・・・う~ん、白ってかなりライオンだ。
あの寝ぼけた色具合もさることながら、歩き方がまさにライオン。
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庭をのそのそ歩くと、肩の骨が右、左、と盛り上がる。
トラは軽くテテテテ・・・っと歩くのでライオン歩きはしない。
自然界では白いライオンは目立つので、危険にさらされたり、獲物をとろうとしても相手に気がつかれたりと大変らしい。
実際、夜の庭でも白がササーっと歩くと結構目立つ。
落ちてるレジ袋なんかが白に見えることはよくあるし。
小さなときは体の弱さもあったし、白くて目立つから(子供のころは背中も白かった)庭で遊ばせてるときもいつ上空から鳶に襲われるんじゃないかと気が気でなかった。
ニャアは鳶がくるくる回り始めると、すぐに子供たちのそばに戻ってきて唸り声をあげながら警戒態勢MAXだったしね。
そんな時はすぐにトラ白を回収して倉庫に避難させていた。
ライオンの子供たちは大人になるまでの2年間、母ライオンから隠れ方や狩りの仕方や戦い方などみっちり学んでいた。
ニャアは離乳食が始まる頃から、ネズミを捕まえてきては子供たちに遊ばせながら狩りを覚えさせていた。
雉を捕まえようと二手に分かれて忍び寄り、連携することも教えたり。
二人はニャアから教えてもらったものしか口にしない。
だからテーブルの上に出ている唐揚げとかは見向きもしない。(ニャアはくすねていたけど)
おやつも、ニャアの好きだったクリチューとちゅ~るが好き。それ以外のものを買ってきてもハズレてばかり。だからおやつはクリチューとちゅ~るしか買わないよ。
狩りをした獲物も、食べるものは決まっている。
蛇やモグラ、カエルは食べない。
草もイネ科系の葉だけ。だからネギやニラ、水仙が植えてあっても何の心配もない。
思えばニャアも毎日朝晩、飽きもせず白とトラを鍛えていたね。
トラは戦うことが好きでなかったみたいで逃げてばかりだったけど、その全速力で走る姿はなかなか見ものだったよ。
白はことあるごとにニャアと戦っていた。
物陰から襲い掛かったり、投げ飛ばし合いをしたり。
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のほほんと歩いてる白にニャアが突如襲い掛かって、慌てふためく白を見るのはおかしかったよ。
白が1歳半になったころ、庭にやってきたよそ猫をニャアは追い払わなかった。
白が出て行って、唸り声をあげて、メンチ切って戦うのを背後からだまって見ていた。
白はニャアに見られているのを意識してなのか、時々チラッと振り返る。
立派に戦わないと後でママに叱られる・・・そう思ったのか?
それともいい戦いっぷりを見てもらいたかったのか?
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無事によそ猫を追い払って、白は満足そうだった。
ニャアもほっとしたのか居眠りに入る。
白はニャアという後ろ盾と、人間という猫にとっては脅威な生き物を味方につけて戦いの練習を重ねていった。
それにもともとこの庭はぐるっと高い塀で囲まれているから、縄張として守りやすいのかもしれない。
今では猫集会の時期にでもならないと、よそ猫を庭で見かけることはない。
昔はいろんな猫がこの庭をパトロールしながら通っていったけど、ニャアはそれらの猫をすべて排除してこの庭を安心できる場所に築き上げていった。
ニャア亡き今、白はニャアから教えてもらったすべての知恵を出しきってこの庭を守っている。
去勢した猫が未去勢の猫に負けることはよくあるらしい。
でも白は、去勢はしていても外での生活に必要な知恵と度胸と経験をニャアから学んだ。
だから決してよそ猫に負けない。十分な食べ物を与えられているので、恵まれた体格も体力も武器になっている。
ワイルドライフ、白とトラはかなりそれに近い生活をしているかもしれない。
でも出入り自由ではないし、トラの門限は夜九時、それをすぎると探して回収。その後は出してもらえない。
というかその時間を過ぎると目がしょぼしょぼして寝落ち寸前(笑)
白は門限夜12時。たいがいはその前には戻って来るけど、時々午前様になってしまう。
猫集会の時期になって家の周りが騒がしいと、今日は特別に~ねぇ~お願い~みたいな感じで出掛けることはある。(トラは猫集会には参加しない)
白のほうが遠出するらしいので、GPSロガーを装着されている。
猫語が理解できるなら「今日はどこ行ってきたん?」とか話を聞くことができるのだけど、白がウナウナ言っててもさっぱりわからないので、GPSで白の行く先だけは教えてもらっている。
大体、高校生か大学生くらいの生活なんだろうか。
まぁ、夜中に帰ってくる大学生たちを庭で出迎えて帰って来ることは結構多いいし。
生まれた時から住むところ、食べることに困ったことがないので、ワイルドとは言えないかな。
暑ければクーラーの効いた部屋で涼む。寒ければコタツで温まる。雨が降ったり強風が吹くとパトロールはさぼるしね。
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リビアヤマネコのような外見と野性味と 家猫の可愛らしさを持つニャア。
ニャアのおかげで白は幻の白ライオンのような過酷な運命は全く背負ってはいない。
ニャアに守られて、のほほ~んとした生活を今日も送っている。
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