
しかし何を話しているのかよくわかりません。
まず、声そのものが聞こえないのです。
元々野良猫は、家猫に比べるとほとんど声を出しません。
私が関わっている野良猫保護地の猫たちも、ほとんど鳴きません。

挨拶するとき、蚊の鳴くような声を出すだけです。
それに比べて、今うちにいる保護猫たちは、大きな声でしょっちゅうニャーニャー鳴きます。
みんな子猫のときに捨てられ、私の家で育ちました。
家の中は安全ということをよく知っているので、平気で声を出します。
一方野良猫は、周囲に敵だらけです。
敵に気付かれないように、なるべく音を出さない習慣が身についています。
Noraの妹は人に全然なれておらず、私を見るとすぐに逃げていました。
最近、ようやく懐いてきて、挨拶するようになりました。
こっちを向いて、口を開けてニコっと笑います。

しかし声が全然聞こえません。
これは、人の耳には聞こえない超音波を発しているのです。
この超音波による挨拶は、近頃有名になり「サイレントニャー」と呼ばれているようです。
野良猫だけでなく家猫も、去年亡くなったモモも時々しました。
しかしNoraの妹は、挨拶のときは必ずサイレント、声をまだ聞いたことがありません。
超音波で会話をする動物としてはイルカが有名ですが、猫がどの程度超音波を使っているのかは明らかでありません。
挨拶だけなのか、それ以外にも色々なやり取りをしているのか…?
時代小説で、忍者が仲間にしか聞こえない音で会話するというのがありました。
忍者の話は嘘くさいですが、猫が超音波でいろんなやり取りをしている可能はありそうです。
Noraと妹、どんな話をしているんだろう?

「お姉さん。今度ネズミ捕りに行かない?」
「ネズミ捕り? 面白い?」
「そりゃもう、すごく面白いよ。 捕まえた時は、猫に生まれて良かったってつくづく思う。」

「ネズミって、美味しい?」
「あんまり…。血を吸うの。それは、まあまあかな。
でも肉は、毛皮や骨を取り除くのが大変なのよ。味もあんまり良くないし。
あのカリカリってやつ食べたら、ネズミなんか食べる気しなくなるわ。」

「私も行ってみようかな?
お父さんに、ネズミをお土産に持って帰ってあげようと思うの。お父さん喜ぶかな?」
「ウワー。きっとすごく喜ぶよ。」
「よーし、行こう! 大きいやつ、捕まえてやる。」
外飼いの猫が、捕まえた獲物をおみやげに持って帰ることが時々あります。
去年亡くなったモモは家猫でしたが、ゴキブリを捕まえて私にプレゼントしてくれました。
いつかNoraがネズミをお土産に持って帰ったら、泣いて喜ぶと思います。
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