口蓋裂(こうがいれつ)とは、あまり見聞きしたことのない言葉かもしれません。
人間では、みつくち(これ差別語?)とか呼ばれるものも一種ですが、要するに、口の中や唇で、くっつくべきところが裂けているものです。
ビスコは、当時わたしが勤めていた会社が管理していたビルの天井裏で子猫が3匹生み落され、うるさくて迷惑だというクレームにより、生まれてすぐに保健所行きになりかけた子です。
せっかく生まれたのに殺されるなんて!と思い、会社の業務を放り投げて(すごい怒られましたが)夢中で3兄弟を引き取り、一旦動物病院で保護してもらったあと、未経験ながらもその日の夜から赤んぼたちの世話をしたのでした。
仕事をなんとかくぐり抜けながら、ほぼ3時間置きにミルクを与えに家に帰り、すくすくと育っていった子猫たちですが…ビスコだけは体重も増えず、少し目を離したら死ぬんじゃないかというくらい、衰弱していました。
なぜか…それは、口蓋裂のためにミルクを充分に飲めないからでした。

この拙い絵で分かるでしょうか。
ビスコは、鼻と口を分ける境、つまり上顎がばっくりと欠けています。
喉の奥まで深く、極度の口蓋裂とのことでした。
動物病院の先生は、この子は長く生きられないよ、手術することができるくらいにまでは育たずに死ぬだろう。と言いました。
ビスコは、吸う力もとても弱かったので、哺乳瓶のゴム乳首を少し強めに押して、ミルクを無理に飲ませないといけませんでした。
下手にやると、気管に入ってむせてしまい、苦しい思いもさせました…
よくぞここまで育ってくれたな、とつくづく思います。
きっと、ビスコの「生きたい」という力が、何よりも強かったんだと思います。
続く。
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