夜になってもトラが帰ってこない。
寒がりだから、暗くなるころには必ず家の中で爆睡するはずなのに。
白がいつものように、入ってきてはカリカリを食べ、また出かけて行く。
白にトラを探してきて、と言うが白はのんびりしてる。
とりあえず、事務所や倉庫や車の中を確認しつつ、近所の道路も見て回る。
う~ん・・・機嫌を損ねた時に野宿をしたことはあったけど、何か怒らせるようなことしてないよね。
だいたいトラは白と違って行動範囲が狭く、車の音や、物音ですぐに姿を現せるところにいることが多いいのに。
旦那さんは、ニャアの時には探しに行ってくれたけど、それが辛過ぎたのでそれ以来誰かの帰りが遅くても探しに行けなくなってしまってるし。
翌朝になっても帰らない。
零下にまで下がった明け方はどこでどう過ごしているんだろう。
夕ご飯や朝ごはんやミルクを飲まずにいられるはずがない。
トラがよその家でお接待を受けているとは思えない。
白だったら多少はありうるけど。
以前原因不明の「足が痛くて歩けない」事件があったことだし、どこかで怪我して歩けないのかも。
どこかの家の畑や庭や納屋にいても、そこの家人が近づいてトラの首輪の電話番号が確認できるとは思えないし。
畑とか竹藪を探しつつご近所さんに聞き込みをしようと、トラの特徴がよくわかる写真を何枚か大きく印刷して持って出た。
土手や側溝や資材置き場や塀の向こう側の畑など見て回った。
そこへ大学生1が戻って来て、人に用を言いつける。仕方なくいったん家に戻る。
泊りがけでレポートを書いていて、昼頃帰宅した大学生2が庭をうろうろとトラを探し回っていた。
写真を印刷して聞き込みに行っていると聞いて、驚いて探していてくれていたのだった。
「いたよーーー!トラ、いたよ!」
トラが元気に走り寄ってきた。
よかったーーーー!
どこにいたのーーー?
「パジエロの中にいたよ。運転席を覗いたら、ちょこんと座って、こっちを見てた。」

しまった! パジェロの中は確認してなかった。
母屋のすぐ東側に廃車されたパジェロがおいてあって、なかに荷物などをとりあえず入れたりしてるので時々開け閉めしている。
昨日の午後、後ろの扉を開けて、荷物を出し入れしたんだった。
あ―――そんなこと、すっかり忘れていた。
やっぱりトラは庭にいて、久しぶりにパジェロが開いたんで入り込んでいたんだ。
知らなかったとはいえ、色んなところを開け閉めするときには猫が入り込んでいないか、注意しなくちゃいけないんだった。
またしてもやってしまった。
今度は真冬の車内に閉じ込め。
もし見つけられなかったら、どうなっていたことか。
トラはに特に弱っている様子はなかった。
すぐにちゅ~るとミルクを飲んでもらった。
お腹いっぱいになったのか、クリチューはいらないという。

のんびりほなたぼっこを始めた。
トラがいらないといったクリチューを母屋の前で昼寝している白にあげようと近よった。
お代わりを要求されたので、また袋を開封。
と、その音を聞きつけてトラが猛ダッシュしてやってきた。

良かった~いつものトラちゃんだよ。
トラ白、一緒に食べてね~

あ、やっぱり白は遠慮するんだね。
あら、そんなの当然よ。白ちゃんは、あたしがいない間に沢山食べたでしょ。

あ~~~すっきりしたにゃ♪
トラちゃん、本当にごめんね。
こんなこと二度とないように絶対に気を付けるからね。
トラはひどい目に合わせたのが誰のせいかなんて、全くわからないみたいだった。
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