さまざまな事情から結果として猫の保護を決定した場合、その後どのようにケアを提供すべきか、特に幼い子猫の育て方など、「保護した猫への最善のケア」については、このページで具体的に説明します。
成猫でも子猫でも、命は等しく大切です。その前にある命を守ることに対する責任をしっかりと心に留めておいてください。
幼猫を発見し、保護することになった場合、まず最初に行うべきことは「保温」です。幼猫は本来、母猫や兄弟と一緒に暖を取っているはずです。したがって、カイロや布、あるいは自身の体温を利用して、幼猫の周囲の温度が常に約30度を保つようにすることが重要です。
保護した幼猫を里親に出すかどうかに関わらず、最初のステップは動物病院へ連れて行くことです。初めて猫を保護するという経験のある方でも、動物病院では多くの知識とアドバイスを得ることができます。ただし、時間帯によっては動物病院が閉まっている場合もあります。保護した幼猫の状態が明らかに危険な場合は、夜間でも診療を受けられる病院を探してあげてください。
ペットショップで必要なアイテムを揃える必要がある場合も、同様に時間帯によっては営業していない可能性があります。保護した猫が離乳前でミルクが必要な場合、緊急時の対策として以下の代替ミルクを用意してください。
牛乳110mlに対し、卵黄2個、液状総合ビタミン剤(あれば)1滴
この代替ミルクを人肌よりわずかに温かく温め、スポイトなどを使用して与えてください。与える際は、幼猫をうつ伏せの状態にし、少し斜めになるように持ち、ゆっくりと与えてください。誤って呼吸器官に乳が入らないよう、注意が必要です。この代替ミルクは短期的な対策に過ぎませんので、次の日には必ず子猫用のミルクに切り替えてあげてください。
更に詳細な子猫の育て方については、こちらのページをご参照ください。適切なケアと愛情を持って接することで、幼猫は健康的に成長します。そのためにも、保護した猫に最善のケアを提供することが肝心です。
保護した際に健康診断や血液検査、ワクチン接種を行ったとしても、これらの行為は一度きりで十分というわけではありません。猫の健康維持には定期的な検診や、年齢に応じた去勢・避妊手術など、動物病院での医療行為が不可欠です。一方で、全ての猫が受けるべきというわけではない検査やワクチン接種もあります。ワクチン接種は猫の身体に負担をかけるため、獣医師と相談しながら、猫の健康状態を鑑みた上で適切な医療行為を選択しましょう。
動物を飼うということは、動物病院や獣医師と長期的な関係を築くことを意味します。保護した猫を最終的に里親に譲渡するにしても、獣医師との信頼関係が非常に重要となります。
治療対象は猫ですが、コミュニケーションを取るのは人間同士です。病院選びでは、自分が気持ちよく相談できるかどうかも大切なポイントです。自身と猫の両方が安心できる病院を見つけることは、保護主・飼い主の重要な責任と言えます。
共に生活を始めると、避けては通れないのがトイレの問題です。猫はトイレのしつけが比較的容易とされていますが、すべての猫がそうだとは限りません。十分なトレーニングを行い、猫に「ここで排泄をする」という認識を持たせましょう。
最初のうちはトイレ以外の場所での排泄があるかもしれません。しかし、猫を叱ることは無益であり、排泄そのものに恐怖を感じ隠れた場所で排泄するようになる可能性もあります。しつけを行う際には、猫を叱らず、根気強く、焦らずに、猫がトイレを覚えることができるようにしましょう。
ケージ内にトイレを設置し、猫がそこで排泄した際にはケージから出られるようにするなど、排泄の場所を限定する工夫も有効です。もしトイレ以外の場所で排泄があった場合は、その場所がトイレと誤認されないように、速やかに清掃し、臭いを消し去ることが重要です。
現在、猫用のトイレは多種多様に揃っており、トレー形状のものからフードタイプ、ドームタイプまで、また砂も鉱物系、紙系、おから系など多くの選択肢が存在します。猫のトイレ選びには「一つの正解」は存在しません。最も重要なのはその猫に適したトイレを選ぶことです。
子猫や高齢猫には入口が低いトイレが適していることが多く、砂の感触や臭い、トイレの隠れ度合い、トイレを設置する周囲の環境なども猫によって好みが分かれます。突如トイレの外で排泄するようになった猫が、トイレを変えたら問題が解消されたという事例もあります。猫の年齢や性格によってトイレの好みが変わることもありますので、その猫が最も快適に使えるトイレを選んであげましょう。