人間と動物と関係学　その１「関係学とは」

2008年5月9日(金) 1157 / 6

以前「日本と西洋の動物観の違い」にて「もっと人間と動物の関係を掘り下げてほしい」とのご意見をいただいましたので、きょうは「人間と動物の関係学」について書きたいと思います。

まず「関係学とは何か」

近年「ヒューマン・アニマル・ボンド（人と動物の絆）」という言葉がメディアで取り上げられるようになり、動物を単に受け渡し・保護の対象としてとらえるだけでなく、彼らと人間との係わり合いそのものに焦点を当てようとする人々が増えています。
そこでこの係わり合いを整理、分析するために生まれたのが「人と動物の関係学」という分野です。

１９６０年代の終わりから７０年代初頭にかけて、動物が人間の精神や肉体に大きな影響を与えるものであり、かつ人間と動物は常に影響しあってるのである、という研究・調査の対象とする科学者たちが台頭し始めました。

教育、動物愛護、獣医学、医療、行政、人間の福祉、環境、公衆衛生など様々な分野の多くの専門家たちは、医療や教育などあらゆる背景における人と動物の相互作用を見ていくことの大切さを認識し、１９７４年以来、多岐にわたる専門家を集めた国際会議を開催してきました。
人と動物、および環境の相互作用に関する教育研究活動を目的とした、人と動物のそのものより客観的に検討するための組織が誕生し始めたのもこの時期です。

これらの会議や組織で取り上げられた人と動物の関係は、より正確には「人間と動物のかかわり合いによる互いの接点」というべきでしょう。
人間は動物と様々な接点を有しながら生きていますが、動物をペットとして飼養するのもその一つでしょう。
また生きていくために動物を食べることもこの「接点」の一つなのです。

その他私たちの生活の中では、実験動物、学校で飼育する動物、野生生物等と、直接的、間接的にかかわらず、かかわりを持たるざるをえません。
これらの動物たちと人間の間には、その都度そこのみに存在する関係ができていくものであり、その関係一つ一つが人間にも影響を与えているのです。
人と動物の関係学とは、様々な専門分野すべてにまたがったものなのです。

それぞれの「接点」がいかにつながってるか、またそれらに共通する理念、思想は何かを探り、同時に各専門分野に対して他の「接点」の存在を無視しながらの発展はあり得ないのだ、ということを理解させていくことが、人と動物の関係学の果たす役割です。
人と動物の接点が扇の要であれば、そこから伸びている様々な専門分野は骨であり、そして人と動物の関係学は扇面なのです。
いくつもの人間と動物双方にかかわる分野の「骨」に支えられて出来上がった扇面が人と動物の全体像であり、そこにどのような絵が描かれているか、またその絵をどのように描くべきかを検討するのが「人と動物の関係学」の目的なのです。

…今回はちょっと難しいでしょうかね＾＾；（書いていて僕も訳が…（爆）
何か分からないことがありましたらご質問くださいm(_ _)m

―おまけ―

今日もわんにゃんコロニーに行ってきましたよ＾＾
今日はロシアンブルーてんこ盛りでしたにょ。