皆さん元気でしたか。
やっと戻ってきましたよ。
久しぶりに戻ってきて、僕の居場所があるのかちょっと心配でした。
でも、何か落ち着きますね、ネコジルシ。たった一ヶ月なのに、古里に帰ってきたような心境です。
さて、ゲンさんが年度末で忙しい間、僕は何をしていたかというと、お勉強していました。
といってもそんな大したことではないのですが。
将来、ブログなりホームページを持つなり出来るようになったときの為、文豪猫を目指し、文章の書き方を少しだけ勉強してみました。
そして辿り着いたサイトが「作家でごはん」。
ここは、将来の小説家を目指し、本気で切磋琢磨されている方々のサイトでした。
こんなところへ、僕みたいなのがお邪魔するのは足手まといかと考えたのですが、自分のレベルを知る上で勉強になると思い、恥を忍んで投稿してみました。
猫好きさんに読んでもらうのなら今のままでも良いかもしれません、しかし、ブログなりホームページになると猫好きさん以外の方にも見ていただきたい。そこで、今より少しはましな文章が書けるようなりたいと思った次第です。
ブログ開設時には『ゲンさん奮闘記』を柱にするつもりです。そこで今は、少しずつ物語に書き直しているところです。
さすがに、みなさんからの指摘は的を得たものでした。
ただ、指摘されて初めて気付くところも多く、とてもいい勉強になりました。
興味のある方はご覧になってください。
僕の拙い文章が〝鍛錬場〟と言うところに載っています。 (現在は掲載終了した為、下記に追記しました)
皆さんならすぐに分かるタイトルとHNです。お暇な方は探して下さい。
一方、チップはというと、最近リビングに降りていってソファーで寛いでいる様子です。
一月の間にすっかり春になりました。公園では桜の花が咲いているようです。皆さんのところはいかがですか。日中、僕たちも良くテラスに出ています。
さあ、一ヶ月間休んでいる間に日記がたくさん更新されているようです。
再開一番目は、誰にお手紙書こうか今から皆さんの日記を拝見にいきますよ。
ちょっとの間に新しいお友達も増えているかと思います。
僕からお手紙もらいたい方、どうぞ遠慮はいりません、コメント下さい。
頑張って歌便り出しますから。
byホワイト
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4/24、追記。
「作家でごはん」サイトでの掲載が終了したので、ここに掲載します。
「ゲンさんと異物」
著、ホワイト
僕、ホワイト。
純白の体に碧眼を持つ、元野良猫。
僕は今、同じ野良出身のオス猫チップと共に中年おやじのゲンさんちにお世話になっているんだ。
でもねこのゲンさん、以前は大の猫嫌いだったらしいよ。
それが、ひょんな事から二匹の野良猫と出会い、次第次第に猫好きに変わっていったんだ。
そのお話はまたの機会にするとして、今日はこのゲンのもう一つの大嫌いなものにまつわるエピソードを紹介するよ。
歯医者さんが大嫌いなゲンさんを襲った悲劇さ。
それは、ある日の夕食の事だったんだ。
「おっ、今日はお前達の好きなハンバーグか。よし、よし。いっぱい食べろよ」
そう言っておかみさん手作りのハンバーグを子供達と食べていた時の事だったんだね。
モリモリ食べていたゲンさんの口の中から、
〝ガリッ〟という音が聞こえたんだ。
「あら、お父さん何か入ってました」
あわてておかみさんが聞いたよ。
口の中いっぱいに頬張っていたゲンさん、返事も出来ずにただうなずくだけさ。
「大丈夫、パパ」
下のお姉ちゃんも心配して聞いていたよ。
その間、ゲンさん一生懸命舌先で異物を取り出そうとしていたんだ。みんなの視線を感じながら。
やっとの事、選り出すことに成功したゲンさんはそれをテーブルのお皿の上に落としたんだ。
〝カチン〟
「何、これ」
今度は上のお兄ちゃんが覗き込んで言うんだ。
まだ、口の中にいっぱい食べ物が残っているゲンさんは首をかしげながら、それを流しに持っていって洗ったよ。
しばらくして、洗われた異物を皆で覗き込んでいたら突然、
「あっ!これは」
そう言ってゲンさんは鏡の前へ行き、口を大きく開けてにらめっこを始めたんだ。
「やっぱりだ。虫歯を治療していた金属の被せ物が取れたんだ」
それを聞いたみんなはガクッと崩れて、ゲンさんを無視してハンバーグをまた食べだしたよ。
それもまー仕方ないよね。中国製ギョーザに農薬が入っていたって世間が騒いでいた時だけに、特におかみさんなんかは何が入ったのだろうと心配顔だったものね。
「おとうさん、明日は大好きな歯医者さんに行けますね」
そんなゲンさんに、おかみさんは皮肉たっぷりに言っていたよ。おかみさんにしてみればあーあ心配して損したってところだろからね。だから、こんな辛らつな言葉が出てきたんだと思うよ。
でも、歯医者さん大嫌いなゲンさんにとっては一大事なんだ。だから、このおかみさんの嫌味も全然頭に入らなかったよ。
どれくらい嫌いかというとね。
隣で治療している患者さんのドリルの音がするだけで、全身が緊張してガチガチになってしまうんだ。だから、自分の番はそれはそれは大変なんだ。背中は冷や汗でびっしょり、肩は緊張で凝ってしまうし。一度なんか、歯垢取りをしてもらうのに、麻酔をしてもらえませんかと言って驚かれたことがあったんだ。それくらいのビビリ症。
「どうしよう。歯医者に行かなければならないのか。何とか行かなくて済む方法はないか」と必死で対策を考えていたんだね。
そういうわけだから、おかみさんの言葉なんか聞こえちゃいないさ。
そうしていたら、良いアイデアが閃いたんだ。この詰め物が 元通りに収まって、取れなければ治療しなくてもいいのじゃないかとね。
当然おかみさんたちは、すでに取り出した詰め物は捨てあると思っていたさ。
ところが、ここからがアホなゲンさんらしいところさ。
そっとその異物をもう一度丁寧にハブラシで洗って、乾かしていたんだね。
そして、みんなが居ないときを見計らって、瞬間接着剤をつけて歯に戻したんだよ。
「よし、ピッタリ嵌まった。これで歯医者は行かなくて済む。 ちゃんと治療してきたぞって明日見せてやれば疑われないだろう」ってね。
やっぱり、変だよね。本当に呆れるおバカなおやじだよ。
こんな事するから更なる悲劇が起こるんだ。
翌朝、洗顔をしていたゲンさんは、鏡を見て昨日の詰め物がちゃんと嵌まっているのを確認して安心していたよ。
ところが、朝食を終えハブラシをしていたとき、あるべき物があるべき場所にない事に気付いたんだね。
こりゃ大変だ。ゲンさん焦ったよ。だって、起きたときはちゃんとあったんだから。
可能性として残るのはおなかの中に入ってしまったと言うことだけだからね。でも、家族には瞬間接着剤でくっ付けていたら外れて飲み込んじゃったなんて言えないでしょう。
すると、だんだん胃に違和感があるような気がしてきたんだ。
小指の爪ほどの金属。もし途中でつかえるたらどうしよう。胃にあるうちならファイバーで簡単に取り出せるかも知れない。でも腸の中で引っかかりつかえたら……。
ビビリ症のゲンさん、歯医者に行くより恐ろしい事になるぞってね。
「入院、開腹手術なんてことになったら大変だぞ。みんなになんて言い訳しよう。
恥かしくて詰め物飲み込んだなんて言えないし。さあ、どうしよう」
顔面蒼白。
でも、ゲンさんは腹をくくって覚悟を決めたね。ここで焦っては恥を晒すようなものだ。何も無かった事にしよう。
世の中には間違って飲み込んだ人もいるだろうし、それが原因で死亡したなんて話聞いたことないからと。
出てくるのを待つしかないと自分に無理やり言い聞かせたんだね。こんな事ばれたらおやじの面目丸つぶれだもの。
そして、その日のうちに歯医者に行って、ビビリながらも治療を済ませてきたよ。
あとは、異物との再会がかなうことを願うばかりさ。
その日一日を何食わぬ顔で過ごしたゲンさん。幸いな事に、おなかの違和感も着実に出口に向かって移動をしているようだったよ。
今日はまだ出てきそうにないなと思いながらも、トイレが終わっては便器を覗き込むんだ。
誰にも気付かれないように、そっと。自分の物だから臭くても平気というわけにもいかず、鼻を摘んで割り箸でほぐしながら探したよ。
でもやっぱり出てきていなかったね。
そうすること三日。
着実に違和感は出口に近付いてきていたよ。
その日も流れてしまわないように慎重に排便したんだ。
そしたら、便器からあの懐かしい音が、
〝カチン〟
思わずガッツポーズしたよ。
ドキドキしながら割り箸でほぐすと、あの異物が出てきたんだね。元の形のまま。
「お前は三日かかっておれの中を探索してきたのだな」と変に労わったりしてね。
そのくせ、それを別れの言葉にあっさりジャーと流していたよ。
そんなゲンさんを待っていたのは、
「トイレ長かったですね。頑固な便秘だったんですか。すっきり出たようですね」
と言うおかみさんの見透かしたような一言だったんだ。
ゲンさんたじろぎながらも「しつこい便秘だったよ」とかなんとか言って上手くかわしていたけど。
これで身も心もスッキリしたゲンさん。
もう二度とこんなドジはしないだろうね。
辛い辛い三日間を過ごしたドジなゲンさんだったのさ。
でも、やっぱり歯医者さんは好きになれないみたい。
今日も歯垢取りに嫌々ながら緊張して出かけて行ったよ。
おしまい
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