そして、大の猫嫌いでありまして、この生き物だけは生涯ぜったいに飼うまい。などと誓っておったのであります。
しかし、人生の矛盾はといいますと、時として、恐れているものを引き寄せる傾向にある。
ということであります。
あれは5年前の12月24日、粉雪舞い散る「クリスマス・イブ」。
でありました。
南国土佐といえど、真冬ともなれば、それはそれは冷たい日もあるのです。
そんな、寒い日の出来事であります。
南国市を流れる一級河川、物部川(ものべがわ)堤防で、捨てられている一匹の子猫を保護してしまったのであります。

魔が差した。
と、言ってしまえばそれまでなのですが、この「12月24日クリスマス・イブ」は、私にとっては特別な日なのでありまして・・・。
それは何かと申しますと。
もう、ずいぶんと昔のことなのですが、婚約者を病気で失った日なのであります。
私にとりましては、人生で最も悲しい日なのであります。
よりによって、そんな日に、寒さで凍え死にかけている大嫌いな猫の小さな生命が目の前に存在する。
神様というのは、つくづくこの私に試練を与えてくださる・・・。
いやはや、困り果てた私は、結局は動物病院に、その子猫を運ぶのであります。
さて・・・。
そこで、またしても大試練が私を待ち受けているのであります。
それは何かと申しますと・・・。
実は、私の母も大の猫嫌いでありまして、この子猫をつれて帰れば大変なこととなりうる。
その試練であります。

結局。
さんざん無い知恵を振り絞ったあげく、春まで、四月まで飼う、それまで里親をみつけ、無理だったら吉川漁港のテトラポットに捨てる。
この条件で嫌がる母をなんとか説得し、保護した子猫との同居生活が開始されたのであります。
そして・・・。
必死? の介護が功を奏し、ぶじ子猫の生命は救えたのでありますが、残念なことに左目だけは潰れた状態なのであります。
さて・・・。
あれから五年の歳月が流れ体重も、今や7キロオーバーと、かなりのメタボぎみ。
家中を、ところ狭しと走り回っているかと思えば、布団や椅子の上でヘソ天で爆睡と、なんとも、その仕草の面白いこと。
掃除機が大好きで、どこからともなく現れて、ヒックリ返ります。
今や、しっかり家族の一員としての地位を確立しております。

まぁ、メデタシと、しておきましよう。
何はともあれ、私の中でネコに対する偏見が、少しづつ雪解けしている今日この頃であります。
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