猫の殺処分はなかなか無くなりません。
何故なのか?これを解くカギは、捨て猫です。
1.殺処分の原因は人が作っている。
現在、行政が野良猫を捕獲することはありません。
個人からの引き取りです。
引き取られる猫の大部分は、一般人が見つけて拾って保健所に届け出た猫です。
その80%以上が子猫です。

原因は人間が作っているのです。野良猫ではありません。
このグラフは、保健所などに引取られた猫の数(引取り数)と殺処分数の推移です。

原資料:環境省統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
猫の引取り数と殺処分数は、平成元年 (1989年)をピークに年々減り続けています。
昭和期には猫の避妊はほとんど行われておらず、大量の捨て猫がありました。
平成になり家猫の避妊が浸透し、捨て猫も減りはじめました。
更に2000年以降罰則が強化され、飼い主のマナーも向上し、捨て猫は加速的に減少しました。
その結果が、グラフにはっきり出ています。
捨て猫が減ったから、殺処分が減ったのです。
2.実地調査
私は一年半ほど、野良猫の生息地6箇所を実地調査し、猫の増減を調べました。
場所は、いずれも山沿い、海辺などの周辺部です。
餌やりをしている場所では猫が増えている… ように見えます。
しかしそれは、繁殖して増えているのではありません。
よそから流れてくるのです。
ある場所で住めなくなった野良猫が、生活できる場所を求めて移動するのです。
知らない人が見れば増えている様に見える、しかし実際はこの様です。
元からいる野良猫はどうでしょうか?
野良猫が産んだ子もいるにはいます。
しかし数は少ないです。
また生まれてもなかなかおとなになれません。
野良猫から生まれた生粋の野良猫は、年々数が減少しています。
野良猫社会は、外からの流入によって、辛うじて維持しているのが実情です。
重大なのが捨て猫です。
野良猫の生息地によく捨てられるのです。
昔は近くの公園などでよく見ましたが、罰則が厳しくなり、離れた場所に捨てられるようになりました。
その数は、野良猫が産んだ子の数よりも遥かに多いです。
へその緒がついた生後間もない赤ちゃん。
親子で捨てられる。
この猫は、妊娠して臨月のときに捨てられました。
野良猫保護地で出産しましたが、捨てられたショックで心の病にかかり、産んだ子はすぐに死にました。

3.問題は、元からいる野良猫が減り続け、捨て猫によって補充されていること
(1)捨て猫は無くさなければならない。
捨て猫は、ある者は保健所に送られ、ある者は野良猫の仲間入りをします。
どちらも不幸です。
家で生まれた猫が野良猫として生きるのは、並大抵のことではありません。
捨て猫を発見したら家猫に戻すために里親探しをします。
しかし数が多すぎて、数人のボランティアだけでは追いつきません。
今年は、野良猫保護地のマルが、子猫の世話をしてくれます。

マルが、初めて世話をした茶トラの子猫。
生後1ヶ月過ぎぐらいに捨てられましたが、5ヶ月ほどになりました。
ここまで育てばもう大丈夫、立派な野良猫として生きていけます。
(2)元からいる野良猫を減らしてはならない。
野良猫の親から産まれた生粋の野良猫は、野生動物とかわりません。
彼らは、先祖の野生時代の生活習慣を完全に取り戻しています。
彼らの生き方は尊重されるべきです。
生粋の野良猫は貴重な存在です。
次回述べる予定ですが、人間社会にもずいぶん役立っています。
生粋の野良猫の減少は本当に深刻です。
メス猫が妊娠したら、無事に出産してほしいと祈ります。
でも流産、死産が多い。
赤ちゃんが生まれたら、何とか育ってほしいと願います。
でもおとなにならずに死んでいく子猫がとても多いのです。
子猫が、一匹一匹減っていくのを見るのは本当に辛いです。
これ以上減らさないために、せめて産まれた子猫がおとなになれるようにしたいです。
子猫を見るお母さんの目が優しいです。

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