寿司屋にて

2006年6月6日(火) 601 / 0

ストレス解消してきました。

今日は朝から、いや昨日の昼からとても情けないトラブルに巻き込まれて大きく凹んでいた。凹み事件の実際のところは業務内容に関連がありすぎるのでここでは詳らかにしないが、それはそれは情けなさ過ぎるくらいの出来事だった。そんなこんなで今日はストレス解消のために豪勢に寿司でも食べようと言うことで自分で自分に大盤振る舞いしてきた。

つけ台の前に座ってお好みでいくつか寿司をつまんだところで、隣に座っているサラリーマン氏の会話が耳に飛び込んできた。どうやら自社の商品がいかに市場で大きなシェアを占めているか、と言うことらしい。具体的にどんな商品なのかは特定できないまでも、ある業界向けの測定機器についての話のようだ。

で、ここで出てきた耳について離れないフレーズが「デファルト」と言う言葉。初期値とか、初期設定とか言う意味ならば「デフォルト」だし、市場における事実上の標準（標準規格）ならば「デファクト・スタンダード」を使うのが普通だ。会話の中では自社製品が業界の標準であることを示す意味合いで使われていたようなので、本人の意図するところはおそらく後者の意味での用法だろう。

本人が「デフォルト」と発音しているつもりがこちらには「デファルト」と聞こえていた可能性もなくはないが、『ファ』の部分の発音がものすごくハッキリと『ア音』を吐いているので、彼はほぼ間違いなく「デファルト」と発音していただろう。

いまどきの職場では（自分の職務環境も含めて）横文字がここかしこに飛び散っているが、主な会話は相変わらず日本語であり、そんなに横文字の正確な発音が求められているわけではない。が、それを外でどこかの誰かに聞かれると、本人は気がつかないだろうが多少恥ずかしいと思う。むしろ『おいおい、それはヘンだぞ』と、聞いているこちらが恥ずかしい気持ちになってしまう。

さて、そんな隣の会話に耳をそばだててばかりもいられない。こっちはストレス解消で寿司屋に来ているのだ。自由気ままに好きなものを食べて、好きなものを飲んで、今日は気持ち良く家路につきたい。が、デファルトの反対側の隣から「寿司ってのはなぁ、頼むネタにも順序ってものがあるんだ」と、寿司哲学を熱く語る声が聞こえてくる。

ご近所さんの会話はもうお腹いっぱい、しかもネタを頼むのに誰かの言う哲学みたいなものに縛られて自分の思うとおりにことが進まないのも気に食わない（そんな話が耳に入るだけでも気分を害する）ので、ひととおり食べたいものを食べたところでとっととお会計を頼んで店を後にした。

寿司ネタはとても良い店でちょくちょくお世話になる店なのだが、場所が場所だけに（赤坂）いろんなことに一家言ある人々が多く集まるようだ。まぁ自分も誰かと来てれば、他の人から見れば同じようなものかもしれないが。

寿司屋で頼むネタの順序までは規制されたくないが、寿司屋には寿司屋ならではの振る舞いが必要であることには同意できる。回転寿司やお持ち帰り寿司が広く普及した昨今、つけ台の前に座って板前さんとの会話も楽しみながら、食べ物としての寿司以外にも「寿司屋で寿司をいただく」ことを楽しむ機会は減っているのかもしれない。

もしあなたがそんな「寿司屋での振る舞い」に自身がなかったら、ぜひこちらの映像資料を見てもらいたい。あなたの寿司屋での振る舞いに大いに役立つはずだ。

■YouTube - Japan Culture Lab - Sushi
　