まみれのねことの生活　Vol.4指を吸った

2009年5月6日(水) 2009-05-06T10:26:13+09:00 1455 / 4

あくる日、私達はいつもより早く目が覚めました。
しかし、大怪我の子猫は昨日寝かしたままの形で目を覚ました様子はありませんでした。

「どうかなぁ？」
「あかんなぁ　全然動いてないわ」
「そうやねぇ」

二人の会話も少なくわたしは、朝の仕度を終え仕事場へと向かいました。
家に残った妻は、時折ダンボールを覗いては様子を見ていたそうです。身動き一つしない子猫の様子は変わらないままでした。日曜日、月曜日、火曜日と子猫は寝かされたままの形で食べることもせず水をもむこともなく小さなお腹がかすかに上下に動いているだけでした。
そして、水曜日の朝私はいつもより早く妻に起こされました。

「大丈夫！！大丈夫！！きっと元気になるわ！！」
「なんや～朝から」
「見て　見て」

私は妻にせかされるままダンボールを覗きました。

「ん？寝たままやん」
「違う！！違う！！わたしに向かってすわって鳴いたねん」
「え？ほんまか？」

妻が言うには夜中にお手洗いに行くときにダンボールの子猫を覗くと子猫が妻に向かってちゃんと猫座りをして『にぃ～』と鳴き一声で鳴き終わるとまたバタッと倒れてしまい心配になって妻は朝までずっと子猫を見つめながら話しかけていたそうです。

「そういえば寝姿がちょっと違うなぁ～」
「なんかわたしも元気になってきたわ」
「う～ん　でもなぁ～　なんにも食べていないしなぁ～」
「うううん　きっとわたしに『よろしく！！』って挨拶をいったんやわ」
「そうかなぁ　体力持つかなぁ～」


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



仕事から帰ってくると食事もそこそこに済ませ二人でダンボールの子猫をみていました。

「ほら　ほら　元気になってきたでしょう！」
「たしかに　反応が出てきたなぁ」

肉球を指で軽く触ると、かすかですがツンツンという、押し返してくる動きがありました。
お腹の動きも昨日より少し大きい気がします。そんな子猫の背中を妻はさすっていましたが両手でそっとすくいひざに抱っこしました。

「おいおい大丈夫か？」
「寒いやろから手であっためてあげるわ」
「首がカクカクやな」
「うん　力が入ってないみたい」

抱きかかえると子猫の力は全身のどこにもないことがすぐにわかりました。
首はもちろん手も足も背骨もシッポも力は感じられませんでした。

「どう？」私は妻に聞きました。
「うん　でもちゃんと生きてる　一生懸命に息してる　それがわたしの手からわかる」
「そっか　生きてるか」

何分ぐらい抱っこをしていたでしょうか？妻が突然大声でわたしを呼びました。

「あ！！あ！！早く！！　早く注射器持ってきて！！牛乳持ってきて！！」
「どうしたん？」
「吸った！！吸ったぁわたしの指！！吸った！！」

それは突然の子猫の反応でした。