「オーブン、もうないの?」
父親から聞いて来たらしい。 「こないだの(月イチの)ゴミの日に出しちゃったよ」
古いオーブン欲しかったの??
いやいや、モノを増やすの嫌いなお嫁さんが壊れかけのヤツをもらうことを許すワケない。
…と、思ってよくよく聞くと、
「マフィン焼きたかった」と姪。
父親が、レンジを買い換えたからもうできない。くらい吹き込んだのか?
「私がお菓子焼けないヤツ選ぶと思う?」
と、オーブンレンジだから作れると説明しながらキッチンへ降りると
既に買って持ってきた材料がテーブルにあった。
「私もまだレンジでしか使ってないからさー」
と、取説読みつつ、オーブングリル前の脱臭?の操作をしつつ
「オーブン初おろしは私じゃなかったか」と思う。
「マフィンの紙型とか持ってきたの?」
「材料だけ。ここんちならありそうだと思って…」
「あるよ」(HEROの店の店主ふう)
天板とか、敷き紙とかをゴソゴソ出す。
レシピはYouTubeだそう。
「あのさ、むえんとしょくえんふしようって同じ?」
一瞬、有塩バター買っちまったか!?と思ったけれど
『無塩』『食塩不使用』と脳内で変換して、
「同じ・同じ、だいじょぶ」と答えて、
確か姪は古いオーブン時代、自分で勝手に何か焼き菓子作ってたので
「じゃあ、なんかあったら呼んでー」と、部屋に戻る。
スマホとオーブンにオタつく姿勢に少し不安を感じつつ…
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このコ、こんなに面白キャラっぽいいでたちだったっけ??
動画で絞り袋使ってたなー。と思い出し、
吊り棚から出してやるべ。とキッチンへ降りていくと… このコ、なんでスプーンなんか使ってるのじゃ?(フツー、シリコンベラでしょ?)
と、後ろから覗いたら、
YouTubeがそうしてて、道具もほぼおんなじものを使ってやっていた模様。
バターと砂糖混ぜて、シャリシャリしとる。
「バターが冷えてるからじゃ」
横から首を突っ込み、ボウルを直火にだましだましあてるけど
シャーベット状からクリーム状になってこない。
???
「グラニュー糖が売ってなくて…」と姪。売ってないスーパーなんてナイ!
「〇〇〇(成城石井目指してるふうスーパー)行ったんだけどさー、
ママにも、同じコト言われたー」
「そーゆーときは、店員さんに聞くんだよぉ」
フロストシュガーでした。
(昔、無糖ヨーグルトに必ずついてたアレ)
パッケージを見ると
「ホラ!【すぐ溶ける】って書いてあるよ」と、言う姪に苦笑する。
結局、そこからつきっきりになってしまふ。
YouTubeは画面を進めないと、材料と量が出てこないらしく
まだ粉すら計量してないのに、また呆れる。
⇒私の必殺、手も周りも汚れない粉ふるいを仕込みつつ、
計量を見守る。
薄力粉140gなのに、82gらへんから、数グラム単位で少しずつ入れる姪。
「そこはさー、120gくらいまでガッと入れて、そこから細かくじゃない?」
「そっかー」マイペースな姪。
「変なトコ丁寧」(粗品ふうツッコミ)と言うと、
「誰に似たんだろー?」と、姪。
混ぜた粉の抹茶色が薄い?と心配していた姪に
「水分・油分と混ざると、色が濃くなってくるから平気」 自画自賛もーど全開。
褒めちぎると、また
「誰に似たんだろー?」と、姪。
そこは、イロイロすっ飛ばして私。って言うトコじゃね?
絞るのもうまくできますた。 焼き終わる頃に見に行くと
「見て!めっちゃイイ感じ!!」
「ちょっと!売り物みたいなんですけど!」
私が作ったって信じてもらえないから。と、証拠写真を撮る姪。
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「スゴイ、いいにおいー!」
「めっちゃ美味しそう!」
「私って天才カモ!!」
用意した包材を前に、すごい既視感が沸き上がる… そうだった。
また忘れてた。
ぼーっとして不器用そうな田舎の娘みたいなこのコは、
ポジティブ・シンキングな子だったことを。
当時高1だった姪も、3年過ぎて今は、専門学校一年め。
大人一歩手前って感じだけど、中身は変わらないなー。
そんなに勉強ができなくたって、
なかなか車の免許がとれなくたって、
こんなふうに素直に喜べる姪が、眩しく映る。
明日遊ぶ友達に6個と、私が食べる分を作りたい。
と、言っていたのだけれど、
小さい型にしてたくさんできたから。と私に3つくれた。
両親に「じいじ、ばあば。今焼きたてだから熱いよ。食べてー」と渡しておった。
鼻歌にスキップな勢いで
「じゃあねー、ありがとー!」
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ウチから数十メートルの家へ、ルンルン帰っていきました。
夕・夜とゆきちいさんから電話。
私が聞いただけではもったいないと思い、「日記に書いて」と、頼む。
「書け!書くんだ!ジョーーーぉ!」
と、言ったらば、間髪入れずに「言うと思ってましたよ」と、ソッコー返される。
ゆきちいさんも、私という変な人間の言動が予測できるようになったみたいです。 私は子供をさほど好きでなく、子供として接することができない、
ただの年寄りなダメな大人になってしまいましたが、
子供の素直さとか気持ちを羨ましく思う日でした。