ミラノの保健所ページによる、イタリアでの猫絡みの法律紹介、第三弾です。
http://www.cittametropolitana.milano.it/export/sites/default/diritti_animali/pdf/La_colonia_felina_e_altro1.pdf
原則、避妊去勢以外には捕獲が許されない自由猫、
病気や里親募集の対象となれば、シェルターに収容されます
その際の収容施設(含犬)について、商業用のものについても、細かく基準があります。
Art.106 33/09
収容施設(シェルター、商用)の目的別に規制があり、公私営、期間を問わず登録の義務がある
Art.108 33/09
地方自治体の許可
Art.7 Reg R.L. 2/08
公私営を問わず、市町村、保健所の許可を必要とする(種類と最大収容数明示)
200頭を超える犬の収容は禁止(所定の審査を通過すれば、例外も認める)
Art.9 Reg R.L. 2/08
私営施設の種類
○保護施設…営利目的ではないもの(公営シェルターが各地方自治体にあり、収容の中心となる)
○ペットホテル
○営利目的の繁殖所
○アマチュアの施設…営利目的ではなく、時には他の所有者の動物も預かる(日本の預かりさん?)
○商業施設
Art.13 Reg R.L. 2/08
保護設備の必要なもの
○許可証
○許可された頭数の最低5%に当たる、隔離や看護を目的とした檻や個別ケージ
○施設や輸送に使用する車両の、お湯を使っての洗浄や消毒ができる設備
○フードの収容場所と準備のできる場所
○看護環境
○整った管理(経営)体制
○衛生管理
○適正な廃棄物の処理
Art.18 Reg R.L. 2/ 08
保護施設、ペットホテル、繁殖、アマチュアの預かりの必要なもの
最低1㎡の面積、1mの高さ、ここには2匹の相性の良い猫のみが収容される
Art. 19 Reg R.L. 2/ 08
多頭収容の猫用ケージ
○高さ最低2m
○適正な通風、湿度、日照、気温
○高さ1.5m以内の、洗浄消毒のし易い仕切り
○柵等は、防錆対策や危険性のない金属の使用
○室内用は、洗浄や消毒のし易い滑りどめの床材で、汚物が流れやすいように傾斜、
溝(覆われた)がある
○室内用は、十分に休息できるスペースが有り、それぞれがいられる多層階、アクセサリーつき
○室外用は、ネット等で完璧に囲み逃走を防ぎ、屋根は部分的に日除けを作り、アクセサリーつき
○床部分は水はけを良くする
○食器等は丈夫で、洗浄消毒しやすいもの
○排泄物収納容器
Art. 21 Reg R.L. 2/08
30日以内収容の商業用ケージ
グレーの部分、左から猫の数、体重、面積、高さ
体重4kg以下の場合、1匹ならば0.3㎡、60cm、2匹ならば0.6㎡、60cm
あくまでも30日以内の収容、長期のものではありません。
犬や猫を必要以外にケージに閉じ込めるという習慣は、ないようです。
Art. 25 Reg R.L. 2/08
施設の管理
抜き打ち調査あり、収容動物に医療を受けさせる義務がある
MALTRATTAMENTO虐待
Art. 108 33/09
殺害…3ヶ月から18ヶ月の懲役
虐待…3ヶ月から1年の懲役、3000から15000ユーロの罰金
薬物利用も同刑、致死の場合は50%増
遺棄…1年の懲役、もしくは1000から10000ユーロの罰金、不適正飼育も同刑
南部カラブリア州で起きた、ノラ犬アンジェロの虐待・殺害訴訟
イタリア全土での、反虐待のシンボルとなっています。
被告の4少年は、素直に非を認め(刑が軽くなる)、16ヶ月の求刑となっています。
CONDOMINIO集合住宅
共同住宅の規約は、住民の過半数の賛成により共有部分での存在や徘徊を制限することができる、
各戸での飼育を禁じるのは、全員の合意が必要である。ペットは個人の財産として保護される。
10頭を超える所有の場合は、市町村に届け出、保健所に連絡される
「共同住宅の規約で、ペットを飼うことを禁じることを禁じる」
=すべての住宅で飼育をすることが許される、とイタリアだけでなく、日本でも紹介されました。
しかし、所有賃貸がごっちゃになっているイタリアの集合住宅、
家主の許可がなければ、飼育はできません。
公認ヴォランテイアの育成コース(国家機関や保健所との協力をする)が準備されていて
ミラノの公営シェルターでのヴォラさんは、最低限の講習を受けることが必要とされています。
現時点では猫の登録は必要ありませんが、自由猫へのマイクロチップ挿入が進められています。
http://www.striscialanotizia.mediaset.it/video/cuccioli-in-difficolta_28629.shtml
人気の告発TV番組striscia la notizia
多品種に渡る子犬を同一人物がネット販売(ネットでの販売は合法)
しかし登録繁殖者には、特定種のみの許可=多種は違反
サクラ(女性)を送り込み、飼育環境や子犬の状態、値段、支払い方法(現金=脱税)を確認
中には衰弱して死にそうな子もいる…
不適正飼育が明らかになったので、男性レポーターが訪問、本人は許可があり最高の環境での繁殖と主張
許可を得て飼育現場を収録
多種繁殖、医療を受けていない、飼育設備の不適正が明らかになったので、警察機構への通報・介入
動物の差し押さえ、繁殖者は虐待と殺害で訴えられる
法律が完備されているから可能な処置、日本にも必要とされるものです。
わかりにくい日本語が並びましたが、意味としては通じるのではないかと思って(願って)います。
犬を繋いで飼うことや、必要以上にケージに閉じ込める習慣のないイタリア
…シェルターからの譲渡の際には、条件となることもあり、
譲渡後のチェック事項にも含まれる場合がある
ペットショップ(含ネット)では、家庭での猫用のケージの販売は皆無に近い
動物にも権利がある…人権保護を重んじるイタリアの基本的姿勢は、
いま日本でも注目されつつある、animal welfare動物福祉が基本ではないかと思います。
権利と義務は背中合わせ…むか~しむかしの中学時代に勉強しました。
イタリアでは自由猫の権利が認められていますが、義務は…?
可愛いだけで十分なようです(^^)
いつものおまけ…^^;
サン・ピエトロ寺院のすぐそばにある、カステル・サンタンジェロ(聖天使城)の夜景
ローマ帝政時代の五賢帝の一人、ハドリアヌス帝(第14代 在位117年 - 138年)の霊廟として、
在位中の135年建設を開始、139年に完成。
五賢帝時代…
帝政ローマ期、戦争もなく最も落ち着き繁栄した5皇帝の治世時代、
後継者は血族ではなく、優秀な元老院から選び、養子にしたとのこと
…現在のイタリアには、耳が痛い事
14世紀以降は歴代のローマ法王によって要塞として強化され、同時に牢獄や避難所としても使用。
サン・ピエトロ寺院とは塀でつながり、16世紀の「ローマ略奪」の際には、
法王はこの塀を利用して避難。
カステル・サンタンジェロの名前の由来は、590年にローマでペストが大流行した際、
時の法王グレゴリウス1世が、廟の頂上で剣を鞘に収める大天使(聖天使)ミカエルを見て、
ペスト流行の終焉を意味するとしたことに、由来します。
頂上に載る、剣を鞘に収める大天使ミカエル像
かつてはハドリアヌス帝が戦車を引く像でしたが、教会権力により、17世紀に置き換えられました。
古代ローマの遺跡には、必ずと言って良いほど教会の手が入っています。
例えば皇帝の業績を彫った柱の頂上は聖人像、
古代文明の魁エジプト占領の印として持ち帰ったオベリスク、トップには十字架
…偉大なローマを下にする
ネズミを媒介としたペストに悩まされた欧州
鎮静は、歴史的にローマで愛され続けてきた、野良猫の活躍によるのかもしれません。
猫の彫像だったならば、ちょっと笑えるかな…^^;
イタリアの猫を愛する姿勢…歴史から暗黙のうちに了承されてきたのかも…?!
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