そこで、環境省統計資料:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
をもとに、以下のグラフを作成しました。

これを見ると、「保健所などに引取られる猫の数」と「殺処分数」のどちらも、コンスタントに減少しているのがわかります。
現在、2004年と比べて「保健所などに引取られる猫の数」は5分の1、「殺処分数」は12分の1にまで減少しています。「殺処分ゼロ」に、あと一歩の所です。
「保健所などに引取られる猫の数」減少の原因は、度重なる法改正と飼い主の意識の向上によって捨て猫の数が減少したことです。
それについて、野良猫日記9(後編)で詳しく解説しています。
「殺処分」減少の原因は、2012年の動物愛護管理法の改正により、都道府県に引き取った猫の譲渡に務める義務が課せられ、動物愛護センター等で猫の譲渡が行われるようになったことです。
グラフを見ると、2012年以降殺処分の減少が加速されているのが分かります。
それについて、野良猫日記5で解説しています。
次に、TNR(野良猫を捕獲し避妊去勢して放つこと)についてです。
上記グラフにTNRの実施頭数の推移を重ねてみました。
赤の実線は、確認されているTNR実施頭数(どうぶつ基金による実施頭数 https://www.doubutukikin.or.jp/report/ )、最低でもこれだけの数のTNRが実施されたことを表します。
どうぶつ基金以外でもTNRが行われているので、実数はもっと多いです。それを確認されている数値の2倍と仮定して、参考のため赤の点線で表しました。
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重要なのは、まず2004年から2013年頃までの推移です。この時期は、まだほとんどTNRが行われていません。にもかかわらず殺処分数はコンスタントに減っています。
次に、2016年以降の推移。TNRの実施数が桁違いに増大しました。メチャクチャな数のTNR、しかし「殺処分数」の減少に影響を与えていません。
グラフは、TNRが「保健所などに引取られる猫の数」の減少にも「殺処分数」の減少にも、効果がないことを示しています。
「殺処分」を減らすには、野良猫をTNRすることではなく、捨て猫を出さないことこそが大切なのです。
2016年以降のメチャクチャな数のTNR、そのほとんどが無益なもの、只々野良猫を苦しめるためだけのものと言えます。
さくら猫TNRを推めるどうぶつ基金は、2009年から2019年までに殺処分が6分の1に減少したことを、自らの成果だと主張しています。
「さくらねこが増えれば殺処分が減る 殺処分数は10年で6分の1に…どうぶつ基金では…殺処分ゼロを実現するため…ノラ猫に無料で不妊手術を行ってきました。その結果、2009年度に165,771匹だった猫の殺処分数は、2019年度には27,108匹まで減少させることができました。」
https://www.doubutukikin.or.jp/activitynews/3%E6%9C%8822%E6%97%A5%E3%81%AF%E3%80%8C%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%AD%E3%81%93%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%80%8D%E3%80%80%E7%8C%AB%E6%AE%BA%E5%87%A6%E5%88%86%E6%95%B0%E3%81%AF10%E5%B9%B4%E3%81%A76/
これはもはや間違いというよりも、大ウソです。
グラフの2009年から2013年までを見て下さい。
この時期、TNRは全くと行って良いほど実施されていないのです。
その事は、当のどうぶつ基金が一番良く知っているはず。
ほとんど何もしてないのに自分たちの成果などと、よく言えるものです。
どうぶつ基金はそのような嘘を付く一方で、殺処分ゼロにするためと銘打って寄付を募っています。
https://www.doubutukikin.or.jp/contribution3/
嘘をついて金集めをする、そんなことが許されるのでしょうか?
TNRによって過剰な猫を減らせる、殺処分も減らせると信じている人が、いまだに少なくない様です。
それが間違いであることを、一人でも多くの方に知っていただきたいのです。特に、保護活動をしている方に知っていただきたい。
グラフには、はっきり答えが出ています。
これは、私が恣意的に作成したものではありません。国が発表した数値をそのままグラフにしたものです。
どうかとらわれのない目で、事実を見ていただきたいです。
(後編では、殺処分をゼロにするための取り組みについて述べます)
私達は、殺処分もTNRもイヤです。
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