大人猫は~?
あれ? お腹の大きいこと、具合悪そうだったチャトラのママ猫がいない。
少しすると、奥様登場。
猫たち、いつもの狂喜乱舞がないし。すでにご飯終了かな。
「ゆうべはね、ここんところ(居間の窓の前の棚の上が猫の定位置)で大騒ぎでさ。あんまりうるさいから、ご飯ちょっとあげたら、静かに寝たんさね。」
「ほら~、食べな?」カリカリが器に注がれる。
猫たち、のんびりしてて食べに来ない。
「あれぇ、どしたんかねぇ。食欲無いんかねぇ」
良く良く話を聞くと明け方だった?らしい。
そんな時間に食べたら、食べないよね。うちの子たちも夕方とか、夜明けごろとかの薄暗い時間にお腹すくらしいもんね。
狩りの時間というのは、そんなものよ。
チビ猫たちは、顔回りが割と綺麗になって来てる。
二匹ほど、目がふさがってはいたが、拭き拭きして綺麗になった。
「ありがとねぇ、綺麗になったんね。」相変わらず呑気な~。いない猫の心配はしないのね?
”黒”は夕べも来なかったし、今朝も来ていない。
完全にこの家とはおさらばしたのかな。
チビ猫の目を拭き拭きしながら、いろんな話を聞きこむ。
旦那様は、もう4年も酸素を吸う生活なんだそう。
昔は、畑に出て一日働いてたのに、今では少し動くことも難儀らしい。
夕方、少し外に出て、玄関前にしゃがみ猫に餌をくれ、話しかけるのが外でできる唯一の楽しみになってるんだそう。
奥様は糖尿病なので、甘いものや果物は控えてるし、もともと果物は好きじゃないとな。
うーん、たまには持ってこようかと思った手土産は甘くないようなもの、軽いせんべい系のほうがいいのかな?
年金が出るとついつい茶菓子を買ってしまうそう。
なぜかご飯の後につまみたくなっちゃうんだって。
それは何となくわかるわ。
「お腹の大きい子がどこかで産んでたら、また増えちゃいますね。」
「そうなんだよねぇ。」
「雌4匹が秋に産むときは、16匹増えますよ?どうしましょう。貰い手がいるといいのにね。」
「だけどさ、うちの人が猫を見ると癒されるっていうんだよぉ。ほかに何にも楽しみがないからねぇ。
畑仕事も出来なくなって、イライラしちゃうから、せめて猫見てる時くらいしか、癒されないんだよねぇ。
アタシの兄弟んちは、みんな孫の面倒見てるけど、うちは子供ができなかったから、することないんさねぇ」
・・・イライラする旦那様、怒り出したら大変だろうな。
義父で嫌というほど、わかってるし。
「あっちのチビ猫ちゃん、目やにがひどくなっちゃいましたね」
「よそから来た子ねこ」は物陰に隠れながらも、カリカリにありつこうと、ウロウロしてる。
この子はここに居て、カリカリにありついてるけど、ほかのチビ猫のようにママ猫が世話してるわけではない。
昨日はシャーシャー逃げ回っていて、顔を拭いてやる事も出来なかった。
困ったな・・・
この家のチビ猫はいつ触ってもシャーは言わない。
ママ猫もチビ猫をつまんでいても、じ~っと見てたりするけど、やがて眼をつぶったりしてくれる。
こっちのチビ猫たちは人慣れしてるから、いつでも何とかなりそう。
「まぁね、家もあんまり増えちゃってもどうしようもないけんど、こればっかりはねぇ。
うちの人の楽しみだから、アタシがどうとかは出来ないんさ。またそのうち、大きくなったら、どこか行くかもしれないしねぇ。」
「そうですねぇ、大きくなると親離れしてどこかに行くってこともありますしね。」
「そうさねぇ、少しはそうなってくれるといいんだけど、アタシにはねぇ。」
そうこうしてるうちに電話が鳴って、奥様は家の中に入っていく。
棚の上のチビ猫たちに混ざって、”よそから来た子猫”もうろうろしつつも、お水の入れ物に顔を突っ込んだ。
ちょうど目の前にいる。
一昨日の顔拭きで暴れられて、昨日は警戒されて顔が拭けなかった。
また顔を拭いたら、もう二度と捕まえられないのかも。
スッっと右手を伸ばし、目の前の”よそから来た子猫”の後ろ首を思い切りひっつかんだ。
「ぎゃぁっ!!」
叫ぶ、暴れる。
すぐに、手提げに入れてあった、座布団カバーに突っ込んでチャックを閉める。
大人猫たちは、びっくりして固まっている。
一部始終を目撃されてしまった。
カバーの中の子猫は静かになった。
大人猫は、「何したん?」という顔をしている。
これ以上長居してもこの子らに警戒心が芽生えちゃう。
奥様が電話が終わって出てきたので「じゃぁ、そろそろこれで」と退散~。
「ありがとねぇ、助かったよぉ。タケノコあるかい?」
裏の道まで歩きながら竹林に生えてるタケノコをボキボキ折り始めた。
「キュウリもどうかね?ナスも出来てるよ。」
いやいや、そんなに貰い物しても・・・と言いつつ、断っては失礼なので、思い切り大げさな位に
「ありがとございますー! とれたてで~。タケノコもなかなか食べらんないですもんね。ああ、こういう大きいキュウリ、冷汁にすると美味しいんですよね!なかなか手に入らないから、嬉しいです。あ、採れたてのナスもみずみずしくって~。いつも悪いですね、こちらこそ、もらいに来てるみたいで~」
「いいんだよぉ。どんどんなるから、二人じゃ食べきれないしね。」
手提げの中の子猫が「ぴぎ~」と泣いたようだが、耳には届かない。
今日は大収穫、小汚い風邪っぴきの可愛くない子猫、タケノコ、大きなキュウリ、ナス、タマネギ。

奥様は「よそから来た子猫が見えない」と明日の朝、言うだろう。
だけど、探すことはなく、「また道路渡ってあっちに、行っちゃったんかねぇ」で終わると思う。
旦那様の手前、「子猫を誰かにあげた」という事はきっと出来ない。
嫁に来た人は、旦那様の許可なく何かできないからね。
だけど、旦那様に嘘をついて暮らすことはその方には出来ないし、させたら可哀想だと思う。
いつの間にか ”よそから来た”子猫 はいつの間にか、”どこかへ行っちゃった”、そういうことなんだよね。
”よそから来た子猫” にとって、この家の猫たちはママでもないし、兄弟でもないんだから。
少しクルマを走らせてから、TNRに協力的な獣医さんに電話。
・・・・・・・でない。外での仕事かなぁ。
やはり病院にいて仕事をする先生じゃないので、見てもらえるかは”運”なんだよね。
この先のTNRの事で話もしたいし、チビはまた明日にでも連れて行こう。
顔を拭きたいと思って座布団カバーのチャックをあける。
顔だけを出して、つかんで拭こうとしたとたん、「ぎゃぁぁー!!」と暴れた。
慌てて袋に突っ込んだけど、袋を通して左手親指の爪と肉の間を噛まれた。
こいつーー!
元気なのも困ったもんだ。こんなのを先生のところに連れて行くのもなぁ。
人慣れしてからの方がいいんだろうか?
家に戻って、チーの時みたいにキャリーに猫砂をセット、袋ごとチビを突っ込んで移す。

カリカリと猫ミルクを入れるがシャー!だそうな。
白トラたちがいた倉庫にキャリーを入れてしばらく放置。
後で見に行ったらカリカリは完食。
まぁ、食欲あっていいじゃないのよ。

少し落ち着いたら、顔を綺麗にしてあげるからね。
チーは最初から弱りきっていて、はむかう事なんてなかったから、どうしたらいいか、悩む。
まぁ、何とかなるでしょう。
旦那さんの「氷珈琲が入ったよ~」の声。
ミスドの真似だけど、けっこう美味しい。

一仕事やり終わった後のコーヒータイムはいいわぁ♪
家猫修行?
大変そうだニャ~僕なんか、生まれた時からこの家の子だしね。

木陰でくつろぐ白。
目があったら、クリチューをねだりにやってきた。
そうだね~白みたいにおねだり上手な猫になれるといいね、あのチビ。
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