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平成17年夏に猫を保護してより飼育中の初心者です。

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日記連載創作猫物語、「虹になるまで」 第九話 その三
2009年12月5日(土) 476 / 16

            三

 出産間近になった猫は気が立っていた。

 近付いて触れる事ができるほど懐いていたに、警戒している。

 夫婦は十分に慣れさせてから、保護する事に決め、安心して出産ができる様にそっと餌を与えた。出来る事なら出産前に保護してあげたかったが、母猫はすでに出産体勢になって寝床に入ったまだ。今は静かに見守るだけだった。

 数日後寝床から小さな泣き声が聞こえた。

 ついに生まれた。


 夫婦は猫の家族を刺激しないように近づかないでいた。

 それでも、生まれた赤ちゃんの様子が気になる。

 母猫が寝ている頃、離れた場所からそっと覗いてみた。

 仔猫は三匹生まれたようだ。

 おなかいっぱいなのか。すやすやと眠っている。小さなおなかがピクピク動いている。

 次の日、グレーの仔猫だけがおっぱいに吸い付きもせず横になっていた。寝ているだけだろうか、ぐったりしているようにも見える。仔猫を取り出してみたいが母猫がいては手も出せない。無理をして子育てを放棄するようなことになっては大変だ。

 夫婦はじっと我慢し、母猫が出かけるのを待った。

 明け方になり母猫が出かけた隙に仔猫を取り上げてみた。

 まだ目も開いていない体はぐったりして冷たくなりかけている。それでも小さいながら鼓動だけは感じられた。

 慌てた夫婦は、とにかく保温だけはしてやろうと、お湯を入れたペットボトルをタオルに包み仔猫を暖めた。

 朝、病院が開くのを待って、獣医のもとに駆け込んだのである。

 獣医からは仮死状態と言われた。出産時から弱かったのだろう、どうにか生命反応はあるが意識を取り戻すかは確信がないとの事だった。

 子宝に恵まれなかった夫婦にとっては孫のような存在だ。それが猫であっても同じ命なのだ。母猫には、どうしても全員を元気に育ててもらいたかった。夫婦は獣医に全てを託した。息を吹き返すことだけを信じて。

 病院へは妻が残りずっと仔猫の手に自分の手を重ねていた。
獣医も出来る限りの治療を施した。

 あとは仔猫にどれくらいの生命力が残されているかであった。

 母猫は居なくなった仔猫を心配したのか落ち着かない様子だったが、残された二匹の世話に追われていた。家では夫が猫の親子を見守っている。

 そのまま二日間が過ぎていた。


 病室では、男性が女性の肩を軽く叩いて首を横に振った。

 女性は仔猫の手を両手で包み込むように握り締めた。

「ごめんね、何も出来なくて。兄弟はみな元気だよ、お母さん
もお乳をあげようと待っているのに。うちの車庫で産まれたんだ、これも何かの縁だよ。この世に戻って来られるのなら、私の顔を見せることが出来たのに。ちょっとだけでもいいから戻って来てくれないか。可愛い目を開いてくれないか」

 そう言いながら顔をあげた女性の目には大粒の涙が輝いていた。

 カーテン越しに入る朝日に照らされキラキラと輝く涙は虹のように綺麗だった。

 頬を伝いあごの先にたどり着いた涙は、しだいに大きくなっていく。

 ついに涙の集まりは現世へ別れを告げるように、女性のあご先からきらめきながら離れた。


つづく



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

いかがでしたか、今回のお話。

 前回に引き続きピースの現世での人との関りを書いてみました。

 ただ、二回に渡り現世の人間達が出てきたことでファンタジーらしさが薄れたかもしれませんね。

 これは難しいところです。ただ、現世での人との関りを書かないとなぜピースがこのような状況になったか理解できませんし、現実の猫を取り巻く環境の問題点を浮き彫りにするために必要かと書きました。

 ファンタジーを貫くなら人間世界の描写は無いほうが良かったかもしれないとは思っています。

 皆さんはどのようにお感じになりましたか。

 できたら、素直な感想頂けると幸いです。


 先日はyashikoさんにネコニュースに投稿して頂いたり、日記に書いて下さり多くの方の反響があり大変励まされました。

 最初から、読み直して下さっている方もいるようで感動いたしました。
 
 すでに原稿用紙200枚は越えていると思います。

 全編で250枚位にはなるのではないかと考えております。

 でも、これでも一冊の本になっても170ページほどの小編にしかなりません。

 自分自身こんなに長いもの書いたのは初めてです。

 皆さんを感動させることができる結末に持っていけるよう最終話を書いているところです。

 時間がなく、皆さんの日記にもコメントいれる事ができない事をお許し下さい。

 ラストスパート中と御理解頂ければ幸いです。


 さあ、次回はいよいよ作戦決行です。
  
お見逃し無く。
 
 次回もお楽しみに。

 
    



 さて、私事で申し訳ないのですが、今年もユナイテッドシネマが主催するプロットコンペティション(映画のもとになるプロット)に応募しました。

 結果は、予想通りの二年連続予選落ちです。

 独学で四苦八苦し、結果が出ない姿を見かねたのか、知り合いの方が戯曲を勉強しないかと声を掛けてくださいました。

 ただ、劇を見たこともなければ、戯曲を読んだこともない、まして書いたことなど全くない私は二の足を踏んでおりました。

 それでも、指導して下さる先生が、プロの作家であり脚本家の市川森一先生と聞くと心がときめくのであります。

 市川森一先生を知らない方はぜひ下記を見て下さい。私がときめくのがお分かり頂けると思います。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E5%B7%9D%E6%A3%AE%E4%B8%80

 この講習は県の文化推進事業の一環とのことでなんと無料です。こんなことってありますか。

 こんなビッグチャンスは滅多にないと、一か月間、申込書に添付する作品を書いておりました。

 その結果が先日来まして、12月の講習から参加して下さいとの御返事を頂きました。

 どのような講習かまだ参加していないので分かりませんが、これって凄くないですか。

 プロの作家さんに身近にお会いでき、指導を受けられるのですよ。

 戯曲は初めてでかなり難儀することと思いますが、決して無駄にならないと確信します。これをきっかけにステップアップしようと思います。

 夢の夢だった本を書くという世界に近付いたようで、もうときめいています。

 このつながりを大切にし、夢を叶えたいと思います。

 また、実際参加した際は報告を載せますね。

 楽しみにしていて下さい。

 ちょっとした近況報告でした。

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