『ウゥ~ ウゥ~』
「ケープ!!なに『ウウ』言ってるねん!!お前が見つけたチビちゃん達やんか!!」
ケープは知らない子達が来たのでとても興奮している様子です。
ケープに比べて気の強いチャロは、で~んと座って知らん顔をしています。
「やっぱりチャロは親分肌やなぁ~知らん子が来ても全然気にしてないわ」
私は妻に言うと妻が笑い出しました。
「ん?何がおかしいの?」
「あははははは・・・チャロのしっぽが・・・」
チャロの後ろをよく見るとシッポが、試験管ブラシのようにフワフワになっていました。どうやらネコっていうのは気の強い弱い関係なしに新しい環境にはとても敏感なようです。でもこのままではケープも気が休まらないし、例え仲良くなろうとしてもケープの最初の挨拶は『ねこキック』から始まります。普通のチビたちならケープの『アマアマ・ねこキック』はどうってことは無いのですが、このチビたちの今の状態ではとても心配です。
「あ~ このままやったらあかんなぁ~。ケープがちょっと心配やわ。えらく興奮しているから」「そうやねぇ」
「あっ!!そうや!!この子らをちょっと隔離しょうか?」
「隔離?どうするの?」
「ちょっとまっててや」
私はゴミの日に捨てようと思っていたダンボールを組み立ててその中に毛布をひき、子猫たちをそっと寝かせました。

「ほらほら ええねこハウスの出来上がりや」
体の乾いた泣き虫子猫はダンボールの隅っこで体を丸くしてじっと座っています。
大怪我の子猫は手足を伸ばしたままお腹が上下に動くだけでピクリともしません。
「大丈夫かなぁ」妻がつぶやきました。
「いままで やれることやったんやから・・・」
「そうだけど・・・ほかになにか・・・」
「もう からだも乾いたし・・・」
「うん・・・」
「血は止まったみたいだから後はそっと寝かしてあげよか」
それからも私と妻は気になってダンボールの子猫たちを何回も覗き込みに行きました。
「かわいい顔してるなぁ~ 大怪我をしている顔やないな 子猫がぐっすりと寝ている顔やな」
「ほんとやねぇ」
「このぶんやったら多分大丈夫やろ」
「明日は日曜日だけどお医者さんに連れて行こうか?」
「そうやなぁ そうしょう!!」
台風の日、どこにも出かけられない退屈な時間にとんだ事件が起こり、慌しい一日になりました。
後は翌朝、私達が目を覚ますと子猫たちが元気になっていることを願うばかりでした。
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