【閲読注意】彼らの呪怨『見えるんです』

2016年4月30日(土) 323 / 2

私がまだ実家暮らしだった頃、実家には犬が居ました。
それはもう、可愛い可愛い秋田犬で、穏やかで賢くて、野良の仔猫さんに自分のゴハンを分けてあげたり、来客にも吠える事は無かった。

ただ、ご近所のあるおっさんを除いては…

そのおっさんは、用事で時々わが家を訪れていたのだが、そのおっさんが来ると、うちの秋田さんは犬が変わった様に吠えまくり、どんなになだめても無理だった。

平穏な昼下がり、まずは普段は発さないような唸り声からはじまり、そうすると、
「ごめんくださーい」と、その近所のおっさんがやって来る。
そして、そのおっさんが用件を終えて帰るまで、終始うちの秋田は吠えて吠えて吠えまくる。毛を逆立て、鼻にはシワを寄せて、牙をむき出して。(飼い主ですらコワイくらいに T^T)

で、そのおっさんが帰っていくと、落ち着いて穏やかな秋田さんに元どおり。

なんでこの子は、あのおっさんに対してこんなに怒るんだろう？

と私が疑問に思っていたら、うちの母が

「あの人、以前、燃えるゴミの日に仔猫を袋に入れて捨ててたから、色々憑いてるんじゃない？」

と教えてくれたΣ(ﾟДﾟ；)
自分ちの軒下に産まれた野良の仔猫数匹を‼︎
あーんな人の良さそうな顔をして！

でも、これは近所では割と有名な話だったらしく、仔猫を燃えるゴミに出したのはその一度きりがどうかもわからないけど、
そのおっさんを威嚇するのは、うちの秋田だけではなく、ご近所のわんちゃんのご主人も「うちの子もなのよ〜」言っていた。

もうとっくの昔に、虹の橋を渡ってしまった秋田さんだけど、きっとあのおっさんにとり憑いてる、私たちには見えないものが秋田さんには見えて(感じて)いたんだなぁと納得したのでありました。