人間も気をつけないといけない熱中症。今回は夏に向けた熱中症対策についてお伝えいたします。
猫の先祖は中東の砂漠などに生息していたリビアヤマネコといわれています。リビアヤマネコが人に飼われるようになったのは4000~5000年くらい前で、ネズミなどの駆除を目的に人間との共同生活が始まりました。ここから更に様々な進化を遂げ、いまのイエネコになったそうです。
もともと砂漠に住んでいたリビアヤマネコを祖先に持つ猫は、比較的暑さに強い動物だと言われていますが、それでも昨今の夏の厳しい暑さでは体調を崩すことがあります。
猫が熱中症になりやすい時期は人間と同じで夏場の6~8月が最も多いと言われています。
特にこの時期の室内飼いの猫は油断大敵です!「家の中で普通に過ごしている時」や、「家の中でお留守番中」に熱中症になってしまう猫がとても多いからです。特に原産地がロシアなどの北の方の猫や、長毛で被毛が豊かな猫は体の中に熱をためやすいため、特に注意が必要です。
猫の熱中症を見分けるには、どうしたらいいのでしょう?
熱中症は症状として、ふらふらする、ぐったりする、呼吸が浅く・早い(ハァハァしている)、食欲低下、水を飲まない、よだれを垂らす、目や口の中が充血しているなどが見られます。こんな症状が見られたら、まず涼しいところに移動させて濡れタオルで体を包んであげたりし体温をさげて病院に連れて行ってあげましょう。
症状が進行すると、失神・痙攣や血便・血尿、呼吸困難によるチアノーゼ、血圧低下によるショック症状などがみられます。この症状が見られたら命にも関わってきますので、応急処置を施し、迅速に病院につれていきましょう。
熱中症をふせぐには?
猫の熱中症の原因は暑さと脱水になります。では、室内飼育の猫のためにできる、暑さ対策について考えてみましょう。
お留守番中の室温に注意
暑い日は、飼い主さんが在宅時はもちろん、外出しているときや眠っているときは特に注意して、エアコンはつけっぱなしにしてあげましょう。
エアコンの風が苦手な猫もいますので、エアコンで室内の空気を冷やしつつも、猫が自由に移動できるよう、部屋のドアを開け放っておくといいですね。
ドアを開けておく際は、扉が勝手に閉まらないようにしっかりとドアストッパーをかけてあげましょうね。うっかりドアが閉まって暑い部屋に猫が閉じ込められてしまっては大変です。また、直射日光が当たる窓のカーテンやブラインドは閉めて室温の上昇に気を付けましょう。
新鮮な水をたっぷりと!
猫は体内の水分が減って脱水状態になると、熱中症になりやすくなります。家の中のあちこちに水の皿を複数用意し、いつでも新鮮な水が飲めるようにしてあげるといいですね。
流水を好む猫の場合は、水道の蛇口を少し開けて、洗面ボウルに水を溜めるという方法もありますが、あまり経済的ではないので水が循環する給水器などがおすすめです。
あまり水を飲まない猫にはフードで調整
あまり水を飲まない猫の場合は、餌をウェットタイプにしたり、ドライフードに水を含ませたりして、食事から水分をとれるように工夫してあげましょう。市販のウェットフードに含まれる水分の割合は70~80%ですので、ウェットフードなら食事と一緒に水分も摂取できます。あまり水を飲まない猫の場合は水分補給の効果がありますのでまずフードで調整することを始めてみましょう。
トイレを綺麗にしてあげましょう
猫は足の裏以外からは汗をかきません。摂取した水分を尿として排泄することで、体温が下がります。トイレが汚れていることを好まない猫の場合はトイレを清潔に保つことを心がけ、いつでも気持ちよく排泄できるようにしてあげましょう。
「お気に入りの場所」を涼しくしてあげましょう
猫には家の中にお気に入りの場所があり、多少暑くてもその場所に居続ける習性があります。お気に入りの場所が暑いときは、ペットマットやアルミシート、ペット用の小型クーラーなどの「ひんやりグッズ」も効果的です。凍らせたペットボトルをタオルで包んで側に置くなど、身近なものでも工夫できます。ただし冷やしすぎには注意です。
猫はからだが脱水していても、あまり水を飲まないこともあります。
「水を飲まないのは喉が渇いてないからだ。」と安易に判断してはいけません。脱水まではいかなくても、水分摂取量が少ないとおしっこが濃くなり、尿路結石ができやすくなったりしますので、やはりきちんとお水を飲んでくれる環境づくりをしてあげましょう。
いつもと違う様子が見られたらすぐに病院へ!
猫は、具合が悪い様子をあまり飼い主さんに見せたがりません。耳の中がいつもより熱かったり、嘔吐や下痢を繰り返したり、口を開けて呼吸することなどをしていたら、熱中症のサインかもしれません。
まずは応急処置
熱中症の応急処置として重要なことは、まず体温を下げることです。
濡らしたタオルで首や胴体部分を包み、エアコンの効いた部屋で体を冷やしてあげましょう。タオルはすぐにぬるくなるので、こまめに交換してあげてください。氷枕や保冷剤などを効果的に使って全身を冷やしてあげるのもいいですね。
動物病院に連絡しましょう
あわせて、すぐにかかりつけの動物病院に連絡をして、指示を仰ぎましょう。夜間などでかかりつけの病院に連絡がつかない場合には24時間電話で対応してくれる動物病院などをチェックしておくと安心です。
脱水状態かどうかを簡易的に調べるために、背中の皮膚をつまんで確かめる方法があります。皮膚をつまんで90度ひねると、通常はつまんだ皮膚は15秒程度で元に戻りますが、なかなか戻らない場合は脱水症状の可能性があります。ただし、太った猫の場合は脱水症状でなくても戻りが遅いことがありますので、普段どのくらいで戻るのか日常的に確認しておくといいですね。判断に迷ったらすぐに獣医さんに相談しましょう。
猫は自分の居心地の良い場所を見つけるのが上手な動物です。暑いときはひんやりした廊下や玄関へ、寒い時は日差しが暖かい窓辺へと、自由きままに行ったり来たりします。猫が自由に移動できる、「いつも通り」の環境が、何よりの夏バテ予防かもしれませんね。
人間にとっても厳しい夏の暑さ。ちょっとの工夫や気配りで、人間も猫も快適に過ごせるようになります。一緒に頑張って、しっかり夏を乗り切りましょう!