交通事故で7月17日に亡くなりました。
さっちゃんは去年の5月ごろ野良の銹子さんが産んだ母猫とそっくりな女の子です。
他に4匹の兄弟がいました。茶トラが3匹、茶白が1匹。

9月半ば、室内しか知らない志づが隙を見て外に出てしまい、2日間帰って来ないことがありました。やっと帰って来た志づの傍らにはさっちゃんがいました。
それからさっちゃんは私達の恩人となりました。
すでに兄弟の茶トラ3匹はいなくなっていて、残った兄弟の茶白のよっちゃんと一緒に家でお世話しようということなりました。
よっちゃんはわりと早く仲良くなれたのですが、さっちゃんは警戒心が強くて近づくだけで逃げて行ってしまいます。どんなに寒い吹雪の日も家の中には入りませんでした。
春になり5月2日、珍しくさっちゃんが家に入って来ました。30分もしないうちに仔猫の鳴き声。駆け込み出産です。5匹の子供を産みましたが4匹は死んでしまいました。
茶々を産んでからのさっちゃんは鼻の先からしっぽの先まで使ってスリスリ。私達を信頼してくれてとても仲良くなりました。
7月17日、外に出たさっちゃんがなかなか帰って来ません。
さっちゃんはトイレはみんなと一緒ではなく、外でないとダメなんです。いつもなら茶々もいるしちゃんと戻るのに前の日からなかな戻りません。
事故にあったのでは...外を見ても道路には事故の形跡がありません。
ずっと外を見ながら帰りを待っていると、数羽のカラスが低く飛んでいくのが見えました。
まさか...カラスの後を追うと、さっちゃんが横たわっていました。交差点の歩道と横断歩道の間、人間の歩行者だったら一番安全な場所です。
すでに目ざといカラスの生きる糧になっていて、さっちゃんの面影は残っていませんでした。頭が真っ白になって家に帰りました。その後、弟がさっちゃんの亡骸を連れて帰ろうと迎えに行ったときには、誰かが片付けてくれた後でさっちゃんはもういなかったそうです。
その日の夜から山形は全国ニュースのトップになるほどの豪雨続き。家の前の緩い坂道は川のように濁流が木枝なども巻き込みながら流れ、さっちゃんがいた交差点は側溝の蓋の楕円形の穴から噴水のように水が吹き上がっていました。
さっちゃんの歩道にこびり付いた茶色の毛も黒い毛も血も匂いも全部消えてしまうんだろうなと思いました。ところが雨が上がり乾いた歩道には未だにさっちゃんが遺したシミが消ずに残っています。
猫とお別れする度にあの子は本当に猫だったんだろうかと思います。
用心深くて懐かないさっちゃんはおとなしくて控えめな人間の若い女の人のような気がしています。


あなたが遺した茶々。大事にするね。
いつか、きっとまた会えるね
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