＜お昼寝の時眩しいのか、よくこのポーズをしてたね＾＾＞
金曜日の午後、妻から会社に電話がかかってきました。
「このままチンちゃんを諦めたくない。セカンドオピニオンとして他の病院にも連れてゆきたい。」
いままで病院は一つしか掛った事がありませんでした。お医者さん達の間でもやり方や考え方の違いが有るだろうから、下手に別なところに連れて行ったら却って良くないんじゃ、とも思ったのですが、とりあえず口コミなどで良く調べて、良さそうなところが有ったら明日連れてゆこう、という事になりました。
帰宅すると妻は同じ町内の比較的新しめの病院を選定していました。でも、いまの病院ではまだはっきりと”手の施しようが有りません”と言われてはいません。それを宣告されるだけなのではないか、私としては重い気持ちしかありませんでした。
その日の夜、子供を寝かしつけてから二人で寝室から降りて来ました。チンちゃんは窓の前にじっと座って外を眺めています。お外に出たいときは良くこうやって窓の前に座っていました。妻と私は、チンちゃんを抱っこして夜のお散歩に出かける事にしました。妻の腕に抱かれたチンちゃんは、散歩中ずっと道脇の林を静かに眺めていました。
うちのチンちゃんは本当に甘えんぼ、みんなと一緒が大好き、特に妻が大好きで、私たちが散歩する時には妻の後について一緒にお散歩してくれるめずらしい子でした。しっぽをピンと立て、タッタッタと嬉しそうに小走りで付いてきては時々立ち止まり、草にじゃれついたり、蝶を追いかけたり、近くの音にビックリして聴き耳を立てたり。そして私達と距離が出来た事に気付くと大急ぎで走って来る。そんな、みんなとお散布するのが大好きな、元気で人懐っこい子でした。
＜家族でのお散歩。うちの周りを、よくみんなでお散歩したね。＞
「また元気になってくれないかな。」
今ではもうしんどくて歩くのもままならないチンちゃんを抱きながら、妻は声をあげて泣いていました。
翌、土曜日の朝、娘を保育園に預けた後、私たちは雨が降りしきる中新しい病院へ車を走らせました。後部座席で妻は「絶対生きてお家に帰って来るんだからね！」と何度もチンちゃんに言い聞かせていました。今日はただ診てもらうだけなのに。私はそう思いながら、そんな妻とチンちゃんの様子をバックミラー越しに見ていました。
新しい病院は活気があり、ペット美容室も併設されている事もあってか、まだ朝早い時間帯なのにペットを連れた飼い主さんが何組も来院されていました。診察室に呼ばれチンちゃんの状態を説明すると「何はともあれ検査をしましょう。」と言われ採血して頂きました。検査するというのは考えてみれば基本ですが、前の病院ではしてもらっていなかったので、なんだかとても頼もしく感じました。でもチンちゃんは注射が大嫌いなので、採血の間診察台の上で「ウゥー、ウゥー」と唸るような声を挙げていました。
検査の結果が出るまでゲージにチンちゃんを入れて待合室で待つ事になりました。よっぽど注射が嫌だったのか、チンちゃんはゲージの中で興奮して暴れていました。
いや、そうなんだと思っていました・・・
私はゲージの柵の隙間から指を入れ、チンちゃんの耳や足先を撫でてやりました。妻は「もう終わったから大丈夫だよ。」と何度も声をかけてあげていました。
やがてチンちゃんは落ち着いたようで、ゲージの中で静かになりました。
ぺったん したユーザ
ぺったん
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