我が家にたどり着いてくれてありがとう。。。

2012年11月13日(火) 2012-11-13T00:27:07+09:00 266 / 2

足を引きずって　どこからともなくやって来た　どこかの野良猫。

ノラオ　としよう。

ノラオは右後ろ足に重症な怪我を負っていた。足の付け根から動かせない

だから動かない足の先は、コンクリートにこすれて痛かっただろう。

時間をかけてやっとの思いで　我が家の玄関にたどり着く。



三日に一度、二日に一度、一週間に一度、

バラバラの周期でやって来るところが野良らしい。

足を引きずってるから時間がかかって疲れて大変だろう　

と、いつも心配していた。



200メートル先に　無責任に猫を増やすオバサンが居る。

そこで生まれて　世話などしてもらえず、あげくの果てにご飯も当たらず

野良になってしまったのだ。

我が家の前を　痩せた体でヨロヨロと歩いているところを　

私と母がたまたま見つけた。



数日前に飼い猫を亡くし、うちにはまだ猫のごはんがあったから　

それをノラオに食べさせた。

食べ物を探し続けたノラオがたどりついた我が家に、猫のご飯があった　

ことはたまたま偶然なのだ。



およそ３年間　不定期に我が家にごはんを食べに来た。

ノラオが　わざわざ我が家に来てくれて　とっても嬉しかった。



引きずった足は、冬を越すごとに悪くなってゆく。

最初に姿をあらわした時よりも、２年半を越える頃には

我が家に来るのも　えんやこら、やっとこさ　という感じになってきた。



動物の、とくに怪我を抱えた野良の体の衰えは早く　見るに耐えない。　

しかし　けなげにも元気な姿を見せに来てくれた。

ごはんをモシャモシャと食べる姿は　普通の猫となんら変わらなかった。



ノラオがある日、痩せてガリガリのお友達を連れて来た。

あまりにも痩せこけた　骨と皮の、見るも哀れなその小さな猫を見て　

私たちはたくさんごはんをあげた。

痩せてガリガリのその小さな猫は、必死にあわててごはんを食べた。

その姿は、何日もの間、お腹には何にも入っていなかったのだろうと

思わせた。




ノラオは自分は食べずに　じっと、その子が食べるのを見守っていた。

ノラオだってお腹がすいているのに　自分より哀れなその子に

先に食べさせていた。

ノラオはその子の食べた後の　ちょっとだけ残ったご飯を食べる。　

　　　　　　　　　　　　　　　　（もちろん私たちはご飯を足した。）



「自分より哀れな仲間にご飯をゆずる」　という行為に私と母はいたく

感動した。　　人間より勝る行動を　野良猫がした。



慈悲深い心、弱いものを守る行動、他者をいたわる行為　

このすべてを　野良猫のノラオが　やって見せてくれた。



人間は　何をしているのだろう。



少なくとも私はこのことを、ノラオから教わったことを

伝えなければならない　と思う。



おととしの秋をさかいに　ノラオの姿を見かけない。

足を引きずって歩く野良猫を　まったく　見なくなった。



その冬の寒い夜、見上げた空に　ひときわ輝く星を見つけた。

ノラオ　星になったんだね。

我が家に　たどり着いてくれて　ありがとう。