あずき大脱走

2013年9月25日(水) 955 / 2

いやいや、まてまて落ち着かなくちゃ。
まさか飛び降りることなどしないだろう。

夫はすぐに外を見てくる、と飛び出していった。
息子は友達との待ち合わせ時間が迫っていて、もう出かけなくてはならない。いたとしても息子の行動予測まで気が回らないだろうから、外で遊んでくれていたほうが気が楽だと思った。

とりあえず一人になった家内を念入りにさがす。
押入れの天袋の奥、テレビの裏側、ソファーの奥。

いない、いない、いない。

涙が止まらない。

どうして？どうして？

その時、電話が鳴った。
夫からだった。
「１Ｆの駐車場の西側にいる！とにかくすぐ来て！」

指定された場所に急ぐ。

やっぱり外に出てたんだ！怪我はない？無事なの？
全速力で走った。

現場に到着すると夫が立っていた。
「あずき！あずきは？」
「声をかけたら茂みの向こうのベランダに逃げ込んじゃった」
「歩いてたの？あずきなの？何で逃げるの？」
「見間違えるわけないだろう。」
「どこ、どこに行ったの？あずき！あずき！」半狂乱の私。

取り乱していても意味がない。近くにいるのだ。
とりあえず逃げ込んだというベランダの家主さんに事情を話して捕まえなければ…。

ところが家主さんに確認してもらってもあずきの姿はベランダにはなかった。
わずかな隙にどこかに行ってしまったらしい。

どうして？どうして？

ただ、ただ、悲しくて涙があふれた。

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