猫の里親になった後のケアと注意点

トライアル期間を含め、新たな家族として猫を迎える際の喜びと期待は計り知れません。しかし、その一方で不安や疑問も抱くかもしれません。いずれの状況においても、猫との共生に必要な注意点が存在します。

適切な対応ができるように、これらの情報を十分に把握しておくことをお勧めいたします。

決まったからこそ確認しておきたいことがあります

里親になった後の健康状態チェック

猫を迎えた後の健康管理は、猫の幸せな生活に欠かせません。迎え入れ直後から日常的なケアまで、さまざまな健康面での配慮が必要です。事前に知識を身につけておくことで、安心して猫との生活を楽しめます。

迎え入れ直後の対応

猫は環境変化に敏感で、新しい家に来たばかりの頃はストレスを感じることが多いです。隠れたり、食事やトイレを避ける傾向があります。特に子猫は体力が成猫に比べて弱いため、体調チェックは細心の注意を払うべきです。

猫の体調をチェックしましょう

迎え入れるタイミングは、できるだけ余裕のある時期を選ぶことが望ましいです。例えば、午前中に迎えた場合、猫が家に慣れる時間を十分に確保でき、体調変化があれば迅速に対応できます。また、緊急時に対応できる動物病院の情報も事前に調べておくと安心です。

迎え入れ後の健康チェック

猫を迎え入れたら、健康状態のチェックが欠かせません。定期的な健康診断を受けさせることが大切ですが、子猫の場合、成長が進むまで正確な検査が難しいこともあります。継続的な受診が重要です。

また、既に猫を飼っている場合、新しい猫を迎える前に感染症や寄生虫検査を行い、先住猫とのストレス軽減策を考慮することが必要です。

健康状態のチェック

猫の健康状態は毛並みや身体の状態からも確認できます。定期的に観察し、異変に気付いたら速やかに対処しましょう。

猫の体調をチェックしましょう
  • 毛並み

    猫は通常、毛づくろいにより毛並みを清潔に保ちますが、新しい環境に慣れるまでの間は毛づくろいが十分にできないことがあります。毛づくろいが行われない場合、口内炎やその他の体調不良の兆候があるかもしれません。ハゲが見られる場合は、けがや皮膚病の可能性がありますので注意が必要です。

  • 目/鼻/耳

    目やにや充血、涙が溜まっている場合、また鼻水やくしゃみ・咳が続く場合は、猫風邪などの感染症の疑いがあります。また、片方の目が見えない仕草や大きな音に気づかない様子があれば、視力や聴力に問題があるかもしれません。

  • からだ

    撫でている際にしこりを感じた場合や、普段から撫でているのに特定の部分に触れるのを嫌がる様子がある場合は、痛みや異常がある可能性があります。速やかに獣医師の診察を受けることが望ましいです。

日常的な健康チェック

猫の健康管理において最も重要なのは、「普段との違い」に気づくことです。猫の観察を日常的に行い、異変に気付くことが健康管理の基本です。

例えば、体温や体重の定期的な測定、遊びながら口や耳の臭いを確認する、トイレ掃除時に便の状態を観察するなど、日々のケアの中で注意深く観察していくことが重要です。

日頃から猫の体調をチェックしておきましょう

新しく家族に迎えた猫に対しては、普段の様子が分からないため、過去の保護主と連絡を取り合い、猫の通常の行動を確認しましょう。猫のストレスを最小限に抑えるため、病院への通院は必要最小限にし、他の飼い主や獣医から情報収集し、猫の健康状態を把握することを心がけましょう。

判断が難しい場合

症状が不安な場合、まずは冷静に猫の状態が緊急かどうか、獣医に相談すべきかを判断しましょう。

緊急でない場合は、インターネットやネコジルシのにゃんでもQ&Aなどで情報収集し、猫の状態を確認します。ただし、情報の正確性には注意し、参考程度に留めておくことが重要です。

不安な時はすぐ病院へ

猫の状態が明らかに異常である場合や、症状が悪化する恐れがある場合は、メールや掲示板などの反応を待つのではなく、すぐに獣医に相談し、適切な対応を行いましょう。

猫に嫌われる心配

新しい家や飼い主に慣れていない猫を病院に連れて行くことで猫に嫌われる心配があるかもしれません。

しかし、去勢・不妊手術やワクチン接種など、猫の健康管理には病院への通院が必要です。猫との関係が一時的に悪化することよりも、適切な治療が遅れることによる後遺症や命に関わるリスクを避けることが猫のためになります。命には取り返しがつきませんが、関係は一緒に暮らす中で修復できるでしょう。

かかりつけの獣医師を選ぶ重要性

動物病院や獣医師は、ペットの健康管理において重要な役割を果たします。信頼できる獣医師に出会えることで、気軽に質問ができ、異変を感じた際に迅速な対応が可能となり、飼い主として安心感を得られます。

猫は自身の症状を伝えることができません。そのため、飼い主が猫の健康状態に気づき、適切な獣医師に相談することが求められます。適切な動物病院を選ぶ際には、口コミやインターネットでの情報収集を行い、実際に訪れて対応が合うかどうかを確かめましょう。

かかりつけの病院を見つけましょう

飼い主として、猫の健康管理において幅広い視野を持ち、正しい判断ができるよう心がけてください。獣医師からの意見やアドバイスを受け入れ、必要に応じてセカンドオピニオンを求めることも考慮しましょう。

近況報告を適切に行いましょう

里親になった際に、猫の元の飼い主に近況報告を行うことは重要です。連絡は一切必要ないと言われている場合を除き、文章や写真を添付し、猫の現状を伝えましょう。

近況報告の頻度に関しては、応募条件に記載されている場合があります。例えば、最初の数回は月に一度の連絡を希望する方、年に一度の連絡を望む方、毎月特定の日に連絡をお願いする方など、要望はさまざまです。もし条件が明記されていない場合や、送信のタイミングや頻度に不安がある場合は、双方で話し合って調整しましょう。

ネコジルシでは、愛猫や近所の猫の写真を掲載できるネコ写や、猫に関する情報や日常の出来事を共有できるネコ日記などのコンテンツが提供されています。これらの機能を活用し、元の飼い主と円滑なコミュニケーションを図りましょう。

少しでも不安になったら

猫を迎えた後に不安や疑問が生じた場合、周囲の猫飼い主や獣医師に相談することが有益です。

不安は解決していきましょう

また、ネコジルシのにゃんでもQ&Aネコ日記を活用して、多くの意見やアドバイスを得ることも可能です。適切な対応が求められる場合には、コンテンツの利用ルールを確認してから利用しましょう。多くの意見を参考にし、猫の健康管理に役立ててください。

にゃんでもQ&Aでは猫に関する情報やネコジルシに関する質問、回答をすることが出来ますが、内容的があまりにも個人的な場合は、にゃんでもQ&Aではなく日記に書くようにしてください。

著者紹介

上杉 華子(猫コンシェルジュ)

猫に関する専門家として猫の知識と経験が豊富で、猫の飼い主たちから高い評価を受けており、
猫の行動学や猫種の特徴、猫の健康や栄養管理など、猫に関する様々なトピックについて情報発信。
猫に関する情報が科学的根拠に基づき、そして分かりやすい言葉で説明していることを心がけ、猫の世話やしつけ方法、猫の病気や予防策についてのアドバイスを提供しています。
幼いころから猫を飼って育った自身の経験をもとに情報発信を行い、保護猫の里親探しや猫の福祉向上を目指して活動中。