毎朝毎夕、敷地内のレンガ造りの長い通路に、人が来る方向を向いてチョコンと座っていた。
朝は正門近くに、夕方は玄関近くに、時には寝そべり時には水路で水を飲みながら人が通るのを待っていた。
目が合うと、ニャゴニャゴ鳴きながら近寄ってきてゴロゴロ甘える。野良猫とは思えない人懐こさで、電車の時間を気にしながらも彼女をかまってから帰るのが毎日の楽しみになっていた。
冬が終わる頃から、なんとなく太ってきているな、と思いつつ、猫を飼った経験の無い私にはオメデタだとわからなかった。
GWが明けて彼女の姿がパッタリとみられなくなり、休み中に人がいなくてどこかへ行ってしまったのかな?と思っていたら、数日後、「猫の里親募集」の社内メールが回ってきた。
社内で他にも彼女を可愛がっている方達がいて、GW前に出産していた彼女を見つけて動物病院へ保護していた。
彼女の子なら引き取りたい・・・でも家はペット禁止のアパート。
主人の実家は代々犬猫を飼っていて、昨年末に愛猫を亡くしていた。
話をしたら義母は快諾してくれた。
身の回りの必要なものやフード、病院etc・・・は我家でみて、時間がある時は実家へ顔を出し、みんなで育てる事になった。
5月初旬に一足早く主人がどの子にするか決めに行き、亡くなった子に良く似ている黒サバの女の子を選んだ。それがMay。
まだ歯も生えずお座りも上手く出来ない。
週末に私も会いに行くと、あの人懐こいニャンコが母親になっていて子猫達の世話を焼いていた。それを目にしたらなぜかジーンときた。
どの子もみんな可愛くてぬいぐるみのようだった。折り重なるようにしてじゃれている様子はカゴの中の毛糸玉みたいだった。
Mayはちっちゃくて一人だけ黒くて、手の平に乗せるとニャーニャー鳴いたが、胸に埋めるように抱くと鳴きやんだ。
母ニャンコは、私もかまって!とばかりにニャゴニャゴ言いながらケースの隙間から顔を出そうとする。相変わらず人間大好きオーラを放っていた。
保護した時も、子供を人の手で取り上げても無抵抗だったそうだ。
人間を信頼しきっている。以前は飼い猫だったのかも。
6月初旬には引取りOKとのことで、もう一度様子を見に行くが、Mayは兄弟の中で一番小さく、最初に兄弟から引き離すのが可愛そうに思えた。
もう一週間預かってもらい、6/10に引き取りに行った。
ケースにはもう一人の子ニャンコと母ニャンコが残っていた。
里親さんは決まっていたので、後は引き取られるのを待つばかり。
最後かもしれないと、母ニャンコに手を差し伸べると、しがみつくように抱きついてきた。
その時初めて彼女を抱っこした。
この子だったら新しい里親さんにもすぐに慣れ、可愛がってもらえるな、と思った。
Mayはママに一番甘えていたそうなので、ママを追って大鳴きをするんじゃないかと心配だった。
だけど、キャリーに入れる時も、車で移動の間も全く鳴かず、家に付く頃にはウトウトしていた。
ひょっとしたら、大物になるかも・・・なんて思ってしまった。
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初めて会いに行ったとき。主人が胸に抱くと鳴きやんだ(5月中旬)
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