第一章　雨　続（翡翠の過去Ⅲ）

2007年2月2日(金) 518 / 3

穴の中は思ったよりも広く奥には白く輝くようなきれいな毛並みのネコがいた。

琥珀：『ただいまです花さん。ぇっとこっちはなんか近くでご飯探しててお腹空いてるようだったから連れてきて・・・それで・・・ぇっと・・・』

どうやら翡翠のことを上手く説明できないでいるらしかった。

翡翠：『初めまして。翡翠といいます。』

お腹が空いてふらふらだったが気力でなるべく礼儀正しく見えるように頑張った。

花：『初めまして。翡翠君ね。私は花っていうの。お腹空いてるんでしょう？こっちでご飯食べていいわよ。琥珀も一緒に食べたらどう？』
琥珀＆翡翠：『ありがとう御座います』

同時にお礼を言ってから２匹はお互いに顔を合わせて笑った。
そんな様子を見ながら花は

花：『なかなかいいコンビのようね』

とつぶやいた。

さて、お腹一杯ご飯を食べミルクを飲んでから翡翠は花と琥珀に自分の話を話し始めた。

翡翠：『僕のお母さんは優しくて強くてかっこよかったんです。
でも、僕気づいたらここの公園にいてびしょびしょで死にそうになってたんです。
でも女の子が来てくれておいしいハムをくれてそれで僕元気になって、それでしばらくは楽しかったんです。女の子は毎日来てくれて毎日公園で遊んで僕は幸せだったんです。
けど・・・しばらく前から女の子が来てくれなくなって・・・・・
僕一人で寂しくてお腹も空いてて・・・。
そしてさっきゴミ箱をあさってたら琥珀君に会ってっこに連れてきてもらったんです。』

いっきにいままで憶えていることを話した。翡翠は話しながら泣き出してしまった。最後に目に涙を溜めながら

翡翠：『あの子、僕のコト嫌いになっちゃったのかな？』

顔を上げてみると琥珀も花さんも泣いていた。

花：『・・・翡翠くんの言っている女の子のことは多分夜叉さんが知っているわ。』

しばらくしてみんな泣き止むと花さんが教えてくれた。

花：『もう少しすれば見回りから帰ってくると思うからそれまで休んでなさい。』

そう言われて翡翠と琥珀はしばらく眠った。

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