いままで坊ちゃんと一緒に寝ていた布団で一人で寝ていると、いままでそこにあった坊ちゃんのぬくもりと重さがなくて、悲しくて、寂しくて、恋しくて涙が止まらなくなる。
寝る前以外にも家で一人でいるときに坊ちゃんの事を思い出すと涙が止まらなくなる。
ペットロスの記事を読むと「いつまでも悲しんでいてはいけない」という事が書かれている。理屈ではそうなのだろう。だけど「そうですね。じゃあいますぐ忘れます」と簡単に感情を手放せる程の軽い存在ではないわけで。
いまも むかしも これからも ずっとずっと愛しい存在。


坊ちゃんが旅立ってから、姫さまが枕元にきてくれるようになった。
おそらく、姫さまが私を心配して様子を見に来てくれているのだろう。

寝る前なので部屋の明かりは消していて、そのため白黒の白い部分しか見えない。
暗闇の中でもやさしいまなざしを向けてくれている。姫さまはとてもよい娘だ。
姫さまは15年前、里親募集でうちの子になった。
当時、18年間一緒にいたカラフル柄(サビ柄)の子が虹の橋に旅立ってしまって、その子を失った猫型のおおきな心の穴に耐えられなくて、藁にも縋る思いで里親募集に応募した。
姫さまは他の人も応募していてトライアル先に行っていたのだけど、トライアル先で大暴れしたらしく「里親の話はなかったことに」されてしまったそう。子猫が大暴れというのは俄かに信じがたいので単純に「なついてくれなかった」等の理由だったのかもしれない。
ちょうどそのタイミングで私が里親に応募してきた。その時点でまだ複数の応募者がいたのだけど募集主様が優しい人で私を里親に選んでくれた。
思うに姫さまがうちの子になる「縁」があるから里親になれたのかもしれない。
6か月の姫さまと生活するうちに、サビ柄の子を失った猫型のおおきな心の穴は悲しみから優しい思い出に変わっていった。姫さまがうちの子になってから1年と8ヶ月後、茶白の坊ちゃんもうちの子になった。
サビ柄の子を忘れてしまったわけではない。
姫さまと坊ちゃんの存在が悲しみを癒してくれた。
いまも姫さまは15年前と同じようにそばにいて支えてくれている。
だけど私は、やはり坊ちゃんが毛皮を着替えて戻ってきてほしいと願ってしまう。姫さまと坊ちゃん、二人でひとつのコンビだったから。
毛皮を着替えて……と思いつつも里親募集でつい茶白をチェックしてしまう。
業が深いと嘲笑されるかもしれないが他の家族も「茶白の子は見つかった?」と言っている。茶白かわいいよ。
坊ちゃんが茶白以外の柄だったらその柄で探すのだろうなと思う。(現在我が家には茶白の穴があいている。)

チューリップがかなり伸びた。
花が咲くころには毛皮を着替えた坊ちゃんに逢えるだろうか。
最近のコメント