そもそも療法食が何なのかご存知ですか?
フードそのものにも種類があるのをご存知でしょうか。適切な量と水があれば健康が維持される、言わば主食と言える「総合栄養食」、おかずやおやつの位置にあり、与えすぎると栄養バランスが偏ってしまう「一般食」、そして病気になってしまった猫ちゃんを管理するためのフードである「療法食」があります。
この療法食とは特定の病気などに対して栄養バランスなどが考慮されたフードのことで、普通の食事とは違い病気を管理するための専門的な知識などが必要になってきます。もし療法食を与えることになった時は、獣医さんと相談をして決めるようにしましょう。
この療法食、もし与えることになった時は個人の判断で選ばないようにしましょう。
例えば、尿路結石治療のフードでも、栄養バランス的に治療中のみ与えられるもの、完治したら与えられるもの、肥満もある場合はこれ…と、会社によっても様々な種類があり、知識がない人や、前の猫もこれを与えていたから…という判断はかえって健康を損ねてしまう可能性があります。
療法食を与えるのをやめたり、続けるのも知識がない場合は病気の悪化や再発に繋がる場合もあるので、必ず獣医さんと相談するようにしましょう。
療法食に力を入れているブランドは沢山あります。そして、ブランドごとにフードの配合具合なども変わってくるので、ご自身も栄養表示を確認したり、ドライやウェットなど、どんな種類があるのか確認しておきましょう。
本社がフランスにあり、世界でも人気のロイヤルカナン。値段もそれほど高くなく、安全性をとても大切にしているのと、フードの食いつきも良いため日本でも人気があります。
下部尿路疾患用のフードで考えた際にも種類が豊富で、段階に合わせてフードを与えることが出来ますが、調整されているとはいえ塩分も高めと言われています。心臓病や腎臓病の進行具合によっては塩分制限が必要になってくるので、心配な場合は獣医さんと相談するようにしましょう。
こちらもロイヤルカナンと同様に世界中で人気のあるアメリカのブランドになります。フードの切り替えもスムーズにいったという口コミもありますし、有害な添加物は入っていないと言われていて、安全して与えることが出来ます。
他のフードにも言える事ではありますが、グルテンフリーではなく穀物も入っているので、アレルギー持ちの猫ちゃんの場合は獣医さんに相談するようにしましょう。
国内で生産しているブランドのドクターズケアですが、合成酸化防止剤や人工添加物を使っていないのと、小粒で食べやすいなどの口コミもあります。
ある程度安心して与えることが出来ますが、穀物が入っているのでアレルギーを持っている猫ちゃんは気をつける必要があります。
特にかかりやすい下部尿路疾患などの病気であれば、基本的にどのブランドでも出している場合がありますし、甲状腺の病気に対する療法食も出しているブランドはありますが、色々制約があるようです。
今回は特にかかりやすい病気と療法食について紹介していきますが、最終的には猫ちゃんの症状や体調などに合わせながら、獣医さんと相談して決めるようにしてくださいね。
食事の中にマグネシウムなどが多く含まれていたり、水をほぼ飲まない、体重過剰などの理由から結石ができてしまい、結果的に尿路結石になってしまうケースが多いようです。
販売されているフードは、水を飲ませるために塩分を多く含んだり、phを正常にするものなどがあります。塩分が割と多めのブランドもありますが、こちらは心臓病や腎臓病などの病気の段階によっては与えるとかえって別の病気を再発させたり悪化させてしまう場合もあるので、不安な場合等は獣医さんに相談をして決めるようにしてください。
腎臓の組織に何らかの理由で障害が起こってしまう腎臓病ですが、症状が出にくいうえに傷ついてしまった部分の機能は回復しません。そして、その進行を遅らせたり、軽減させるためにも食事療法はとても大事になってきます。
病気になっている猫は食欲が落ちている場合があるので少ない食事でも消化率の高いものや、問題であるナトリウムやリンを制限する、硬すぎて食べれないのであればウェットタイプにするなど、工夫も必要になってきます。
去勢したオスや肥満の猫がかかりやすいと言われている糖尿病ですが、血糖値を調節したり、急激な変動を与えないようにすることが必要になってきます。
フードの中に食物繊維が入っていて、食後の血糖値が急激に上がらないようにするなどの工夫がされているフードもありますが、フードと同じくらい猫を運動させて体重を減らすことも考えましょう。
ストレスや年齢、細菌感染などの様々な理由から栄養素がうまく吸収できない状態が消化器病と呼ばれています。
これらは下痢や便秘、最悪の場合は大腸炎などの病気にもなってしまうこともあるので注意が必要ですし、下痢の場合は気付いたら脱水症状に陥っている場合もあります。何かの病気にかかっている場合もあるので、いつもと違うと気付いた場合は出来るだけ早く病院へ行くようにしましょう。
アトピーや寄生虫、アレルギーなどからかゆみを伴ってしまう皮膚病ですが、これは食べ物以外でも獣医さんと相談をして適度にシャンプーを行ったり、温度などを管理することである程度コントロールが出来るかと思います。
掻いてしまう原因が食事アレルギーである場合は食事そのものに気を付けなければなりませんし、食事バランスを整えて健康な皮膚を作ることも大切です。しっかりとケアして、早く治るようにしてあげましょう。
療法食はまずい、全然食べてくれない、などのイメージが定着しているかもしれませんが、各ブランドも猫ちゃんの為に日々研究と進歩をしています。切り替え方や切り替えた後のポイントも抑えながら、食べてもらえるようにしましょう。
興味を持ってくれた場合、そこで一気に変えた方がいい場合もありますが、次の食事では興味を持たない場合もあります。また、特にそこまで興味がなさそうであれば相談は必要ですが徐々に移行していくのも手です。
今までのフードに新しいフードを混ぜて9:1から6:4に、それも問題なさそうであれば3:7…と切り替える方法や、フードは両方置いておいて新しいフードを口にするようになったら今までの方を減らしていく…などの切り替え方法もあるので、猫ちゃんに合わせて切り替えてみてください。
まず最初におやつをあげるイメージで手から与えてみてはどうでしょうか。見向きもしない場合は無理に与えてはいけませんが、おやつの雰囲気や飼い主さんの手からもらうことで興味を持つ可能性もあります。
他にも、元々食べていたドライフードの容器に入れる、パックなどに鰹節などを入れて一緒にするなど、匂いだけをつけてあげるのも効果があるようです。あくまでも「匂いをつける」ものなので、残ったフードと混ざったり、パックが開いて中身が出ないように気をつけましょう。
ウェットフードなどはレンジなどで35~40度程度の体温程度に温めてあげると、匂いが強くなり結果としてよく食べるようになる場合もあるようです。
この時、外は人肌でも中は熱くなっている可能性もあるので、外側の温度だけで判断しないように気をつけてください。
病気によってはドライを食べていた子がウェットを好むようになる場合もあるので、ふやかしてあげたりウェットと混ぜるなど味覚が変わるようにすると食べるようになるかもしれません。
他にもスープを追加する、好物を少し混ぜるなどの方法もありますが、もしトッピングとして何かを混ぜる場合は病気によっては療法食の目的の妨げになってしまうので、獣医さんに混ぜてもいいのか、種類や量はどれぐらいならいいのかなど、しっかりと相談してからあげるようにしましょう。
例えばケージに入ると病院に行く、というイメージがついてしまうとケージに入らなくなる場合があります。それと同じように病院から帰ってきてすぐ療法食を与えられるとご飯が嫌な印象になってしまう場合もあります。
もし可能であれば、その日だけは今までの食事にして、次の日から切り替えるなどしてあげてもいいかもしれません。
そして、もし猫が興味を持ってくれない、食べてくれなかったとしても、叱ったり無理に食べさせようとしないでください。ご飯の時間と嫌な記憶が結びついてしまうと、その後のご飯も食べてくれない…なんてことになってしまうかもしれません。何をしても食べてくれない場合は獣医さんに相談をしながらブランドを変えてみるなど、出来るだけ嫌な印象を与えないようにして、食べてもらえるようにしましょう。