信じられない。
でも、本当のこと。
涙が止まらなくて、こめかみから頬にかけての筋肉が痛くなった。
こんなこと初めて。
5月2日は家族みんなが家にそろっていた。
いつも土日は朝から夜までバイトしてるはずの大学生3までもがお店の都合により休日だった。
猫神様のお計らいとしか思えない。
帰ってこないニャアを見つけてくれたのは旦那さん。
門から出て、大通りの方を何気に見るとカーブのところで明らかに車の動きが変だったそう。何かをよけているような。
まさか、と思ったけど見に行った。
やっぱり道路に何か落ちているみたい。
雑巾か何かかな、猫ではなさそう、と思いながら近づくにつれて、信じたくないことが現実になった。
ピンクの首輪が見えた。
ニャアだった。
旦那さんは、ニャアを連れて帰ってくれた。
頭をぶつけたみたい、多分即死。
ニャアを箱に寝かせる時、内臓が出ていた。
後続の車に踏まれちゃったんだ。
事故があった場所はほぼ、去年キジ白君が轢かれてしまった場所。
カーブの途中の小さな交差点。見通しが悪く、丘になっている。
家からその辺りまで見渡せる。
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送電鉄塔のわきに南北に脇道が走っている。
道路を南にわたって行っても麦畑などが続いている。
夕方、なにも出来ないけど、でもニャアのこと全部知りたくて、事故が起きた場所まで行ってみた。
キジ白君の事故の場所から2~3m離れた道路にあとが残っていた。
ごめんね、すぐに見つけてあげられなくて。
辛かったね、寂しかったね。
事故があった場所からは家が見える。
ブロック塀で囲まれたところがうち。
この脇道は普段通ることが無い。
ニャアがきっと通ったところを見ながら歩く。
南北の道は富士山霊園に沿っていて、いつのまにか舗装されている。
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途中に大きな木があって良い木陰になっている。
ニャアはここで休んだりしたのかな。
木に登って家を見たりしたのかな。
この道と家の前の道の中間にもう一本、脇道がある。
ここは舗装されていない。
赤城山が良く見える。
白い花をつけたハナミズキが一本立っている。
綺麗だね、いいところだね。
ここからは家までもうすぐだね。
ニャアはこんなにも遠くまで毎日パトロールしていたのだろうか。
それともその日に限ってたまたま道路をよこぎって南の畑にいこうとしていたのかな。
ニャアは家に現れた時、すでに大人だったし、自分のペースで生活していた。
ニャアの出かける先は知らない。
ニャアは子供達を置いて、一人で出かけることがよくある。
どのくらい遠くから来たのか、どこまでがニャアの縄張りなのか、何も知らない。
知らないことだらけ。
誰かが出かけるために車のエンジンをかけると、いつもニャアはどこからともなく現れた。
そしてニャアを抱っこして一緒にお見送りをしていた。
車のエンジンがかかるたびにニャアが出てこないことに違和感を感じる。
庭で草刈りを始めると、どこからかニャアがシッポをピーンと立てながら
「にゃ~わわわわ、にゃ~わわわわ」と走り寄ってくる気がしてならない。
背後の草むらから、「にゃぁ~」って言いながら伸びをして出てくる気がする。
一日一袋って勝手に決めたクリチュー。ニャアだけは「内緒で頂戴♪」って何回もおねだりにやってくる。
「内緒だよ?」って言いながらクリチューの袋を開ける。
沢山買ったおやつ、まだまだあるよ。
「もっと沢山あげればよかった」
「沢山あげてたよ。いつもニャアに何回もねだられちゃう、って言いながら沢山あげてたよ」旦那さんが言う。
「ああすればよかった、こうすればよかったって言ってもきりがないよ。
ニャアがいなくなって、これからチビ達に何がしてあげられるかを考えようよ。」
そうだね。ママがいなくなって白とトラだって悲しいよね。
でもこれからは二人で、この家の縄張りを守っていかなくちゃならない。
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ニャアに鍛えてもらって、強くなった白。
ニャアから狩りを教わって、りっぱなハンターになったトラ。
二人の為にできる限りのことをしよう。
二人の生きている証を沢山残そう。
白とトラ。きっと立派なにゃん生を送るからね。
安心して見ていてね、ニャアちゃん。
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