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猫が亡くなりました
2022年3月22日(火) 586 / 3

昨日、飼い猫の「ゆき」が6才8ヶ月で亡くなりました。
気持ちを整理するために書き綴りたいと思います。

実家で飼っていた猫「みるく」を見送ってから猫を飼う気持ちになかなかなれず、10年上経過してから迎えたのがゆきでした。

正直な所、私にとって「みるく」は自分の半身のような存在で、これ以上の存在に出会うことは無いんじゃないかと思っていました。
それでも寂しくて、もう一度猫と暮らしたくなって、ネット(ネコジルシではありません)で里親募集をしている人に声を掛けて、「一度顔合わせを」と顔合わせのはずだったのにそのまま置いていかれてしまった…という、無計画でなし崩し的にゆきとの暮らしがスタートしました。

生後4ヶ月のゆきは一度も病院に行ったこともなく、母猫とケージに閉じ込められて育ったそうで、正直あまり良くない環境で育った子のようでした。
警戒心が強く、臆病で、家具の間に隠れてしまい金切り声で泣き叫んで、あまりにかわいそうな状態だったので、以前の飼い主の方へ「もう少し大きくなるまでお母さん猫と一緒にいてあげて、それから改めて譲ってもらえないか」と聞いた所「それなら保健所に連れて行く」と言われてしまい、もう前の飼い主のことは忘れよう、最初からうちの子だったと思って育てることにしました。

隠れた場所が手が届かないので隙間に台所用品のお玉を差し込んでゆきを救出、4ヶ月のオスとは思えないぐらい小さかったので、お玉で簡単に救うことができました。
バスタオルで巻いてお腹に乗せて撫で続けるとしばらくジタバタして、疲れると寝て…、そのうち自分から来てくれて、お腹の上や顔の横で寝てくれるようになりました。
男性が苦手のようで夫のことはしばらく警戒してなかなか慣れませんでしたが、夫が油断していると近くに寄って行ったり…とだんだんと夫とも仲良くなっていきました。

今までのトイレの砂も分けてもらえませんでしたが、お尻をちょんちょんとしたティッシュを入れたトイレに最初の1回から失敗することなくできて、最後まで1度も粗相することもない子でした。
ごはんももりもりと食べ、すくすくと大きくなりました。

ゆきの様子が落ち着いてから病院につれていき、血液検査の結果、猫エイズや白血病等は陰性。健康上は特に問題ないとのことでほっとしました。

私にとって「みるく」は特別な存在、大事な子、でも「ゆき」も同じぐらい特別な存在、大事な子になりました。かわいくて、とてもかわいくて楽しくて毎日幸せでした。
その毎日が大切で、この子とずっと長く一緒に暮らしたいと願っていました。

ゆきが1才になるころ、食欲が少し落ち、元気がないと思うことがありました。
病院に連れて行っても特に問題無し。1才も過ぎて去勢したら猫はほとんど寝てるから…と言われて、でもどうしても様子がおかしい気がするとお願いして血液検査をしてもらうと、肝臓の数値が高いと。

フードを肝臓ケアに変えたりサプリを飲んだりしましたが、数値が劇的に改善することはなく、なにか先天的な疾患がある可能性があるかもしれない、と言われました。
そしてそれを調べるには大学病院のようなところでないと難しい、東大病院なら紹介書を書くけれどと言われました。

ゆきは私達夫婦にはとてもなついてかわいい子ですが、神経質で、窓の外を人の気配がするだけでも隠れてしまったり、近くの獣医さんへ行くだけでも大きなストレスを抱えるような子だったので、数時間かかる東大病院への通院はこの子にとってとてつもなく大きなストレスになってしまうのではないか、そのストレスで弱ってしまうのではないかと、とてもとても悩みました。

私の出した結論は、大学病院へは行かず、地元の獣医さんでできるだけの治療をしてもらう。
ゆきにとってストレスが無いよう、楽しく過ごせるよう、めいいっぱいかわいがって、もしかしたら普通の猫より早くお別れすることがあるかもしれないけれど、幸せに暮らそう、というものでした。

その後のゆきは定期的に1週間程度食欲が落ち、元気がない期間があることがありましたが、それ以外はじゃれるのが大好きで、家中を駆け回って、ごはんももりもりと食べて、よく甘えて、健康な普通の猫のように見えていました。
名前を呼ぶととことこと駆け寄って来て、投げたおもちゃを咥えて持ってかえってまた投げてと催促するので、夫は犬みたいだと笑っていました。
よく吐き戻してしまうこと、お腹の呼吸が大きい気がする点が気になり、何度か獣医さんに相談しましたが、よくご飯も食べるし、元気なので問題ないと思うと言われていました。
大学病院での検査をしないと決めたので、それ以上調べることはできませんでした。

私が「ゆきはあまり長く生きられないかもしれないから覚悟してるんだ」と言うと、夫は「こんなに元気なのに?大丈夫だよ」と半分冗談のように思っていたようでしたが、私はけっこう強く覚悟をしながらゆきと生活をしていました。予感のようなものがあったのかもしれません。

3月に入ってから食欲が落ちました。ただ、ちゅーるやウエットフードなどのおやつ類に対しては催促してきたり、食いつきも良かったので、いつもの食欲ない期間かと思っていました。
先週、食欲が戻り、カリカリももっともっとと催促され、お気に入りのおもちゃでたくさん遊んで、また元気になったなと安心していました。

3/16、大きな地震があり、ゆきは見たことがないぐらいパニックになり部屋中を駆けずり回りました。
地震が収まったあとも一緒に寝ようとはせず、ソファの上でじっとしていました。
翌日からまた食欲が落ちてしまいました。
地震のショックから来るものなのかと思い様子を見ていましたが、3/19ごろからちゅーるやウエットフードなどのおやつ類に対しても食欲はありそうですが、食べ始めるまでに少し時間がかかるようになりました。
ただ、元気ではあって甘えてきたりごろごろとお腹を仰向けにして撫でろと催促したりして、深刻な状態には思えませんでした。

獣医さんに連れていこうと思いましたが、また「元気だから大丈夫」と言われて終わりなのかな…と思って、このまま様子が戻らないようなら週明けにでも行こうと思っていました。

3/20の夜中、一緒に布団で寝ているときにお腹の呼吸がとても早くなっているのに気づき、夜間救急受付をしている獣医さんに電話をしました。口を開けて息をしているとかでなければ緊急性は無いので、遠方だし、日が明けて近くのかかりつけに行ったほうがいいのではということでしたので、そのまま朝を迎えました。
心配で撫で続けていると、気持ちよさそうにお腹を上にして丸くなって、手をぎゅーっとされました。

3/21は祝日でいつもの獣医さんはお休みだったので、初めて行く祝日診療がある獣医さんに朝一番で連れていきました。夫は普段祝日も勤務ですが、ワクチンの副反応で微熱があったのとゆきのことが心配で休んでくれたので、夫の運転で連れていきました。その時も大人しくはしていましたがそこまで深刻な状態には見えませんでした。

初めて行った獣医さんはとても優しい先生で、詳しく時間を掛けて見てくれました。
心臓が肥大していること、肺炎になっていること、胸水がたまっていること…これまで全く気づきませんでした。
多分かなり以前からではないかと言われましたが、定期的に元気がなくなる期間があったのはもう1才の頃からで、もしかしたら心臓に先天的な疾患があったかもしれないと言われました。
「このぐらい胸水がたまっていると死んでしまう子もいる」と聞いて深刻な状態なのだと理解しました。
その場で胸水を脱いてもらう処置をしましたが、処置が辛いのか口を開けて苦しそうにして、これ以上の処置は却って危険だから、抗生物質と利尿剤の注射を打つことにしよう、また夕方連れてきて、と言われ、一旦家に帰りました。

処置後は口での呼吸も収まり、ソファに座る私の隣に大人しく座って、このまま呼吸が良くなればいいなと祈っていましたが、しばらくすると口で呼吸をするようになってしまい、病院に電話をすると「今すぐ連れてきてください、一か八か胸水を抜きましょう」と言われました。
その時に、ああ、もう助からないかもしれないんだ、と覚悟しました。

夫を呼び、車に乗せ、しばらく走っていると苦しそうに暴れ始め…動きが止まった時、ああ、死んでしまったんだなと思いました。病院に連絡をすると「間に合うかもしれないから来てください」と。

病院に向かいながら死んでしまったゆきを抱きしめました。
もう死んでいる、ってわかりましたが、でも生きているような気もして、ずっと抱きしめていました。

病院の前で助手の方が待っていてくれました。診察室に連れて行くと先生がすぐに処置室へ連れて行ってくれて、延命処置をしてくれましたが、すでに心臓が止まっていて…。
処置室の下に敷いてあったタオルごとくるんで持っていってあげてください、お力になれなくて、と言われて、外まで見送っていただきました。
後で診療時間外だったと気付きましたが、何も言われず、車が見えなくなるまでずっと見送ってくれていました。
こちらの獣医さんが最後まで手を尽くしてくれたこと、とても感謝しています。

もっと早くこの獣医さんに連れていけば不調の原因が早く分かったかもしれない、東大病院へ連れていけば良かった、いろんなことが頭をぐるぐるしましたが、目の前にいるゆきは死んでしまっていて、それはもうどうしようもないことでした。私は車を運転できる状態ではなかったので夫が運転をしてくれて、とてもありがたかったです。

家に帰って、ケージ内で失禁してしまっていたゆきをきれいに拭きました。
体が大きくて、がっしりしていて手足としっぽが長くて、とても良い猫でした。
抱っこするとまだ温かく、顔もきれいで、死んでいるとは思えなかったです。

いつも一緒に寝ているように、布団で寝ました。
私の腕に腕枕して、お腹の方に体を乗せて…大きな耳がぴょこんと顔にかかってくすぐったくて、死んでいてもいいからこのままずっと手元に置きたいと思いました。

ずっと抱いているからいつまでたっても体が温かいままで、不思議と固くもならず、ただ寝ているようでした。
起きたらいつもどおり、きょとんとした顔でこちらを見て、ごはんください、って言うんじゃないかと、そんな気持ちでした。

昨日はそれほど寒くなかったのに、今日は朝から雪が降り続けています。
「ゆき」という名前は「雪」からとりました。
お外を眺めるのが好きな子でした。
ゆきを引き取った最初の冬に降った雪を興味深そうに、飽きることなくずっと窓から眺めていたことを思い出します。

ゆきと暮らしたこの6年半ほど、とても短い期間ではあったけど、とてもとても幸せでした。
楽しくて楽しくて、猫と暮らす幸せを改めて知りました。

ゆきとの別れはとても辛く、まだこれを書いている今も涙が止まりません。
生き物を飼うのは分かれる時辛いから嫌だ、という気持ちも分かります。でも私は、めちゃくちゃ幸せだったから、大事な時間を過ごせたから、私はまた猫を飼うと思います。

「みるく」「ゆき」どちらもとても大事な存在です。
去年1ヶ月だけ一緒に暮らした「ぽんちゃん」も大事な存在です。
一緒に暮らした猫はすべて大事な存在で、みんな特別な子でした。

ゆきさん、覚悟はしていたつもりだったけど、でも早すぎたよ。
夫に甘やかしすぎ、って笑われるぐらい甘やかして、かわいがったよ。
不調に気付いてあげられてなくてごめんね。辛いのに、辛いって言わないで、強い子だったね。
うちに来て幸せだったかな、ゆきと一緒に寝る時間がなにより大好きだった、幸せな時間だったよ。

まだ家にいるような気がするよ、物音がすると2階からゆきが降りてきたって思うし、朝方はカリカリってゆきがカリカリを食べる音が聞こえた。まだもうしばらくお家にいてね。


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