あなたが偶然出会った猫を見つけ、それが子猫であったり、頻繁に見かける猫だからといって、自ら保護しようと考えるかもしれません。しかし、その猫が本当に保護を必要としているのか、そしてその後の里親探しは自分が責任を持てるのか、十分に考慮する必要があります。
迷い猫の可能性を考えてみましょう
その猫は本当に放棄された猫なのでしょうか?特に子猫の場合、母猫が一時的に離れているだけかもしれません。飼い猫と野良猫を見分ける明確な方法はないかもしれませんが、いくつかの観察ポイントを通じて判断することが可能です。
猫が怪我をしていたり、交通事故などの危険に晒されている明らかな緊急事態以外の場合、保護を行う前には以下のことを確認しましょう。
猫を保護することを考慮する前に、その猫が即時の保護を必要としているのか、それとももう少し様子を見てから判断するべきなのかを明らかにすることが重要です。以下に、観察を通じて判断するための基準を示します。
首輪をしている猫はほぼ間違いなく飼い猫であるとみなしてよいでしょう。また、首輪がなくても、去勢手術の跡が見られたり、身体が清潔で毛が艶やかであったり、全体的に健康的な印象を受ける猫は、飼い猫である可能性が高いです。
猫が外を歩いているからといって必ずしも野良猫とは限りません。外に出る習慣のある猫や、何かの拍子に外に逃げ出して迷子になった猫もいます。猫が健康に見える場合は、そのまま自宅に戻る可能性があるため、問題がなさそうであれば一定期間様子を見てみましょう。
しかし、何度訪れても同じ場所にいる、動きが全く見られない、日に日に痩せているなど、明らかな問題がある場合は、猫を保護し、適切なケアをしながら飼い主を探すことをお勧めします。
その子猫が本当に捨て猫であるかどうかを確認することが重要です。母猫が狩りに出ているだけだったり、子猫を新しい場所に移動させる最中だったり、人間の存在により近づけないだったりする可能性もあります。
子猫が明らかに放置されていたり、危険な場所にいて事故に遭う可能性がある場合、または弱っているように見える場合を除いて、半日から1日程度様子を見てみることをお勧めします。
母猫が近くにいないことが確認できた場合、または子猫が離乳していると判断できた場合は、保護を検討してください。しかし、その行動が猫にとって最善の選択であることを確認するために、慎重な判断が求められます。地域猫活動が行われている地域では、過剰な繁殖を防ぐために、母猫に対してTNRが行われることもあります。
この手法は、これ以上の不幸な猫が増えないようにするためのもので、TNRが行われた猫は地域猫としてその場所で生活を続けます。そのような地域に住んでいて、母猫がいる可能性がある場合は、自分で調査を行うか、TNR活動を行っている人に相談するとよいでしょう。
もし子猫を保護したいと思っているが、どのように世話をすれば良いのかわからないという状況にある方は、こちらのページの情報を参考にしてください。
飼い猫の保護は、多様な理由から生じる可能性があります。保護した猫が元の家族の元へ帰れるよう、飼い主の特定が必要となります。多くの場合、猫は近隣の住民が飼っている可能性が高いため、早期に見つけ出すことが可能です。しかしながら、適切な方法で探さなければ、飼い主の特定は困難になることもあります。以下に、飼い主の特定を迅速に行うための手順を述べます。
愛猫が行方不明になった飼い主は、警察に届けを出す、インターネットやSNSを活用するなど、積極的に探していることが多いです。保護者としても、同様に複数の手段を活用して飼い主を探すことが求められます。
最初に、保護した猫は拾得物として扱われ、最寄りの警察署へ届け出を提出するべきです。飼い主も警察に連絡を取ることが最も一般的であるため、この行動により早期に飼い主を見つけることが可能です。
次に、地元の保健所、動物愛護センター、動物病院へ保護した猫の情報を伝え、飼い主の情報を問い合わせることも重要です。これらの機関は飼い主からの連絡を受けている可能性があるため、情報の共有が役立つでしょう。連絡時には、猫の特徴を具体的に説明できるよう、事前に整理しておくと良いでしょう。
猫に首輪がついていたり、マイクロチップが埋め込まれている場合もあります。首輪には住所が記載されていることがあり、マイクロチップは動物病院で読み取ることが可能です。これらの情報が猫の身元確認に役立つ場合があります。
保護した猫の情報を広く伝えるためには、チラシ作成も効果的です。チラシは近隣の動物病院、スーパーマーケットなどに設置することで、より多くの人々に猫の情報を届けることができます。ただし、設置前には必ず許可を得てください。飼い主が既にチラシを作成している場合もあるため、既存のチラシを確認し、動物病院に保護情報が届いていないかも確認してください。
また、デジタルメディアも有効な手段です。迷い猫情報を掲載するウェブサイトやSNSを利用して、情報を広めることができます。例えば、ネコジルシでは迷い猫掲示板が用意されており、飼い主とのマッチングを促進することが可能です。保護した猫の情報を早急に掲載することで、猫が元の家族のもとへ早く戻る可能性が高まります。
飼い主を見つけるためのチラシ作成は、初めての経験で戸惑うこともあるでしょう。以下に、チラシに必要な要素を示します
顔や全身が写っている写真が理想的です。ただし、詐欺防止の観点から、飼い主だけが認識できる特徴は伏せておくと良いでしょう。例えば、猫のお腹に特徴的な模様がある場合、"お腹に模様あり"とだけ記載し、具体的な模様は飼い主に問い合わせるという方法が考えられます。
チラシは、飼い主だけでなく、周囲の人々にも情報を伝えることが目的です。そのため、情報は分かりやすく、簡潔に、そして印象に残りやすい形で伝えるべきです。チラシを見た人が飼い主を思い出し、情報を提供してくれる可能性もあります。
飼い主と思われる方から連絡が入ったとき、引き渡しの場所や手順を決定することになるでしょう。この段階で注意すべき重要なポイントは、「飼い主詐欺」の存在です。
里親詐欺についてはこちらのページでも詳しく取り上げていますが、これは表面上善意を示しつつ、実際には虐待や実験動物としての転売、毛皮の販売を目的とした行為や、保護した猫を他人の猫だと偽り、費用を不正に請求する行為を指します。このような詐欺行為の一環として、実際の飼い主になりすますケースも存在します。
あなたが保護し、その幸せを守るためにも、交渉の過程で飼い主だけが知っているはずの情報を確認することが重要です。また、その猫との関連性を示す写真を持っているか、可能であれば飼い主と猫が一緒に写っている写真を確認することも有効です。さらに、飼い主との面会時に猫の反応を観察し、その様子から飼い主であることを判断することも必要です。これらのステップを踏むことで、猫が安心して元の飼い主の元へ戻れるようにすることが可能になります。
飼い主が見つかった場合、引き渡し後は、協力していただいた各所にその結果を報告し、配布したチラシを回収することを忘れないでください。これらの情報が残ったままになってしまうと、混乱を招く可能性があります。したがって、迅速かつ適切な対応が必要となります。