今日はホワイトからの歌便りは一休みです。来週から更新予定です。今しばらくお待ち下さい。
と言うことで、今日は報告です。
前回の日記で書いたように、僕は一月間お休みしている間に筆を磨いたよ。どれ位磨けたか自分で判断するのは難しいから、第二回目の投稿をしてみたんだ。
こちらにも全文掲載しようかと思ったけど、二重投稿になって迷惑をお掛けしてはいけないので、あちらの掲載が終わるまで控えることにしたよ。あちらが掲載終了したら、載せてもいいかなと思っているんだけど。だから、興味がある方は面倒だけど、また、僕の文章を探してちょうだい。すぐに分かるはずだからさ。(
http://sakka.org/training/)
そしたら、早速にコメントが付いていてね。
なかなか勉強になるよ。
皆さんも読んでみてよ。日記を書くのに参考になると思うよ。また、鍛錬しなくっちゃ。
そんな僕はどうしているかというと、
みっともない格好を御披露してしまいました。ごめんなさいね。
一方、チップはカメラの前に出しゃばっています。
byホワイト
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5/ 8、追記。
「作家でごはん」サイトでの掲載が終了したので、ここに掲載します。
「ゲンさんと卵」
著、ホワイト
福岡には有名なお土産がたくさんある。
辛子明太、とんこつラーメン。
また、「ひよこ」と並び歴史があるお菓子の中で、白あんをマシュマロで包んだ「鶴乃子」というものもある。
そんなお菓子にまつわるアホな家族の珍騒動。
僕、ホワイト。
元野良でオスの白猫。でも今は、ゲンさんという中年おやじの下で元気に暮らしているよ。
ゲンさんは、おかみさんと二人でお店を経営しているんだ。 だから、朝からおうちは誰もいないよ。平日は、子供達が帰ってくるまでお留守番さ。
そんな僕だから、毎日ゲンさんが帰って来たら玄関にお出迎えして、足元でスリスリ、ゴロゴロ。
「おりこうにしていたか。寂しかったのか、よしよし」
そう言って、ゲンさんは僕を抱っこしてくれるんだ。だから 僕はとっても嬉しくて、毎日お出迎えしているんだよ。
そんなある日の事。いつものようにお出迎えした僕を抱っこして、ゲンさんが玄関を上がっていくと、中学生のお姉ちゃんがちょうど部屋から出てきたんだ。
そして、
「お帰り、お父さん。春は抜け毛が多いから、着替えてからホワイト抱っこしたほうがいいよ。毛だらけになるから」
なんて言うだよ。せっかく抱っこしてもらっていい気持ちになっていたのに。
それを言われたゲンさんは、
「そうだね」と言って僕を床に降ろしてしまったよ。
もう、お節介なのだから、このお姉ちゃんは。放っておいてくれればいいのにさ。
だから僕は、仕方なくゲンさんの後をついてリビングに入って行ったよ。
そして、リビングに入ったゲンさんは、テーブルの上に置いてある生卵2パックを見つけたんだ。
「おかあさん、卵が出しっ放しになっているよ。冷蔵庫に入れとかなきゃ」
実は僕、この卵の事件を知っていたから、これから面白くなるぞと思ってソファーの上に乗って眺める事にしたんだ。
そんな時、ゲンさんの声を聞いて、福岡の大学に通うお姉ちゃんが出てきたよ。
「あれ、お姉ちゃん。いつ帰っていたの。バイトがあるって聞いていたけど」
「急にお店が三日間休みになってさ、寮に居ても春休みで誰も居ないから帰ってきたよ」
「あっそう」
そう言うゲンさんに、今度はおかみさんが目に涙を貯めて、笑いながら話しかけてきたよ。
「その卵、お姉ちゃんのお土産なのですよ」
「?」
ゲンさん何が何やら分からずに困惑気味だったよ。
「ねえ、おとうさん聞いてよ。おかあさんったらひどいんだよ」
こちらも笑いを堪えてお姉ちゃんが話しかけてきたよ。
「お土産に卵2箱買って来てってメールが来たのさ。私も列車の時間に余裕がなくて、メールを斜め読みしたのがいけなかったんだけど。なんか変だなと思って、『本当に卵』ってメール返したのさ。そしたら、なんて返事来たと思う」
「さー?」
ゲンさんに分かるはずないよね。
「『あったり前じゃん』って返ってきたんだよ」
お姉ちゃんは口を尖がらせて言っていたよ。
そこへ、今度はおかみさんが口を挟んで、
「私はちゃんとメールしましたよ。『お土産に〝鶴の卵〟2箱買ってきて』って送ったでしょうが。自分がちゃんと見ていないからです」
おかみさんが断言していたよ。
「おかあさん、それを言うなら〝鶴の子〟でしょう。卵じゃ分からんわな。で、おねえちゃんどうしたんだ。まさか本当に鶴の卵を探し回ったわけじゃないでしょう。どう見ても普通の卵だよね」
ゲンさんは、おかみさんを咎めておいてた卵を見つめながらお姉ちゃんに聞いていたよ。
「まさか。そこまでアホじゃないよ。仕方ないから、近くのスーパーで買って来ましたよ」
「それはもちろん長崎に帰り着いてでしょう」
それに対しておかみさんが突っ込みを入れるんだ。
「違います。福岡から買ってきたのですよ、馬っ鹿が」
これにはゲンさんおったまげたね。
「ええっ! おまえは福岡から生卵を2パックも抱えて帰ってきたのか、それも普通の卵を。ちーと考えたら変だと気付くだろうが、馬っ鹿が」
ゲンさん呆れて言ったよ。
二人から馬鹿にされたお姉ちゃんも黙っちゃいないさ。
「なにさ、二人して。だから、私も聞いたんだよ。本当に卵かって。そしたらおかあさんが『あったり前』って返してきたものだからさ」
すると、今度はおかみさん、
「そんなもん考えれば分かるでしょうが。誰が生卵を福岡から買ってきてくれって言うものですか」
「それにしてもどっちもどっちだね。親も親なら子も子やね。 まさに、この親にしてこの子あり。で、お前はそれを大事に膝の上に抱えて二時間、列車に揺られ帰って来たのか」
あきれ果ててゲンさんが聞いていたよ。
そんな所へ、下のお姉ちゃんが部屋に入って来たんだ。
「プーちゃん、聞いた。お姉ちゃんのお土産話」
一番下のお姉ちゃんをゲンさんはこう呼んでいたんだ。
するとね、こう言ったんだよ。
「バカじゃ。普通に考えれば分かるんちゃう」
まあなんとも冷めた中学生だよね。もう少し子供らしい言い方がないものかね。
「でも、割れずに持って帰ったのだからまあいいか。周りの人が変な目で見てなかったかな。大事に卵を抱えて帰省する大学生を。それも2パック」
こうゲンさんが言ったんだ。
「そんな余裕ないさ。こっちは割れないように必死で抱えていたのだから」
お姉ちゃんも段々むきになってきてね。
「それにしても、二時間ね。揺られ暖められた卵もご苦労だったよね。ひざの上に抱かれ続けて、よく孵化しなかったものだよ」
このゲンさんの言葉には逆にみんなが呆然としていたよ。
でもね、このとき僕は気付いていたんだ。みんながガヤガヤ言い合っている間に、卵に異変が起きているのを。
だから、そっとソファーからテーブルへ飛び移って近づいて見てみたよ。
するとやっぱり。
二十個の卵に内側から亀裂が入り始めていたよ。
おしまい
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