人懐っこい黒猫が、まとわりついてきた。たぶん、捨てられた猫かもしれないと思い、家に連れて帰りたかったが、実家の父親は、あいにくの猫アレルギーで実家に連れて帰るわけにはいかず、と言って、京都の俺の下宿先にも連れて帰れない。
墓参りを終えて、車に乗り込む俺を、悲しそうな目をして見送る黒猫に、後ろ髪を引かれる思いだった。
それから時は経ち、今から約20年前、魚釣りに行った時に、人懐っこい黒猫が、俺にまとわりついてきた。痩せていて、どうやら野良猫のようだ。迷わず、家に連れて帰った。
敷名の波止で、釣りをしていた時に保護した猫なので、名前をシキナと名付けた。女の子だ。
今から、もう40年以上前に、お墓参りに行った時に保護できなかった黒猫の生まれ変わりで、俺のもとに来てくれた黒猫だと思っている。
そんなシキナが、最近、虹の橋を渡りました。21歳と9ヶ月でした。




シキナがいてくれたおかげで、たくさんの幸せを我が家に運んで来てくれました。ありがとう、シキナ。