子供のいない高齢の夫婦二人だけの家。
そこに猫が一番多い時でおよそ18匹。
さらに餌のおこぼれをもらいに来る猫、2匹。
そのうちの1匹が今家にいる「ふぅ」なんだけどね。
現在でも12匹の猫たちがいる。
(詳しいことは”猫屋敷”タグの日記にて)
月曜日の朝、電話が鳴った。
猫屋敷の奥様からだった。
「ゆうべ、うちの人が倒れてね。救急車で日赤に運ばれたんだけど。
とりあえず一命はとりとめたけど、肺だけじゃなくて、心臓も肝臓も腎臓もどこもかしこも具合が悪くなってるんだって。
こんな話、しちゃ悪いと思ったんだけど、猫のことがあるからさぁ、これからまた日赤に行かなくちゃならなくて何時に帰れるかわからないから悪いんだけど夜のご飯をあげてもらいたいんだけど、お願いできるかねぇ。」
早朝や深夜の電話はいいことないけど、まさかこんなにも早くこういうことが起こるなんて・・・。
先週の金曜日に旦那様と窓越しにお話したばかりだった。
酸素を吸入していて、呼吸器が悪いのは分かってはいたけど、そんなにも全身が悪くなっていたなんて。
「大丈夫ですよ、ちゃんとご飯を上げますから。猫の事は心配しないで旦那さんについていてあげてください。」そう答えるのが精いっぱいだった。
夕方、暗くなり始めた頃に猫屋敷に行った。
ちょうど奥様が病院から戻ってきたところだった。
「まだ意識が戻らなくてねぇ。先生が名前を呼び掛けてくださいって。何度も呼んだんだけどねぇ。
先生が『お子さんは?』って言うから『うちは子供はいないんです』って言ったら、じゃあ、何か生き物を飼ってますかって言うから『猫を飼ってます』って言ったら『じゃぁ、猫のことを何か話してもらえませんか』って言うんだよ。
『○○さーん、猫たちが待ってるから早く家に帰ろうね!』って言ったらさぁ、急に『カーッ!』っと目を開いたんさね。
猫の事が気になって気になって仕方ないんだと思うよ。」
話を聞きながら、ゾッチャは大騒ぎしている猫のケージの中にカリカリを入れる。
朝、ケージから脱走してつかまらず、そのまま庭を走り回っていた子供猫がさっさとケージに入ってカリカリを食べている。
この子たちはどこかへ行きたくて脱走してるわけじゃない。
遊びたかったり、カリカリが足りなかったりして庭の大人猫の餌をもらいに脱走するだけ。
大人猫たちは、様子を見ながら子供猫を押さえつけてくれたりする。
そこをうまく捕まえるのだが、奥様には元気な猫の素早い動きになかなかついていけない。
「うちの人、ゆうべ、トイレに行きながら『なんだ~また子猫がケージから逃げちゃったんかぁ」って言ったのが最後で、そのあと大きな音がして、見に行ったらもう倒れていたんだよ。
救急隊の人が家の中に入ってきたら、猫達も一緒になって入って来て、うちの人の周りをグルグル回っててさ。
救急隊の人が『すみませーん、猫ちゃんが足元にいて危ないんで連れてってもらえますか』って言われてね。
チャトラがもうまとわりついて離れなくってさ、何かねぇ、わかるんかねぇ。」
そうだね・・・きっとお父ちゃんのことが心配で仕方なかったんだと思うよ。
毎日、可愛がってもらってたんだから。
誰に何言われようと、絶対に猫はどこにも誰にもやらないって言ってたからね。
「先生にね、『猫ちゃんの写真ありますか?』って聞かれてね。近所のお友達に撮ってもらったのがありますって言ったら、『明日是非持ってきてもらえますか。楽しみにしてますよ』って言われたんだよ。」
そうだね・・・旦那様は目が覚めた時に、猫たちの写真があったら、きっと喜ぶね。
このところ、写真を撮ってなかったから明日カメラをもってきて撮影しよう、そう思いながら猫屋敷を後にした。
次の日の午前中、二つのケージの子供猫たちを大放牧~一緒に放牧することは今までなかったけど、写真を撮るのに、ケージは邪魔だからね。

奥様は子供猫がつかまらくなっちゃったらと心配だったみたいだけど、大丈夫、責任もってちゃんとケージに戻しますから。
10mほどの距離を置いて向かい合わせのケージにいる子供猫達。
母猫が姉妹だけあって、仲良し~♪

ここの猫たちはみんな仲間、家族だもんね。
ママのオチリをクンクン~♪可愛いなぁ~

大きくなっても子供はママが大好き♪
猫達を撮影し、みんにゃをケージに戻し、大至急家、戻って写真をプリントしてミニアルバムに入れて奥様のもとへ持って行きました。
猫の写真を見ながら話をすれば、何か反応があるかも。そうなるといいねぇ。
だけど・・・11月末に容体急変、帰らぬ人となってしまいました。
最後まで猫たちのことを気にしていた旦那様。

お父ちゃんのことが心配で仕方なかったチャトラとママ猫達。
ママ猫達が可愛い子を産んでくれたおかげで、夫婦二人きりの単調な生活、そして病で辛い生活の中にも、時には声を出して笑えるようなこともありました。

もう会えないけど、きっと虹の橋でまた再会できることと思います。
それまで猫達には幸せに天寿を全うしてもらいたい。
これから猫屋敷の猫たちがどうなってしまうのか。
みんにゃが幸せに暮らせるように奥様と一緒に考えていこうと思います。
最後に旦那様のご冥福をお祈りいたします。
長文、最後までお付き合いありがとうございましたm(__)m
最近のコメント