イタリアの団体の活躍です。
数年前、日本の大手化粧品メーカー資生堂が、動物実験を全面中止しました。
バブル時、欧州ではヴィトンやグッチよりも「望まれるブランド」の上位にランクイン、
世界中の空港免税店に商品は並び、TVCMも流れる世界的ブランド。
動物実験は以前より有名なことであったようですが、30年近く前、
ニュージーランドのごく普通の同年代の女性との会話から、私は知りました。
資生堂の動物実験中止は、EUが動物実験をしての製品の輸入を全面的に禁じたためにの、
生き残り作戦によるものです。
愛護団体が政治に圧力をかけた、とも言える結果です。
因みにEUには、食用となる動物の輸送・屠殺方法にも細かい規制があります。
北部の小さな街で、多国籍企業「Green Hill」が多数のビーグル犬を飼育していました。
太陽を見ることのない施設に閉じ込められ、繁殖のみが目的…外出は一切無し
ここからヨーロッパ中に送られます。
マスクを着け煙草の煙を吸引させられる、やけどを負わされる…実験用です。
この件を私が知ったのは10年以上前、
愛護団体の通報により、人気告発番組にてTV報道されました。
“告発”と言っても重苦しさはなく、市民の通報を元にこの国特有のてんこ盛りの社会問題を紹介する、
風刺のきいた思わず苦笑が浮かぶ番組です。
それ以前にも、時折ニュースになる、国境で摘発される実験用のビーグル犬、
利用の理由をお世話になっていた獣医さんに尋ねましたが、彼も???
LAV(La Lega Anti Vivisezion生体実験反対連盟…イタリア最大の愛護団体)サイトによれば、
丈夫で従順な性格であるため、だそうで、日本でも利用されています。
メンバーの繁殖場への不法侵入等、団体の過激な行動もニュースとして報道されるようになり、
一躍有名に。
TVで流すのは隠し撮りした電灯のついた昼でも薄暗い繁殖場内部と子育てをする母犬、
そしてマスクを着けた犬の姿のみ。
これだけですが一般市民の注目や賛同を集め、国会前で施設反対のアピールも度々行われ、
それもニュースになり、国民皆が知る状況になりました。
数年後の2012年4月、13人の活動家が施設に侵入、2700頭中61頭を盗み出します。
ポケットやTシャツの下に隠して運び出し、仔犬が柵越しに支援者の手に渡され、
拍手によって迎えられるシーンがニュースで映しだされ、感動を呼びました。


http://www.huffingtonpost.it/2013/04/18/green-hill-i-cuccioli-liberati-processo_n_3109424.html
画像上から3つ目「green hill i cuccioli liberati」がフォトギャラリーです。
自らも10数頭を飼育し、愛犬家として有名な政治家が乗り出し、7月には全頭解放。
現在施設は閉鎖され、収容犬は全て厳しい審査を通過した家庭に迎えられ、新しい生活を歩んでいます。
侵入した活動家は罪に問われて一審では有罪、控訴中
しかし施設側も、動物虐待として実刑も含む裁判に直面しています。
愛護団体→マスコミ→一般市民→政治、の一致団結した連携プレー、
愛護活動とは全く関係のない、単なる動物好きの外国人であるおばさんにまで
関心を向けさせたマスコミの力は強大です。
日本の捕鯨の様子もニュースで報道され、反対するのはアメリカの愛護団体だけではありません。
LAVは動物実験全面禁止をEUに提案するよう、政府に要求しています。
現時点、薬品開発には認められています。
つい先日のEU最後の「シヴィルユニオン法(同性婚もどき)」の成立に尽力した政治家は、
LAVの元代表、政治への“パイプ”は既に存在します。
動物実験について日本語で検索すると、「不可欠」の研究者の声が挙がってきます。
一方欧州の研究者は、コンピューター調査で代替できるものが多い、しかし時間がかかる、と。
動物を使うのは、経費を安く抑え手っ取り早い、からだそうです。
現代医学の目覚ましい進歩は、動物たちの犠牲の上に成り立っています。
“着飾る”ための化粧品の開発に、アイシャドウや口紅を塗りたくられる等の、
拷問を受ける動物が存在することも事実です。
“需要”がなければ、“供給”も減少します。
昔むかしあった、トイレの消臭剤のCM…『臭い匂いは元から絶たなきゃダメ!』
ビジネスが引き起こす、抜本的な問題に目を向けること、個人の認識も必要だと思います。
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