謎の不動産事情

猫を増やす予定というのは前からお話した通りだ。

そこで、手狭な今のマンションを引っ越しして新しいところを探し中だ。
既に凄腕の不動産屋の社長と話を詰めている。
↑この業界によくある金満系では全く無く、安い学生向けの案件でも嫌な顔ひとつせずにやってくれるし、障害があるような社員も必死で育てるナイスガイなのだ。
その上で、業界事情にありがちな酸いも甘いも理解している脂の乗った年代の社長なのであるが、そんなのにありがちな飲み屋とかでブイブイというわけでもなく、奥さんと堅実に職務に励む。
その為、絶大なる信頼を置いている。
大阪界隈の物件で信頼が置ける人なら全員に紹介したいくらいだ。

忙しい社長さんを捕まえて電話で色々と話しを詰めるも、ちょっと面白い話を聞いた。
関西圏では、犬はOK物件が多いのに猫はNG物件が多いのだそうだ。
関東圏では真逆で、猫はOKなところが多いのだが、犬はNGが多い。

これは大家さんの価値観の問題で、猫は部屋を壊すという思い込みがある。
一方、関東だと犬は壊すという思い込み。
両方にあるのは、部屋に染み付いた臭いトラブルが問題！という誤解。

これは何が誤解かというと、そもそも、臭いは部屋に染み付かない事だ。
よくあるマンションとかなら、コンクリで全体を作り、部屋の枠の中に部屋を建て込むような作りだ。
施工業者に言わせると、そんなもん、臭いひとつ残さずに作り変えるのは造作ないという。
強烈に経費をケチればあり得るかもしれない、というレベル。

同様に、犬は壁を壊したり、框（かまち）を噛んだりするんだが、これも治すのは大した手間じゃない。
猫ならなおさらで、壁を破壊するほどでもなく、框も噛まない。
せいぜい、壁紙をボロボロにする程度だし、臭いとて、あっという間にとれてしまう。

筆者が驚いたのは、ここ最近の消臭剤だ。
これは建築とは無関係だが、無香系の消臭剤を買って猫トイレに置いたら、あまりに高い効果で臭わないために猫トイレの掃除を忘れるほどだ。
気休め程度と思って入れたのに、驚くべき効果だ。

そういったのに施工関連も絡むと、臭い問題なんて、ほぼ、杞憂と言えるものだ。
ちゃんとしてても文句ギャーギャー言うのはクレーマーレベルだ。
しかし、建物のオーナーはそういった事を激しく気にする為に、条件にするそうなのだ。
おそらく、犬猫を飼ったことがないとか、施工の実情を知らずに意味不明なクレームを相手にしていて、そのような思い込みが多いんだろうと推察される。
例えば、前に住んでいた方がペットを飼っていた→だから臭い！とクレーム→その内実は家賃下げろみたいなもの→誰も飼ってませんと言い切れれば、そういう問題はおきない、みたいなことだ。

また、建物の自然損耗はオーナーが負担すべきものとして政府の指針が出ているものの、ペット可物件での損耗なら予めその経費を店子から召し上げておけば良いわけで、大した問題じゃない。
つまり、経費的にも問題がないものだ。
オーナーとしては建物の価値をできるだけ下げず、かつ、低ランニングコストにしたいという意向だろう。

不動産屋や施工業者の話を総合すると、臭い問題とか施工の問題はほぼ思い込みに過ぎず、ペット可物件にしておく方が断然、回転率が高く、お得なんだそうだ。
理解してくれないオーナーさんが多いんですよね〜・・・とぼやく。
つまり、守るべきものを間違えて、かえって損する状態だ。
無論、それらとは別に世の中には猫毛アレルギーさんは実在するわけで、そこは棲み分けが必要だろう。

一方、犬猫を飼うヒトが必ずしも理想的な店子ではないので、自身で世話をしきれないほどものすごい数を飼ったり、臭うものを放置してご近所トラブルになる事例などもあり得るだろう。
このクレームは不動産屋さんやオーナーが受け持つわけで、できるだけトラブルを避けたい場合は、忌避したい気持ちはわからんでもない。
しかしそこは逆手に、犬猫も一緒に住むメンツとして登録してしまい、うまく管理していけば良いだけの気がする。
何しろ、契約条項違反をすれば退去という契約は普通だし、あまり気にすることでもない。

何かこう、需給関係の相互理解に溝がある感じがするのが、ペット対応の不動産事情なのである。

まぁ、筆者が大金持ちでマンションのひとつもオーナーだったら・・・。
宅配ボックスを完備して、1F店舗にペット系の病院かペットサロンとかペットホテルをテナントで貸し出し、店子優遇の仕組みでも作るがねえ。
めちゃ便利状態でそこそこ家賃なら、良質の店子が引きも切らずに充填し空き部屋率はほぼゼロという状態で、めっさ美味しい経営に化けると思うんだがなぁ。
ついでに駐車場も立体で完備しておけば、ペットオーナーにはもってこいだ。
さらにいえば入口と出口もパーテション程度でも分けておけば、ペット同士のトラブルも少ない。

あいにく、金持ち度は低いのでその手のものは発想はできても形にはできない。
これから建築を考えるオーナーさんがいらしたら、ちとそのへんを意識していただけたらと思う。
この手のは、どうにもこうにも、ちと頭の悪い話が多いのが難点だ。
例えば、収納スペースひとつとっても、屋上でもいいから別途用意してプラスアルファの課金で貸し出せば、意外に儲かるのにねえ。
建築法違反にはならん範囲で、できることは多いと思うがね。
ひとつでもモデルケースを作って大当たりすれば、フォロワー発生でスタンダード化するような気もする。

自分でそんなもんを作る甲斐性はないので、コンサルでも出来るといいのかねえ。
なんか、意味不明な誤解が多くて、ほんと、謎だな。
誰かなんとかなりませんか〜〜。

と、悩んで朝を迎える。
アカン、クレアがデロデロに甘えに来た。

ものぐさ飯のクレア。