また家猫の避妊去勢は、原則として望ましいと思っています。
誤解されている方がおられるようなので、一言。
私達の野良猫保護地では、TNRとは逆、初めに保護ありきです。

この子は、今年2歳になる雌猫です。先月避妊手術をしました。
彼女は、昨年5月、保護地に捨てられていました。
お腹が大きくなっていました。飼い主は、面倒になって捨てたのです。
彼女は捨てられたショックで心の病にかかりました。
3匹の子猫を産みました。残念ながら子猫たちは皆死んでしまいました。
彼女は、小屋にますます引きこもるようになり、一月以上小屋から出てきませんでした。
食事と水を小屋の中に入れました。小屋の中は、おしっことうんこだらけになりました。
夏が近づく頃、ようやく元気を取り戻し、小屋から出るようになりました。
そしてまたすぐ妊娠しました。9月の下旬、出産して3匹の子を産みました。
2匹はすぐ死にましたが、1匹は生き延びました。
この子です。とても可愛い男の子。

冬になり、責任者のYさんは、一時的に自宅で連れ帰りました。
しかし、残念ながらこの子も死にました。
怪我をして、回復したと思っていたのに、ちゃんと治っていなかったのです。
この写真は、怪我をした後、元気になっていたときのものです。
この子が死んだのは、母親が避妊手術をした直後のことでした。
結局母親は6匹の子供を産みましたが、みな死んでしまいました。
この子は、以前紹介した小さな耳カットのある雌猫です。

彼女は、正確には避妊のための手術をしたのではありません。
出産に失敗して、子宮が外に飛び出してしまったのです。
発見した時は、時間がかなり経って子宮が腐敗していました。
子猫は見当たりませんでした。野生動物に食べられたのでしょう。
彼女は病院で手術をして、一命をとりとめました。
この冬、3匹の野良猫が死にました。みな4歳未満の猫たちです。
その中の一匹、数年前パルボウイルス感染症が大流行した時、子猫の中で唯一の生き残りでした。
その生命力に感動しましたが、この冬病気で亡くなりました。
パルボウイルスは、大人の猫の場合は感染しても死ぬことはまずありませんが、子猫は90%以上の確率で死にます。
先日紹介した愛媛県の青島、かつては猫の楽園と呼ばれていましたが、数年前伝染病が大流行して大勢の猫が死にました。観光客が増えて靴底や服に付着した細菌やウイルスが持ち込まれたのです。
小さな島で猫が大発生しやすい最大の理由は、周囲の海が細菌などの外敵から守ってくれるからだと思います。
うちのモモは、予防接種を一度も受けませんでしたが、17歳8か月の間、感染症に罹ったことは一度もありません。家の中がどれだけ感染症に対して有利であるかつくづく思います。
保護地には、食事も小屋もあります。でも5歳以上生きられる猫は、本当に少ないのです。
毎年春になると捨てられた子猫がたくさん集まります。
運の良い子は飼い主を見つけられますが、大部分は病気で死にます。
捕獲する側から見ると、いくらでも湧いてくる様に見える野良猫。
でも、野良猫の側から見ると、生き残るのはものすごく大変なのです。
ではなぜ野良猫が減らならないのでしょうか?
理由は明白です。人が猫を排出するからです。
もちろん野良猫間での繁殖はあります。
しかし大部分は、人の手によって生み出されるのです。多頭崩壊などその最たるものです。
ちなみに、環境省のパンフレット。
出典 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2305a/full.pdf

どうぶつ基金以上に誇張していますが、猫の飼い方について喚起を促す為のものであり、TNRの必要性を説いたものではありません。
よく似たアメリカのパンフレットも、同様、飼い猫の避妊去勢を勧めたものです。
https://www.animalleague.org/wp-content/uploads/2017/06/cats-multiply-pyramid.pdf
どちらも数字は誇張していますが、猫を飼うマナーを喚起する趣旨自体は間違いではありません。
今のTNRが、立場の弱い野良猫ばかりに犠牲を強いる偏ったやり方であることに、気付いていただきたいのです。
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