「マイクロチップ義務化」はその最たるものですが「8週齢規制」も見過ごせません。
「8週齢規制」とは、ブリーダーやペットショップ等が、生後8週齢(56日)以下の犬猫を販売してはならないとするものです(第22条の5)。
規制の理由は、生後8週間までは社会性を学ぶ大切な時期であり、その時期に親兄弟と引き離すと、協調性が無くなる、噛み癖がつくなど問題行動を起こすようになる為とされています。
しかし「そのようになる」実例も見当たらず、科学的な根拠があまりないように思えます。
私の経験では、生後8週間以下の犬猫を親元から引き離すことは、必ずしも問題行動を起こすことにはなりません。
以下、実例を挙げながら説明します。
1.保護猫の多くは8週齢未満です。
保護猫にこそ、捨てられて8週齢未満で親と引き離された者が多いです。
保健所などに届けられる所有者不明の猫も、80%以上が幼齢猫です。
環境省統計資料 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/dog-cat.html
私は日頃捨て猫を見つける取組をしており、この一年余りで20匹以上の子猫を保護しました。ほとんどが生後5~7週の子猫ですが、生後間もない赤ちゃんもいました。生後8週を超える子猫はいませんでした。
保護した子猫の中に、社会性が欠如し問題行動を起こした猫はいません。
むしろ成猫の方が、捨てられたショックで心の病に罹ります。
[実例]生後6週で保護したきんぎょちゃん
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きんぎょは、私が関わる野良猫保護地に捨てられていました。
現場には子猫用ペットフードが置いてありました。生後6週間ほどでした。
この時期の子猫は人に懐くのがとても早いです。保護してすぐに私にベッタリになりました。
里親に出すつもりで何度かトライアルしましたが、どうしても離れたくないみたいで戻ってきます。
今もうちにいます。
問題行動を起こすことは全くありません。
社会性の欠如とは、何を持って言うのでしょうか?
確かに野生の猫社会には適応できないでしょう。野良猫になったら生きるのは難しい。
しかし飼い猫の社会は、人と共同生活する社会です。
きんぎょはよくおしゃべりします。機嫌が悪いとブツブツ小言を言います。表情が豊かで言ってることが分かります。人とコミュニケーションが出来る。きんぎょは、飼い猫にふさわしい社会性を持っています。
2.人工哺育される猫もいます。
人工哺育は難しく赤ちゃんがよく死にますが、離乳後は普通の猫と変わらず、すくすく育ちます。
「8週齢規制」の論理でいけば、問題行動を起こす危険性が極めて高いという事になりますが、そのようには見えません。逆に、人と深い愛情で結ばれています。
[実例]生後まもなく捨てられていたチビ
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チビは、兄弟4匹と一緒に捨てられていました。生まれたばかりで、へその緒が付いていました。
真夏なのに、体が冷たくなっていました。兄弟は次々に死に、チビだけが生き残りました。
哺乳瓶のミルクを飲んでくれないので、手のひらにミルクをのせて飲ませました。
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うんこも自分でできないので、手でお尻を刺激して出させます。
チビは無事離乳しました。
生後7週後に、他の保護猫のいる部屋に移しました。
他の猫達と仲良くしていました。
チビは、私の手のひらをお母さんのおっぱいだと思って離乳してからもずっと吸っていました。
私は、これを異常行動だとは思いません。
一緒に撮った写真。チビは向かって左から2番目。きんぎょは右端。
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チビは、里親が決まりました。
譲渡契約の日、里親さん宅で最後にチビに会いました。
チビは「今度いつ会える?」という顔でじっと見つめていました。
その後里親さんから、チビを獣医さんに診てもらった所「悪いところが一つもない。健康そのもの」と言われたと知らせてくれました。チビのことを誇らしく思いました。
3.8週齢未満で母親から引き離された猫の中で、異常行動を起こした猫は一匹もいません。
写真は、私が保護した子猫たちです。皆、生後8週齢未満で捨てられて、母親から切り離されました。
異常行動を起こした猫は、一匹もいません。
皆、とても良い猫です。多くは里親さんが見つかり、幸せに暮らしています。
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私は犬猫の販売業者ではありません。保護した猫は無償で譲渡しています。
しかし犬猫の繁殖を生業とする人は必要だと思います。
国が間違った規制をすることは許せません。
動物愛護管理法の「8週齢規制」は間違っています。廃止を求めます。
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