あくまでも休憩する場所、食料調達の場として重宝していると思われる。
「もっと西の方から南の塀を越えてくるよ」
セカンドハウスの女性にそう聞いたので、散歩がてらに南方へ行ってみた。
白の捜索ポスターを貼ったごみ集積場、この近辺は以前、白にGPSロガーを装着した時に集中して滞在してたことがある。
南方の猫屋敷とやらはこの近くなのかな?
そう思いながら歩いて行くと、新しい住宅が何軒かある一番東の家の庭に猫がいる。
にゃーにゃー?
猫を見かけると、つい話しかけてしまう。
その声を聞きつけて、女性が車の向こう側にいたのだろう、こちらにやってきた。
こんにちは。この子、綺麗な子ですね〜。
無難に話しかけてみる。

「うちの子じゃないのよ、遊びに来てるだけだけど、毛並みがいいからどこかで飼われているんじゃないかな。ウチは外猫が3匹いるんだけどね。」
そう言われ、庭の奥を見るとミケやキジシロ、茶トラがくつろいでいるのが見えた。
「そっちの方の家がね、外猫がいるけどちゃんと飼わないから増えちゃってね。うちにどんどん来るから、次々と手術してるの。増えすぎたらほんと困るから。ほら、あの黒白もウチに食べに来る子なの。」
なるほど〜南の方の猫屋敷っていうのは、その家の事らしい。
それにしてもこの女性、やってくる猫達をちゃんと病院に連れて行ったりとなかなか素晴らしい人だな。
話し込んでいるうちに室内猫7匹、最近拾ったシーズーもいるという。
犬は近くの公園にいたそうで、保健所にも警察にもついに届け出がなかったそうで最近所有権がこの女性に移ったそう。
「手入れをすればすごく可愛い子なんだから、迷子になってもちゃんと探して欲しかったな。
多分、捨てられちゃったんじゃないかなと思うのよ。」
この近くの獣医さんはどこがいいだとか、野良ネコの様子だとか、怪我や病気の時の看護の事とかで話が盛り上がった。
そう言えば、猫屋敷に来ていたあのシャムちゃん、突然来なくなったけどこちらに来てるのかな?

ずっと気になっていたので聞いてみた。
「あ〜、シャムちゃんね、来るわよ。」
あ、そうなんだ、良かった。
あんなに綺麗な子なんだもの、どこか他でもご飯もらってるとは思ってたけど、やっぱりね。
「すごく綺麗で良い子よ。人懐こいし。」
ちゃんとご飯くれる人には懐くんだね、シャムも人を見るよね〜。
「でも首輪してるから、あの子もどこかの飼い猫だと思うのよね。」
え?
首輪してるシャム?
もしかして⁉️
あのー、そのシャムってこんな子ですか?
携帯の中のシャムのなり損ないのような白の写真を何枚か見せた。

「そうそう〜! 大吉だね。凄いですね、いろんな猫の写真撮ってるんですね。」
なんと!! いや〜この猫、うちの猫なんです。
「ええーー⁉️」
まさかの展開にお互いびっくり。
あの子重いし〜、あんまり食べないけど、などの言葉に白が抱っこさったり、ご飯もらっていることはわかる。
「白ちゃん、強いよね。そこの灰色のハチワレ君とよく喧嘩してて、この間、大喧嘩になって、あたし、止めに入ったのよ。」
色々ご迷惑をおかけしていることもわかった。
あ〜〜白ってどこまで縄張りがあるんだろう。
きっとこの先にあるという第二の猫屋敷にも顔を出しているに違いない。
「白ちゃんね、よく遊びにくるんだけど、どこの猫かなってずっと気になってて。
首輪にどこから来てるんですか?って手紙を結ぼうかなって思ったりね。」
お接待する側も飼い猫なのか、迷い猫なのか、やはり気になっていたようだった。
こうして前回の日記のお屋敷のサードハウス、今回のフォースハウス、と明らかになった。
そしてなぜだろう、そういう日に限っていつもは戻ってこない白が夕ご飯を食べに戻ってきた。
次の日は午後のおやつも食べに来た。
もちろん大歓迎だけど。
上手い事、ご機嫌取りに来ている感じ?
なんか、こっちの動きが筒抜けな気がする。
食べている白の背中に向かってそっとささやく。
「大吉くん?」
聞こえてないのか、すっとぼけているのか、まったく反応がなかった。

ちゅ~るを舐めつくし満足な白。
猫の知能って、2~3歳の幼児位ともいわれる。
だけど、それよりももっと高い知能を持っていると思う。
色んなことを知っていて、うまく世渡りしている。
白はその家の人間を味方につけ、縄張りを確実に広げていく。
「猫さんはしたたかなんです」
前回の日記にあったコメントの意味が分かった気がする。
可愛いふりして、お子ちゃまなふりして、ね?

最近のコメント