「完全室内飼い」という言葉は、里親募集において頻繁に用いられます。この言葉は、猫を外に出さずに室内で飼育することを意味します。
猫の室内飼育には、猫が快適に過ごせる環境を整える必要があります。しかし、猫が快適に過ごすだけでなく、人間にとっても快適な環境であることが重要です。この記事では、猫の室内飼育環境について詳しく解説します。
「完全室内飼い」という飼育方法には、メリットとデメリットがあります。室内飼いによって運動量が減少し、肥満や運動不足のリスクが高まるというデメリットがあります。
一方で、猫を室内で飼うことによって、猫が外部環境に晒されることに伴う交通事故や感染症、または地域社会とのトラブルが回避できるというメリットがあります。
「完全室内飼い」という表現は、猫を保護してきた人々が、保護した猫が再び危険にさらされることを避けるために使用することが多いです。猫を飼うための環境について詳しく知りたい場合は、「猫の適切な飼育環境」の記事も合わせてご覧ください。
猫が好む場所や環境について知っておくことは、快適な環境を整える上で非常に重要です。
猫にとって居心地がよく、運動ができる場所を提供することによって、肥満やストレスの予防ができます。
猫の祖先が穴に隠れたネズミを捕まえる生活をしていたことから、狭い空間は猫にとって安心できる場所の一つです。
猫が入った後に出口に顔を向けるのは、周囲の状況を確認し、必要に応じて対応できる体勢を取るためだと言われています。
狭い場所に入るための特別な準備は必要ありませんが、クローゼットやソファの隙間に入り込んでしまうことがあるので、注意が必要です。また、猫が入り込みそうな場所は清潔に保ち、安全にすることが重要です。
猫の様子を定期的にチェックし、不安な点や体調の変化には注意してください。
猫は高い場所が好きで、キャットタワーやキャットウォークなどのアイテムを使って上下運動をすることが好きです。これらのアイテムはストレス発散や運動不足の解消に役立ちますが、必須ではありません。
家具の組み合わせで段差を作るなど、簡易的な対応でも猫の好みに合わせた環境を整えることができます。キャットタワーを設置する場合は、地震時の対策も忘れずに行いましょう。
猫にとって爪とぎは必要な行動であり、爪が伸びたら切ってあげることはもちろん、爪とぎ用のアイテムを設置することも重要です。
爪とぎは紙や麻縄など様々な種類があり、猫の好みや部屋のサイズに合わせて選ぶことができます。
爪とぎを設置しても爪をといでしまう事があるので、爪とぎでカバーする、忌避剤を使う、保護シートを貼るなどの対策も取りましょう。忌避剤を使用する場合は、猫にとって安全かつ無害であることを確認してから使用してください。
猫は日光浴が好きで、日が当たる場所を好みます。ただし、真夏には熱中症のリスクがあるため、気を付ける必要があります。
窓から外の景色を見ることでストレスを発散することができるため、窓際に寝床を用意するのも良いでしょう。ただし、脱走や落下の危険があるため、安全対策を講じる必要があります。
猫は暑さや寒さに弱く、一般的には20℃〜28℃前後、湿度50%〜60%が適温とされています。
夏場はクールマットや冷房、冬場は暖房や湯たんぽなどで猫が快適に過ごせるように環境づくりをしましょう。ただし、ホットカーペットなどの暖房器具には注意が必要です。低温やけどを起こす可能性があるため、使用する際は注意深く扱ってください。
また、猫が自由に移動できるように、いくつかの部屋を行き来できるようにしてあげるのも良いでしょう。
猫の飼い主にとって、猫が快適に過ごせる環境を整えることは非常に重要です。しかし、思いがけない事故につながる可能性があるため、注意が必要です。なお、ここに記載されていない場所でも、もしかしたら危険かもしれないと思った場合には、適切な対策を取るようにしてください。
猫は非常に素早く動き、ジャンプ力も強いため、脱走する可能性があります。特に、玄関や窓、ベランダなどが代表的な脱走経路となります。以下に、各場所について詳しく説明します。
玄関前に簡易ドアを設置する方法がよく見られます。突っ張り棒で設置できる賃貸物件でも取り付けられるものがあります。また、ワイヤーネットで柵を作ることもできますが、猫はジャンプして越えたり、倒れたりする可能性があるため、注意が必要です。
さらに、設置したドアや柵がしっかりと固定され、問題がないか定期的に確認することが重要です。
窓は換気やベランダへの出入りなどに利用されるため、一日に何度も開け閉めされます。網戸を取り付ける場合もありますが、網戸を自力で開けてしまう猫もいますし、破損する可能性もあります。
窓からの脱走を防ぐためには、網戸にストッパーを設置したり、強度の高いものに変更したり、窓の前にフェンスを設置するなどの対策が必要です。
ベランダは外に直接繋がっているため、猫が脱走しやすく、転落事故につながる可能性もあります。
できるだけベランダに出さないようにすることが望ましいですが、万が一のために柵より上にネットをつけるなどの対策をしておくとより安心できるでしょう。
猫を飼う際には、危険な場所や物に注意を払うことが必要です。壊されると困る物や、事故や食中毒などにつながる物は、置かない、出さない、届かない場所に保管するようにしましょう。
猫がじゃれついた際に、噛んだり口にしたことで、重篤な症状に陥る植物が存在します。例えば、猫にとって毒とされるユリ科の植物などは、花粉や花瓶の水だけでも症状が出てしまいます。
さらに詳しく知りたい方は、「猫に与えてはいけない食べ物?」「猫には危険な植物って?」でも説明しています。猫を迎える前や植物を購入する前に、猫に安全な植物であるかどうか調べるようにしましょう。
また、リラックス効果を期待して使用されるアロマは、猫にとっては毒になってしまうことが報告されています。全てのアロマが毒であるとは言えませんが、どのアロマが安全かも明確にはなっていません。猫の健康のためにも、アロマは使用しないようにした方が良いでしょう。
電気コードは元々保護されていますが、猫が噛むことで中の銅線が露出し、感電する危険性があります。また、銅線が露出することで、家電トラブルや火災などの事故につながる可能性もあります。
アクセサリーや紐など、猫が誤飲しやすいものは、誤飲事故につながります。針やピアスなどの鋭利なものもかなり危険です。
猫がじゃれついたり噛みついたりすることで、思わぬ怪我や誤飲につながることがあります。電気コードにカバーをつけたり、口に入りそうなものや踏んで危険なものは、触れられない場所にしまっておくなどの対策が必要です。
キッチンには猫の興味を引くものがたくさんありますが、ラップや袋を誤飲したり、猫にとって有害なものを誤って摂取したり、コンロやヒーター、刃物や箸などで怪我をする可能性もあります。
猫をキッチンに入れないようにする方法として、フェンスを設置したり、調理中は別の部屋やケージに入れたりすることがあります。また、猫に触られたくないものはしまったり、コンロにはカバーを置いたりすることで、キッチン内でも安全な環境を作る必要があります。
風呂場では、浴槽に水やお湯が張っている場合に足を滑らせて溺れたり、お風呂の蓋に乗っていたら何かの拍子でズレてしまい、そこから落ちてしまうケースがあります。
また、剃刀やヘアゴムなどの誤飲や怪我につながるものが置いてある場合もあります。こうした事故を防ぐためには、注意が必要です。
上記以外にも、ドアが閉まった拍子に猫が挟まってしまったり、ふとした瞬間に入り込んだことを気づかれずに閉じ込められてしまうケースもあります。こうした状況を避けるためには、対策を取ることが重要です。
猫の飼育環境については、安全性を最優先に考える必要があります。神経質になる必要はありませんが、猫が危険な思わぬ事故に遭わないよう、十分な配慮が必要です。
猫は綺麗好きな動物のため、常に清潔な状態を保つことが重要です。
トイレの掃除を怠ったり、臭いがこもる場所に置いたりすると、猫がそこで用を足さなくなったり、他の場所で排泄する可能性があります。また、トイレとフードが近接しているのは、多くの猫にとって不快な状況となります。
トイレは、温度変化が少なく、目が届く範囲で掃除がしやすい場所に設置することが望ましいです。
実際に猫を飼い始めると、トイレの数が必要であることがわかった、または事前に用意したトイレが不要だったといったように、必要なものや必要のないものがあることがあります。
また、年齢や行動範囲の変化によって、好みや必要なものも変わってきます。猫との生活を始める前に、保護主さんと相談しながら、必要なものや好みを確認することが大切です。猫を迎え入れた後も、猫が快適に過ごせるように、部屋の環境を調整していく必要があります。
猫に合わせつつ、人間側の生活にも合わせた快適な部屋づくりが理想です。