猫が殺処分されるようになったのは、昭和48年(1973年)の法制化以降です。
その後、行政による猫の引き取りと殺処分が年々増加し、平成元年にピークになりました。
殺処分ゼロだった昭和期の大半、TNR(野良猫を捕獲し、避妊去勢して放つこと)もありません。
一体どのような時代だったのでしょうか?
確かに、野良猫は今よりたくさんいました。
しかし、人間社会に害を与えるような事はほとんどありませんでした。
せいぜい、サザエさんのお魚を盗む程度です。
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サザエさんも、猫追いかけてお魚取り返せばそれで満足、捕まえて保健所に突き出したり、TNRしたりなんてしませんでした。
人の心もおおらかで、野良猫に寛容な時代でした。
当時の人々には、猫がネズミを退治する大切な生き物だという認識が、まだ残っていたのです。
猫は、昔から、農業で収穫された大切な食物をネズミから守ってくれました。
そしてもう一つ、19世紀末まで知られていなかった、重要な貢献をしてくれていました。
それは、危険な病原菌から、守ってくれるということです。
1894年、細菌学者の北里柴三郎がペスト菌を発見しました。
長い間人々を苦しめ多くの人の命を奪った恐ろしい病気「ペスト」、中世ヨーロッパで人口の3分の1が亡くなったと言われています。
その病原が何なのか、ずっとわかっていませんでした。
北里柴三郎は、その病原となる細菌(ペスト菌)を発見したのです。
ペスト菌は、ネズミが媒介して、人に感染します。
北里柴三郎は、猫の重要性を説き、猫の飼育を広める啓蒙活動を精力的に行いました。
ペスト菌の発見と、猫の普及に取り組んだ北里柴三郎
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当時の日本の細菌学は、世界の最高水準にありました。
1898年、志賀潔が「赤痢菌」を発見しました。
赤痢菌もまた、ネズミが媒介して人に感染します。
ペスト菌、赤痢菌の発見、北里柴三郎の啓蒙活動などにより、日本人は猫の大切さをよく理解し、猫愛護精神の最も高い国民になりました。
そしてそれは昭和期まで続きました。
猫に寛大で、殺処分もTNRもなかった時代、良い時代だとは思いませんか?
今の時代はどうでしょうか?
人々は、猫が病原菌から守ってきてくれたことなんて、とっくに忘れています。
野良猫と見れば手当り次第に捕獲して避妊去勢するTNR団体。
彼らは、日本中の野良猫すべてを避妊去勢して、根絶しようとしています。
乱暴な捕獲と手術で多くの猫が命を落としている。
妊娠した母猫のお腹の赤ちゃんを子宮ごと取り出す残虐行為を、日常茶飯事のように行っています。
日本は、世界一の猫愛護国から、最低の猫虐待国に転落しました。
昭和の時代にも、良くないことはありました。
飼い猫の避妊去勢が普及しておらず、家庭で繁殖し、捨て猫が非常に多かったのです。
殺処分が実施されるようになったのも、それが主な原因です。
しかしその後、法律で繁殖の制限、捨て猫の禁止などが明記され、強化されました。
その結果、家猫の避妊去勢率も上がり、飼い主のモラルも向上し、捨て猫は減少しました。
それに並行して、行政による猫の引取と殺処分も減少しました。
以下のグラフは、その推移を表したものです。
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引取り数、殺処分数は、法制定の翌年1974年(昭和49年)から1989年(平成元年)の期間急速に増加しますが、その後コンスタントに減少しています。
現在、引き取り数は最も高かった1989年の13%、殺処分数は6%にまで減り、法制定の1974年よりも少ない値になりました。
猫は人が無責任に繁殖させるから増えるということを、この結果は示しています。
野良猫の自然繁殖で、そうそう増えるものではありません。
行政による引き取りはもはや必要ない段階に来ています。
実際、多くの自治体では、自活している野良猫の引取をしないようになってきています。
無差別なTNRは、はなから不要でした。
昭和の頃とは生活様式も大きく変化し、家猫がネズミを取ることはほとんど無くなりました。
しかし家の外には、有害な病原菌とそれを人に伝染すネズミがいます。
野良猫は、今でも私達が知らない所で、ネズミを退治し、私達を守ってくれています。
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19世紀末、最も優れた科学者が、最先端の科学的知見を元に、猫の普及、啓蒙活動に取り組みました。
今は、動物学の基礎知識さえ持たない者が、迷信と嘘を巻き散らし、無差別なTNRによって野良猫を根絶やしにしようとしています。
この暗黒時代を早く終わらせ、再び世界一の猫愛護国にしなければなりません。
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