神奈川県が、クラウドファンディングを利用して建て直しを構想中の「動物保護センター」、
欧米で一般的に「シェルター」と呼ばれるものと解釈しました。
外国の保護施設と言えば、まず最初に浮かぶ、ドイツの「ティアハイム」…
ドイツ移民の多いアメリカの街「アナハイム」…英語にするとour homeと聞いたことがあったので、
好奇心からググってみると、tier=animal、animal home=アニマルシェルター
日本のTV番組では何度も紹介されているそうですが、私は見たことがありません。
実は、ドイツが愛護先進国であるとされていることを知ったのは、つい最近、日本の記事からです。
よく考えてみると、私が療法食購入に利用していたサイト、欧州全土にありますが
本部はドイツ・ミュンヘン、ドイツ製のものが豊富に揃っています。
「ドイツ最大の動物保護施設を訪ねて」
http://www.jiji.com/jc/v4?id=2013tierheim_berlin0001
全土に約1000あるティアハイムは全て民間運営…寄付のみだそうです。
記事はベルリンのもの、フォトギャラリーを見ると、犬や猫だけでなく、それはそれは見事なものです。
我らがイタリア…canile(犬収容所)、rifugio(避難地)と呼ばれます。
話題となるものは、正直言って、悲惨な様子に目を覆いたくなるものばかり
ぎゅうぎゅう詰め、栄養不良、不衛生、充分な医療を受けていないetc…枚挙に暇がありません。
こんな状態ならば、殺処分のほうがマシなのではないか、と思わせるほど。
これは、民営の、補助金稼ぎシェルターのお粗末さを告発するものだからかもしれません。
基本、どこの自治体にも必ずある公営シェルター、しかし地方自治体からの援助があるので
民営も少なくありません。
過去、エサ代1日€2/頭と見た記憶がありますが、今回の検索ではヴェネト州€1.5が出てきました。
先日も、1000頭の犬を閉じ込めた状態で収容している、南部のコセンツァのシェルターの、
差し押さえを要求する報道がありましたが、決して珍しいケースではありません。
犬をシェルターで管理するには、1頭あたり年間€300 ー1,000 かかるとのこと。
公営の場合、税金による全負担です。
LAV(イタリア最大の愛護団体)のTwitterによれば、最新のparco canileがTVで紹介されるとのこと。
canile=シェルター、それにparco=park公園という言葉がついています…初耳です。
ということで、少々調べてみました。
イタリアを代表する“都会”ミラノのもの、公営です。
Il Parco Canile/Gattile di Milano
http://www.comune.milano.it/wps/portal/ist/it/vivicitta/animali/parco_canile_gattile_rifugio
広い敷地に大きな木が木陰を作り、ベンチも置かれ、愛犬連れで散歩もできる施設(ほぼ公園)
まるで「5つ星ホテル」のようだとの紹介文があり、動画も最近添付されたようです。
字幕は伊語、時々英語やとんでもない言葉が混ざりますが、雰囲気的には掴めるかと。
決してドイツのティアハイムに劣るものではありません。
2000年にオープン、2014年11月には水害にもあったものの、多くの協力を得て動物たちはすぐに避難
3ヶ月後には再可動しています。
野良や家庭で飼育が困難になった犬・猫を収容、8つの建物が犬用(300頭)、1つが猫用(約200頭)
この猫用は、900㎡の敷地に350㎡の建物、8つに別れている収容部分は、
それぞれネットで閉鎖された中庭にも連結して出入り自由。
ミラノには950の地域猫コロニーがあり、最低10.000頭が生息しています。
収容時にはすぐさま獣医の診察をうけ、身体的だけでなく性格や行動のチェックがあり、
里親募集に向けての教育もされます。
野良だけでなく、攻撃的な行動により差し押さえられた大型犬の、再教育も重要なことです。
“殺処分”は、あくまでも最後の最期の手段、ボラさんもただのお世話係ではないようで
講習を受けたあと、成績次第での採用となります。
24時間柵の中ではなく、出来る限りの運動も。
里親希望者は、色々指導を受け仮譲渡、6ヶ月後にコントロール、その後正式譲渡となります。
6月に5周年を祝ったフィレンツェのシェルター
里親募集で空きになったスペースを利用して、“ペットホテル”もあるとのこと、€5−15/日。
美人女性ブロガーによるルポ、画像が沢山あります。
http://www.ireneccloset.com/2015/05/canile-firenze-parco-degli-animali.html
分娩室もあり、素晴らしい施設です。
さて、首都ローマは…
こんな立派なものではなく、おまけに閉鎖騒ぎがあり、市政に「見捨てられた」状態でしたが
市民の協力により6月再オープン。
イタリアのシェルターに対して持っていたイメージが、激変したミラノとフィレンツェ、
しかしこれはまだまだ僅かな模範例、これからに期待です。
余談ですが、野良犬や猫250,000−400,000頭が、イタリア・スペイン、ギリシャ、トルコから
ドイツに運ばれるとの報道…zoomafiaと呼ばれて、大きなお金が動きます。
シェルターから運び出されることもあるとか…世話をせず、公費を懐に収めてしまう
これは動物実験、ペットフード(用肉)、毛皮が目的だとのこと。
イタリアでは実験動物に関しての細々した規制があり、野良犬や猫を実験に使用することを、
また実験用動物の繁殖を禁じているので、ドイツも似たり寄ったりだと思います。
ならば医療開発には許されている動物実験、まして医療開発が盛んなドイツでの実験動物は、
どこで調達するのか?
…輸入は既知の事実、謎が解ける思いです。
命を利用して大きく稼ぐ不埒な奴らが存在するのは、何処も同じです。
英国バーミンガムでも、シェルターのボスが寄付金£450,000≒6000万円を着服
http://www.mirror.co.uk/news/uk-news/dogs-home-boss-arrested-after-9264630?service=responsive#ICID=sharebar_twitter
このBirmingham Dogs Home、1892年創立の歴史ある施設、昨年£270万≒3億6000万円の寄付があり
…ゼロが多く、計算を間違えているかもしれません^^;
単発で£100万もあったそうです。
“先進国”も、決して素晴らしいニュースばかりではありません。
川崎市の動物愛護センターでは、事務所を保護犬が歩き回っているとのこと。
地域猫制度をいち早く取り入れた神奈川県は、やはり日本の最先端のようです。
クラウドファンディングで募金を募っている平塚の新しい愛護センターは、
ミラノやフィレンツェのものに近いものであると、想像しています。
『殺処分ゼロからその先へ!「殺処分室のない」動物保護センター建設』
https://readyfor.jp/projects/happyanimal
ふるさと納税の、対象にもなっているとのご案内も頂きました。
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