猫ちゃんを迎え入れるための準備

「猫の里親になりたいが、飼育経験がなく不安…」

「最初にどのような準備が必要か分からない…」

こういった悩みをお持ちの方は多いかと思います。

お家に危険がないか確認しましょう

猫を迎え入れる前に用意すべきものや知識は実は多岐にわたります。里親募集主は、応募者が適切な心構えや環境を整えているかを確認しています。里親になる決意をしても、適切な準備ができていないために機会を逸してしまう、あるいは選ばれずに諦めてしまう結果になるのは非常に残念です。これから里親になるために、そして猫を迎え入れた後に困らないように、まずは以下のポイントをチェックしてみましょう。

猫に適した住環境の整備

猫を迎え入れるためには、猫にとって快適な生活環境を整える必要があります。適切な場所の提供や猫用品の準備はもちろんですが、これまで何気なく使用していた家具や小物が猫にとって危険な場合もあります。迎え入れる前に確認をしておくことで、安心して猫との共同生活が始められます。

家具なども確認が必要です

猫を迎え入れる環境が整っていますか

まずは家主や家族に猫を飼っても良いか確認しましょう。猫を飼うために最も重要なのは、周囲の人々からの理解と協力です。猫を飼いたいと思うようになると、「どんなことがあっても迎え入れたい!」という気持ちが強くなるかもしれませんが、周囲が反対している状況で無理に飼ってしまうと、共同生活者との関係が悪化し、最終的に猫にも悪影響を与えることがあります。

猫の里親になりたいと考えている方の中には、「猫を助けたい」という強い気持ちがある方も多いでしょう。しかし、最終的に自分や猫に無理を強いてしまうと、その目的を達成できません。不安や疑問がある場合は、決して無理をせず、周囲の人々や知人・友人と相談しましょう。また、専門家の意見が得られる場所や、ネコジルシ内であればにゃんでもQ&Aも活用してみてください。

常に猫を見守ることができる環境を作る

理想的な里親としては、猫を24時間見守ることができる環境を提供することが望ましいです。しかし、実際には24時間の監視は難しいことです。何より重要なのは、猫の様子が普段と異なったり、何らかの問題が発生した場合に、すぐに気づくことができるという点です。そのためには、猫のために自分で時間を割く意識を持ち、寄り添う生活スタイルを考慮し、猫に異常があった場合にすぐに対応できる姿勢が求められます。家族全員で協力し合い、自分自身の生活環境を見直して、無理のない環境作りを心掛けましょう。

また、一人暮らしで猫を飼いたいという方は、自宅に戻れない場合や長時間の看病が必要な場合の対策を事前に検討し、きちんと準備しておくことが重要です。成猫であれば自動給餌機などを利用して勤務中は留守番させることもありますが、子猫の場合は特に目が離せないため、成猫と異なり長時間の留守番は困難であることを理解しておきましょう。

猫と飼い主に優しい住環境を整える

どんなに大切なものであっても、猫の手が届く場所に置いてしまうと、遊んで壊される可能性があります。また、ケガをする原因にもなります。

猫が「面白そう」と感じるものや、壊されると困るもの、破損すると危険なものは、猫に届かない場所に保管しましょう。大切なものが壊れたり、猫がケガをしたりした場合、猫を責めることはできませんし、自分を責めるしかありません。そのような事態を避けるためにも、猫が興味を持ちそうなものや壊されて困るもの、破損すると危険なものは必ず猫に届かない場所に収納しましょう。

例えば、床に散らばる電源コードは、猫が噛んだり引っかいたりしても大丈夫なようにカバーを取り付けましょう。また、猫が登ってほしくない場所は塞いだり、登るための家具などを配置しないように注意してください。猫と飼い主双方にとって安全で快適な住環境を整えることで、猫との共同生活がより充実したものになります。

室内環境の最適化

猫が飼われる室内環境は、その安全性や快適性が重要です。誤って猫が脱走したり、意図せず猫に有害な植物が存在したりするリスクを軽減するために、事前に詳細な調査と対策が必要です。

脱走予防が必要な場合、準備は出来ていますか

脱走防止策の実施

特に室内飼いや元野良猫の場合、ドアや窓からの外部への興味が高まります。しかし、「外に興味がある」ことと「外で生活できる」ことは異なります。飼い猫の平均寿命は約10年以上ですが、野良猫の場合は5年以下とされています。野良猫は栄養の偏りや事故、他の動物による襲撃などのリスクが高まります。室内飼いを選択した場合、脱走防止策は不可欠です。多くの里親募集者は、脱走防止を条件としています。

玄関以外にも、窓やベランダからの脱走による怪我のリスクも考慮する必要があります。猫は想像以上に高くジャンプし、狭い隙間を通過することができます。脱走防止対策として、柵などを設置する際は、実際に脱走対策をされている他の飼い主の対応を参考にしてください。さらに、万が一の脱走時に備えて、首輪やマイクロチップの装着も検討してください。

猫に有害なものの管理

日常生活で購入する食品や植物には、人間には無害でも猫に有害なものが多く存在します。ネギ類やチョコレート、レーズンなどの食品、ユリや水仙、アサガオなどの植物がその例です。

また、人間用の食品は猫にとって塩分や香辛料が多く、内臓への負担が増大します。これらの物を猫が誤って摂取しないように、環境の整備や家族への教育が重要です。

猫に必要なグッズを揃えましょう

猫を迎える前に、必要なグッズをリストアップし、保護主と相談しながら準備しましょう。各アイテムは猫の個性やニーズに応じて選択し、適切な環境を提供することが大切です。これにより、猫との新しい生活がよりスムーズに進むでしょう。

猫のケアにおいては、適切なグッズが重要ですので、猫のニーズに応じたアイテムを用意することをお勧めします。下記で紹介したグッズを参考に、猫のニーズに合わせた選択を行いましょう。猫との新しい生活がスムーズに進むよう、事前に準備を整えておくことが大切です。

最低限必要なものは揃えましょう

キャットフード、食器

ペットショップには多種多様なキャットフードがあり、形状、栄養素、価格などが異なります。年齢別のフード(子猫用、成猫用、老猫用)がありますので、猫の年齢に応じたものを選びましょう。「総合栄養食」は主食として適切で、猫に必要な栄養素がバランスよく含まれています。更に詳しい猫の餌については、こちらで詳しく解説しています。

また、食器は安定性があり、洗いやすいデザインが望ましいです。

猫用トイレ

猫は排泄物を砂に埋める習性があるため、トイレには専用の猫砂を使用します。多頭飼いの場合、理想的なトイレの数は「頭数+1」ですが、一人っ子の場合や住宅状況によっては、+1の必要性は異なります。トイレや猫砂にも多様な種類があり、猫の年齢や体調に応じた選択が重要です。

ケージ、キャリー

猫を隔離する必要がある場合や避難させる際には、キャリーバッグより大きいケージが便利です。ケージに慣れさせておくことは、猫の安全やストレス軽減に役立ちます。また、病院への移動時に使用するキャリーは、猫が反転できるサイズを選び、隙間がなく、開けられないように注意してください。

その他の必要なグッズ

爪とぎ、グルーミング用品、おもちゃなども猫にとって重要なアイテムです。猫の行動に合わせて、必要なものを提供しましょう。また、脱走防止のために「首輪」や「マイクロチップ(施術)」も検討すると良いでしょう。これらは猫が迷子になった際の保険となります。詳しい猫グッズについては、こちらで紹介しているので、お迎えまでに保護主さんと相談しながら準備するようにしましょう。

著者紹介

上杉 華子(猫コンシェルジュ)

猫に関する専門家として猫の知識と経験が豊富で、猫の飼い主たちから高い評価を受けており、
猫の行動学や猫種の特徴、猫の健康や栄養管理など、猫に関する様々なトピックについて情報発信。
猫に関する情報が科学的根拠に基づき、そして分かりやすい言葉で説明していることを心がけ、猫の世話やしつけ方法、猫の病気や予防策についてのアドバイスを提供しています。
幼いころから猫を飼って育った自身の経験をもとに情報発信を行い、保護猫の里親探しや猫の福祉向上を目指して活動中。