲目。
時間を費やした分、それは特別なものになる。
きっと家族なんてそんなもの。
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