竜ノ介物語　その１　─出会い～決心─

今まで、リュウさんに出会ってから今までの話をしてなかったので、これから何回かに分けて日記に書こう思います。しばらくお付き合いをしていただけたら幸いですm(_ _)m

あれは忘れもしない２００５年１０月上旬、僕は猫好きな友達と犬好きな友達とで（二人とも女性。猫好きな友達をＡさん、犬好きな友達をＢさんとします）ダムにドライブに行きました。ダムの近くにＢさんのおばあさん家があるということで、彼女はそちらに向かいました。取り残される僕とＡさん。とりあえずダム周辺を走ることにしました。

そのダムの周辺の道には車の入れる休憩所が幾つかあり、僕達もその休憩所の一つに入りました。外はいい天気。車から降りると、何やらミ～ミ～と鳴き声が聞こえてきました。声のするほうに近づいてみると、大きいオーディオの箱に黒猫３匹、マダラミケ１匹が捨てられていました。それがリュウさんと初めての出会いです。
目はもう既に開いていました。その箱の中には、パンのかけらとミルクの入った容器が入っていました。ミルクの状態から見て、あまり日にちは経っていないようです。

スバル「うわ～。こんな小さいの実際見たの初めてだよ。」
Ａさん「私も～。手の平サイズだよ～。」
一匹の子猫を手に取り、まじまじと見る彼女。その中に鳴かないで、僕の顔をジ～ッと見る子猫がいました。それがリュウさんだったかどうかは分かりません。
さて、この子たちをどうするか…。

とりあえずダムの管理局に行くことにしました。その中に「地域管理課」なるものを発見。早速行って話しをしました。すると「ここら辺捨て犬や捨て猫が多いんだよ。犬ならともかく、猫は飼い主が見つかりにくいんだよね…」と一言。何だその差は！しかし「う～ん、折角来てくれたことだし、後で見に行ってみますよ。」と言ってくれました。とりあえず一安心です。その人たちが来るまで猫ちゃん達を見てることにしました。

相変わらずミ～ミ～鳴いて元気なご様子の猫ちゃんたち。しばらくすると一台の軽トラックが。あれかな？と思いましたが、どうやら休憩所内の枝木を剪定するおじさん二人でした。すぐにこちらに気づきやってきました。
おじさん「なんだ。また捨てられてるのか。かわいそうに…。」
スバル「確かに多いって聞きましたけど…。他にいるんですか？」
おじさん「この前は犬がいたな。あと、話は別物だが、ここは夜には誰も通らないから自殺者も多いぞ。」…涼しい顔して今すっげー事言わなかったか…。もしかしてここは相当危険な場所なのではないか…。どうしよう…。

管理局の人たちが来る気配はありません。もうしばらく待ってみることにしました。すると子猫の鳴き声につられたのか、二匹の猫がやってきました。大きさからして一歳くらいでしょうか…。いじめたりしないか心配しましたが、僕達が傍にいたせいか、近づいただけですぐに立ち去りました。
Ａさん「あの子達もここに捨てられたのかな…。」
そうかもしれない。現実を知った瞬間でした…。

やがてＢさんが合流。猫ちゃんたちを見てやはり驚いていました。三人で猫ちゃん達の処遇についての話し合い。もう管理局はあてになりません。Ａさんは外飼いで一匹、Ｂさんも犬好きだけど同じく一匹飼っています。両猫とも他の猫が来るとかなり警戒するそうです。残るは僕。でも以前、家に紛れ込んだ一匹の猫でさえ、引っ越してきたばかりだからという理由で飼えなかった。ましてや四匹など…。これで猫ちゃん達の帰る家は無くなってしまいました…。

ここにいても悲しくなるだけだ。無責任だけど、誰か拾ってくれますように…と思いながら、休憩所を出ようとした時でした。Ａさんが「ちょっと待って。お父さんに聞いてみる。」と言ってきたのです。ケータイで父親と話す彼女。とある事情でＡさんの父親は別な所に住んでいるとは聞いていましたが、さすがに四匹はどうか…。すると、電話が終わり「飼ってもいいって！」との回答。マジかよ…。娘の頼みだからと言って普通ここまでする親はいない。正直頭が下がりました。

と言う事で、子猫ちゃん達の運搬開始。Ｂさんからレジャーシートを借り、後部座席に敷きます。そこにダンボールごと子猫ちゃん達を乗せます。そのとき僕の車は、今の車に買い換えて一週間しか経っていませんでした。
スバル「ううっ。買ってわずか一週間で猫を乗せるとは…(T_T)」
Ｂさん「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ！それに、また二人きりになれるんだからいいじゃない。」…そう。僕はＡさんに好意を持っていたのです。後部座席の空いているところにＡさんが乗り込みました。すると「ごめんね。買って一週間でこんなことになっちゃって…。嫌だった？」と聞いてきました。「いや、そんなことないよ。」と僕は返しました。これでいいんだ。これが彼女の望んでいることなのだから…。

とりあえず、ダンボールをきれいなものにするため、大きなショッピングセンターに向かいました。道中もミ～ミ～鳴く子猫ちゃん達。とにかく安全運転を心がけました。ショッピングセンターに着き、適当なダンボールを頂戴しました。その日はとりあえず、Ｂさん宅で子猫ちゃん達は一夜を過ごしました。

僕は自宅に帰り、この事を親に話しました。さすがに四匹は大変だろうし、これも何かの縁だから一匹の里親になろうと…。父親はすぐにＯＫ。しかし母親が渋るに渋りました。別に母親は動物が嫌いな訳でもないし、アレルギーを持ってるわけでもありません。理由は大家さん、それに金銭面でした。大家さんはすごくいい人です。分かってくれると思います。実際隣で犬飼ってるし…。問題は金銭面。家は自営業なので正直収入が不安定。何とかならないかと説得に説得を重ね一ヶ月…。ゴハン代、砂代など猫に係わる費用の全てを僕が出すということで、ようやく母の了解を得ました。そのときはすでに働いていたので、自分自身余裕がありました。

そうと決まればスバル家、子猫を迎える準備を進めるのでありました。

と今回はここまで。次回「竜ノ介物語　その２　─我が家にかわいい黒猫降臨（仮）─」をお送りしたいと思います。　　　…つづく