僕、ホワイト。元野良のオス猫。
これは、大の猫嫌いだった中年オヤジのゲンさんがひょんな事から二匹の猫を世話することになり、しだいに猫好きへと変貌していく様を書いた実話だよ。
いよいよ僕たちと出会ってから一年になる日が来るというのにゲンさん、段々浮かない表情になってくるんだ。
どうしてだろうと思っていたら、それは僕たちの宿命とでも言うべきことに関係していたんだね。
僕は小さい時に保護してもらったけどやっぱり野良猫だったんだよ。
だから生まれも、親も分からない。ましてやチップ君は大人の野良猫で保護されたから年齢もハッキリしないんだよね。
ゲンさんは一年近く一緒にいるのに僕たちのお誕生日をお祝いをしてあげれないことを気にしていたんだ。日にちが分からないでしょう。
だからそれを可愛そうだなと思っていたんだ。
でもね、猫好きさん達のサイト見てるとゲンさんと同じように保護してお世話している人達が多いんだという事を知ってね。みんながどうしているのかと思ったら、出会った日をお誕生日にしたり、飼い主さんのお誕生日と同じ日にしたりしていたんだね。
それを見てゲンさんも少し安心したみたいだよ。
お誕生日が無いのは僕達だけじゃないと知って。
生まれた日が重要な事ではないんだ。僕たちがゲンさんに出会って幸せに一年暮らせた事の方が重要なことなんだってね。
チップ君とゲンさんは僕より少し前に出会っていたよね。その後に僕が現れたわけだから出会った日がバラバラ。
考えたゲンさんは僕たちに首輪以上のプレゼントをしたくれたんだよ。
それは、ゲンさんが僕たち二匹をずっとお世話しようと決めた日を記念日にしてくれたんだ。
9月1日を。
「家族記念日」
そう、お誕生日でもなく、出会った日でもなく、家族と認めてもらえた日。
僕たち野良猫二匹を家族として迎えてくれた日。
僕たちに新しい家族が出来た日。
猫嫌いだったゲンさんが僕たちとずっと一緒に暮らしていこういと決めた日。
ステキな記念日でしょう。
だからこの日をずーと大切にしていくよ、僕たち。
だって家族なんだもん。
一緒の家族になったんだもん。
こんなすてきな記念日は他にないでしょう。
どこのカレンダーにも載ってない記念日だよ。
僕たちとゲンさん家族の記念日さ。
こうして無事に一年目の家族記念日を迎えることが出来た僕たち。
ゲンさんも二年目からは今までの繰り返しだからそれほど心配もいらないと一年間お世話を続けて自信を深めたらしいよ。
ところがそんな事はつかの間、僕にとんでもないことが起きてしまったんだ。
それは・・・。
「エピローグ」
それは、家族記念日が過ぎて2週間もしない頃の事だったんだ。
僕がトイレに入ったまま5分も10分も出てこないんだ。出てきたかと思うとまたトイレに入って出てこないことの繰り返し。
いつもと違う様子にゲンさん慌ててね。
すぐに調べてみたよ。
そしたら尿管結石かもしれないと分かってね。放っておくと取り返しのつかないことになるオス猫が罹りやすい重大な疾患とあったんだ。
慌てたねゲンさん。
でも、素早い対応と懸命の看護で重症化することなく回復できたけど。
そのときの慌てようは日記を遡って
「歌詠猫ホワイト」の一番目から書いてあるから暇なときにでも見てね。
さて、これでゲンさん奮闘記はおしまい。どうでした。
あれほど大の猫嫌いだったゲンさんを猫好きさんに変えてくれたのも、色々と相談にのってアドバイスしてくれたネコジラーの皆さんのお陰だよ。
本当に有り難う。
そして長々と書いた日記を最後まで読んでくれて有り難う。
そして、これからも僕たちチップとホワイトをよろしくね。
それじゃ、また。
「あとがき」
最後までお付き合い下さり本当に有り難うございました。
最初から100回シリーズにしようと計画した為に途中で中だるみが出たような気がいたします。長々と書いた日記を最後まで読んで頂き本当に感謝いたします。
さて、私がこの奮闘記を書き始めたのには理由があります。
それは、今までの猫嫌いが猫の事を理解していないために生じた誤解であったこと。
お互いを分かり合うには相手の事を良く理解する必要があるということ。
そして、何よりも生き物の命の尊さをあんなに小さな子猫だったホワイトやガリガリの薄汚れた野良猫チップから中年のオッサンが教わったこと。
そして、それを助けて下さった皆様にお礼と報告を兼ねて出会いからの回想記を書かせて頂きたく思った次第です。
何事も相手の事を良く理解すれば分かりあえるものだと思います。自分の都合だけで物事を判断するからこそ軋轢が生じ紛争につながるのではないでしょうか。
生まれも違えば宗教も違う、食べ物も違えば言葉も違う。人それぞれ同じ人はいません。
だからこそお互いを良く知ることで理解し合えると思うのです。
当たり前の事かもしれないのですが私利私欲を求め自分のフィールドに相手を引き込もうとする人間達。だからいつまで経っても同じような紛争が続くのではないでしょうか。
そんな当たり前の事を私は小さな野良猫達から教えられました。
この子達は私を人として少し成長させてくれたように感じます。
中年の頑固おやじに凝り固まる前に私を一回り大きな人間にするために遣わされた仏のような存在に感じるのはすこし大げさ過ぎますでしょうか。
事実は小説よりも奇なりと言いますがまさにその通り、この二匹が起こした実話だからこそ猫嫌いのオッサンにも猫の事をここまで書けたのでしょう。
その点ではやはり、二匹あってのゲンさん奮闘記であります。
少し角が取れて丸くなった中年のオッサンは今日も二匹の猫のお世話に奔走します。
途中多くの皆さんからコメントも頂いた事に感謝し、また、全てに方にお礼を申しあげれなかった事をお許し下さい。
また、奮闘記を読んでの感想なり批評なりを御遠慮なくコメント頂ければ幸いです。
お待ちいたしております。
さて、装いも新たに新シリーズを来週より開始したいと思っております。
また日記のコーナーに掲載したいと思っておりますので近況報告と合わせてお楽しみ下さい。
どうぞ今後もチップ&ホワイト共々宜しくお願い申し上げます。
チップ&ホワイトの主、ゲン。
※僕たちの近況
最近の僕たちです。
チップ君はゲンさんと出会って二年が過ぎました。
僕も満二歳の誕生は過ぎたと思います。
元気な仲良し二匹をよろしくね。
byホワイト
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