福岡の新宮港から、船で17分、とても近い島です。
この頃は猫の島として、ちょっぴり有名になりつつあるようです。
そんなゾッチャも猫の島があちこちにあると聞いて、福岡にもあるのかなと検索して知った次第です。
連休中日、朝7時前、新宮港到着。
町営駐車場は入れるんだけれども、すでに駐車スペースがなく、数台の車がウロウロするありさま。
渡し船は7時50分発、こんな早くから大勢の人が押しかけているんだろうか。
もしかしてすでに船の定員越えの人が並んでたり?
不安な気持ちで、車を降り駐車スペースがどこかに無いかと探す。
すると、係員らしき人がきて、第2駐車場への入り口の鎖を外してくれた。
良かった〜、これで停められる。
渡し船の乗船券を買おうと、待合所へ。
先ほどの係員の女性が器にカリカリを入れていた。
群がる猫たち。
猫の餌やりは禁止と町のHPにあったが、地元の人は無視なのか?それとも、お世話係として公認でやっているのか。
船の桟橋へ行き、順番待ち。
あら、まだ前に並んでいる人は10人足らず。
あのたくさんの車の持ち主は、海岸で釣りをしている人々だったのかしら。
たしかに岸壁は釣り人で賑わっている。
船に乗るために並んでいる人は誰も猫に見向きもしない。
大きなカートに釣り道具やクーラーボックスをたくさん積んでいる人ばかり。
むむむ、猫の島〜なんて言ってはしゃいでいるのは恥ずかしいことなのか?
100人以上余裕で乗れる船。
手ぶらで乗り込んだのは、ほんの数名だった。
群馬は海なし県なので、とにかく海が見えるとテンションあがる。
さて、これから向かう島、猫がたくさんいるというけれど、どんなところなんだろうか。

真珠の養殖場。
海産物。
相島の観光案内パンフレットによると、「朝鮮通信使」の舞台としての相島。
朝鮮通信使とは、江戸時代、将軍の代替わりのたびに、お祝いの目的で朝鮮から王の手紙を持って来日し、将軍からの返書を持ち帰った使者を朝鮮通信使といいました。
通信使とは「信(よしみ)を通わす使節」の意味で、お互いに信頼関係を深めあう使節でした。
徳川幕府260年余りの間に通信使は12回来日していますがうち11回が相島に来島しています。
「朝鮮通信使に関する記録」はユネスコの世界記憶遺産に登録されました。
(日韓共同申請のため、国内の登録件数には含まれていません)
そして、港町には必ずと言っていいほどいる猫。
港が近づくと、鳥が飛び回っているが、トンビばかり。
海面スレスレに足を刺し、魚を捕まえているようだった。
カモメは?一羽も見なかった。
船を降りる。
目の前の日陰に猫たちが転がっている。
まだまだ日差しが強いので、みんな日陰に避難していた。
釣り客は漁船に乗り込んだり、海岸へ移動したり。
数人の手ぶら組がカメラをぶら下げ、猫を眺めている。
お腹がいっぱいなのだろう、寄ってくる猫はいなかった。
どの子も懐こいので、側によっても動じず。
帰りの乗船券を買っておこうと、渡し船待合室へ向かう。
入り口にも猫。

中にも猫が(^^)
待合室と、観光案内所の細い路地には猫のご飯入れがたくさん置いてあった。
どうやら、双方の乗船券売り場脇で定期的な餌やりがあるらしい。
雑貨屋さんの入り口には、バイクのカゴに乗ったワンコ。
主人の戻りをじっと待っている。
顔見知り?の猫がワンコに挨拶。
小さな島、みんな友達なのかな。
道路標識やセンターラインもない道。
バイクのおじいさんはノーヘル(^^)
ここでは、軽トラと原付バイクしかないし、世間の法規などいらないのだろう。
レンタサイクルは、「ヘルメット着用の事」とあって、なんだか笑ってしまった。
小学校の方へ歩いて行くと道端に寝転ぶ猫、猫、猫。
お世話する人がいるのだろう、猫トイレらしき砂場があった。
だが、道端の砂だまりにも猫のフンは落ちていた。

砂があれば、ついもよおしてしまうのが猫ってもんだね。
人が歩こうが気にしない猫たち。
可愛らしいその姿をたくさん撮らせてもらった。
猫の島として、みんにゃ幸せ?
だけど、猫による被害を受ける人もいる。
猫よけマットが置かれている家も数軒。

小学生が清掃活動を行なっているけれど、手が足りないので、清掃ボランティアの呼びかけもある。
酷い猫風邪をひいている子猫、こういう子を見ると先が想像できて辛い。
だからといって今、この子を連れ帰ることもできない。
餌やりさんらしきご高齢の女性がいた。
彼女は若い人たちの活動を"綺麗事だよ"と言っていた。
島民の間にも気持ちのすれ違いや温度差はあるみたい。
すぐ足元にすでに息絶えた子猫がいた。
親とはぐれ、一人でいて車に轢かれた、そう言っていた。
「子供がね、子猫を抱いて連れ回しちゃうんだよ。可哀想に、親から引き離したら生きていられないよ。」
この子、どこかに埋めてあげたほうがいいでしょうか。
「ああ、連絡しといたから、そのうち片付けに来るから、そっとしといて。」
女性の言うことがどこまで本当のことかはわからないが、こんなやりとりもあった。
「猫はそんなに増えないよ。冬越しできないのがいるからね。」
たしかに、子猫を連れた雌猫は結構いたけれど。
保護して里親探しをしたら?
そして残る大人猫もTNRしよう、いつかは外猫がいなくなるようにと考えることもありかもしれない。
だけど、この島で、そのような保護活動が全て当てはまるのだろうか。
役場には、島の猫が痩せていて可哀想、病気にかかっていて可哀想、という心配の声が寄せられているそうです。
飼い主のいない猫と島の人たちが、より良い関係で共存していく姿を町でも協議しているそうです。
新宮町の広報でも、「猫と一緒にのんびり過ごせる癒しの島」という新たな集客方法の一つとしての捉え方もあります。
HPにインターネットでの書き込みや拡散は避けてほしい、とありました。
安易な気持ちで島の猫写真をネコ写に上げてしまいました。
一部の可愛い猫写真を見て、具合の悪い猫の写真を見て、思い込みで何かがおきる恐れがあります。
コメントやぺったんしてもらった方には申し訳ございませんが、削除させていただきました。
猫の楽園と思い込み、安易な気持ちで猫を捨てにくる人があってはなりません。
猫が悲惨な生活をしている島として、町が叩かれてしまうことがあってはなりません。
島の外から、新たな猫の病や外敵(人間含む)が持ち込まれても困ります。
港には昔から倉庫をネズミから守る猫がいます。
港に戻った船から、魚のアラをもらう猫がいます。
そうして持ちつ持たれつ続いてきた関係。
漁港に猫がいる自然な風景。
町では「野生の猫」という呼び方を改めて「飼い主のいない猫」と呼んでいます。
いつか「飼い主のいない猫」から島の皆さんでのお世話が行き届いて見守っていける「地域猫」もしくは「島の猫」になって欲しい。

漁船の帰りを待っている猫。
漁をしている人々が彼らの出迎えを笑顔でうける、そんな関係がずっと続いていってほしい。そう思いながら、帰りの渡し船に乗り込んだ。
写真を夢中になって撮っている間、旦那さんは少し離れた所で見ていた。
島の人が家から出てきて「こんにちは。」
と挨拶してくれたそうです。
「こんにちは、お邪魔させてもらってます。」
そう答えると、「えっ?」という顔をされたそう。
お邪魔させてもらっている〜という言い方をする人はあまりいないのかもしれない。
島のどこも、道や港や猫がいる場所、全てが島の人達の物、この島にあるルールと生活に入り込んだ観光客。
こっちが客だから、という高飛車な気持ちの人もいるかもしれない。
だけど、謙虚な気持ちで島を訪れることが大切なんじゃないの、そう旦那さんは言った。
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