その日は確か1月22日、今年のように一年で一番寒い頃でした。
主人はその頃仕事で山梨県を担当していて、ほぼ毎日、車で山梨まで出掛けていました。
その日はいつもに比べると比較的早く仕事先から帰宅したでしょうか・・・。
何となく主人の様子がおかしく、
私に「怒るかもしれないけど、見てもらいたいものがあるから駐車場に一緒に来てくれる?」と言うのです・・。
口調から困った事が起こりそうな予感がしました。
駐車場に着き、仕事用に借りている車のドアを開けると、一見大人びた顔をしたサバ柄の小さなネコが大人しくうずくまってました。
話を聞くと、富士山の麓の何もない、枯れたススキがただあるような寒く冷たい場所で、
それも二車線ある道路の片側車線、丁度車の走ってるど真ん中 (一台の車の右タイヤと左タイヤの間) を車が頭上を走るその下で、その子は動かずうずくまってたというのです。
よける車もいたけれど、ダンプなどはそのまま避けることなく走ってたそうです・・・。
抱き上げた時の身体の重さは生後7・8ヶ月位の仔猫程でしょうか、やせ細って、ヒゲは火でも近づけたかのように不自然にチリチリになって、目は保護膜がしまえなくなって半分閉じてしまっている状態・・・・。
逃げる気配も気力もまったくない感じでした。
ウチにはその時ケージもなく、その日は先住猫のクリのことも考え、夜でしたのでちょっと可哀想だけれどペットボトルに熱いお湯を入れ、タオルで巻いて即席湯たんぽを作り、車で過ごしてもらう事にしました。
翌日は土曜日でしたので早速その車でケージなど一通りの物を買いに行きました。
移動中ひざにネコを乗せても鳴く事もなく、まるで飼われていたかのように、大人しく抱かれてました。
昨日車に用意しておいたご飯には口をつけていない様子・・・。
また、嘔吐物にはタバコのフィルター部分がありました・・・。
(悲しい想像はしたくないけれど、虐待されてしまったのかも知れません・・。)
食欲がないのが気になって健康診断を兼ねて病院にいきました。
やっぱり栄養失調だったようです。
高カロリーのウエット食品を人差し指に付け、上唇の牙の間にこすり付けて食べさせるように言われ、それを家でも繰り返し行って、ようやく少しづつ自分からエサに口をつけるようになりました。
食べるようになったネコは段々と大きくなり、目も輝きを取り戻し、立派に大人の猫の身体に戻りました。
仔猫の様に小さかったそのネコは、本当は大人のネコだったのです・・・そこまで痩せこけていたなんて・・・。
名前を呼べば小走りで擦り寄ってくる、人懐こく、とっても頭の良い、優しい猫さん。
クリやイチゴの面倒を本当に良く見てくれました。
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この子の命が奪われることがなくて良かった・・・本当にそう思いました。
1月に我が家に来てくれた猫、もう食べ物に困らないで、ずっと、ずーっと、幸せに生きて欲しいとの思いから、 1月の美味しい果物・・みかんを名前に付けました。
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今は主人の実家で可愛がられ、イチゴ君もあわせ5匹のネコさんと仲良く暮らしています。
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